ここから本文エリア

現在位置:asahi.com>関西>関西の住まい>住まい・暮らしニュース> 記事

PR関西の不動産情報

「4ダム必要なし」 淀川流域委が国交省に近く意見書

2008年04月22日

 国土交通省が計画している淀川水系の四つのダムについて、同省近畿地方整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」(宮本博司委員長)が22日、ダム建設は適切ではないとする意見書をまとめた。近く、同整備局に提出する。意見書では計画原案を見直し、流域委に再度提示することも求めている。国交省のダム計画をめぐり、諮問機関が「脱ダム」の方針を答申するのは極めて異例。各分野の専門家で構成する流域委が示した結論に対し、整備局がどう対応するか注目される。

 流域委が意見書で、河川整備計画に位置づけることが「適切でない」としたのは、大戸川(だいどがわ)(大津市)▽天ケ瀬(京都府宇治市)▽川上(三重県伊賀市)▽丹生(にう)(滋賀県余呉町)の4ダム。

 流域委は、計21回の会合で整備局に開示させたダムの治水効果のデータや事業費などを検証。大戸川ダムは200年に一度の洪水時に淀川の水位を19センチ下げる効果しかないことや、川上ダムは自治体同士で水利権を融通すれば新たな利水の必要がなくなることなどを明らかにした。こうした指摘に整備局から十分な説明がないとして、流域委は意見書で「ダムの必要性に十分説得力のある内容になっていない」と判断した。

 また、遊水地や河川改修などのダム以外の治水案についても「検討が不十分」と指摘。「ダムの必要性や緊急性を検討するには、堤防強化などの対策との組み合わせについて、事業費を明示し、優先度などを総合的に検討することが不可欠」とした。

 97年の河川法改正で、河川整備計画に住民の意見反映が盛り込まれ、流域委は01年、その趣旨に沿って設置された。03年には、余野川(大阪府箕面市)を含む5ダムについて「原則建設しない」ことを提言。整備局は05年7月、大戸川、余野川の2ダムを凍結するといったん発表した。しかし、07年8月、「余野川以外のダムは必要」との姿勢に転じ、4ダムの建設・再開発を盛り込んだ河川整備計画の原案を策定。整備局主導で、半数の委員を入れ替えた流域委にこの原案を諮問した。

 同省近畿地方整備局の谷本光司・河川部長は意見書について「ダム建設が適切でないと我々が納得できるような根拠のある内容ではないと考える。きちんとデータを説明すれば、ダムの必要性を理解してもらえると思う」と話した。原案の再提示の求めについては「原案はあくまでも計画をつくるためのたたき台で、つくり直す性質のものではない」とした。

このページのトップに戻る