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淀川水系4ダム、整備計画案に盛り込む 流域委は反発

2008年6月20日20時16分

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 国土交通省近畿地方整備局は20日、淀川水系で4ダムの建設を盛り込んだ河川整備計画案を発表した。ダム計画については、同整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」が「不適切」と疑問視する意見書を4月下旬に提出、対立が続いていた。河川整備をめぐり、国交省側が諮問機関の意見に反して計画案をまとめるのは極めて異例で、流域委は反発を強めている。

 同計画では、今後20〜30年間で取り組む整備事業の具体策を決める。建設や再開発の計画が盛り込まれたダムは、大戸(だいど)川(大津市)▽天ケ瀬(京都府宇治市)▽川上(三重県伊賀市)▽丹生(にう)(滋賀県余呉町)の4ダム。

 計画案によると、大戸川、川上の2ダムは、京都市伏見区内の桂川を拡幅するなど改修した場合、淀川本流に大量の水が流入。200年に一度の大雨が降ると安全に水を流せる「計画高水位」を超え、上流にダムが必要とした。丹生ダムは異常渇水が起きた時に備え、貯水容量を確保するとしている。洪水対策のため放流量を増やす改良工事を進めている天ケ瀬ダムは継続とした。形式が決まっていない丹生ダムを除く3ダムの総事業費は計約2740億円。

 整備局は昨年8月、今回の計画案のたたき台となる計画原案を公表。各分野の専門家や住民らで構成する流域委(宮本博司委員長、24人)が審議してきた。4月22日、治水効果などから必要性に説得力がないとして、4ダムを「計画に位置づけるのは適切ではない」と指摘。堤防強化などダム以外の治水対策の検討が不十分として、計画原案の再提示を求める中間の意見書を提出していた。

 整備局はこの日、大阪、京都、滋賀、奈良、三重、兵庫の流域6府県知事に計画案を送付。8月末までに各知事から意見を聴取して整備計画を最終決定し、09年度予算の概算要求に盛り込みたい考えだ。今後は計画案に対する各府県知事の対応が焦点となる。

 同整備局の谷本光司河川部長は「流域委の意見は、堤防強化がダムの代替案になるという誤解に基づいており、計画案に反映できるものではなかった」と述べた。流域委の宮本委員長は「流域委の意見をまったく無視した格好で、強引に進めていく整備局の姿勢は非常に残念だ」と批判した。

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