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フィンランド首相、温暖化対策で日本に期待

6月22日13時47分配信 産経新聞


フィンランド首相、温暖化対策で日本に期待

"インタビューに応じるフィンランドのマッティ・ヴァンハネン首相=東京都港区・ホテルオークラ(撮影・中川春佳)

 訪日した環境先進国・フィンランドのマッティ・バンハネン首相は6月10日、産経新聞とのインタビューに応じた。地球温暖化対策が大きなテーマとなる主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を前に、ホスト国としての日本のさらなるリーダーシップに期待を寄せた。(佐々木正明)
 −−訪日の主な目的は
 「日本がホスト国となる7月のサミットは、気候変動対策についてどのように取り組むべきかが話し合われる。温室効果ガス抑制は、フィンランドならびに欧州連合(EU)では主要政策になっており、来年にはデンマークのコペンハーゲンで京都議定書に続く新たな地球温暖化対策の枠組みを話し合う『気候変動枠組み条約第15回締約国会議』(COP15)が開かれる予定になっている。G8サミットの交渉はCOP15での会議の流れに大きな影響を与える。だから、この時期に福田康夫首相とこのテーマについて互いの意見を交わしたかった」
 −−このインタビューの前日(6月9日)、2050年までに国内の温室効果ガスを現状比で60〜80%削減することを盛り込んだ日本独自の地球温暖化対策「福田ビジョン」が発表された。どんな印象を持ったか
 「長期目標については、非常に野心的な数値を設定した。日本政府が行おうとする『低炭素革命』により、国際社会での日本のプレゼンスは高まると思います。
 私は日本の省エネ技術やクリーンテクノロジーの開発を高く評価している。また、注目したいのは、福田首相がビジョンの中に盛り込んだ自動車税改革だ。フィンランドでは、すでに二酸化炭素(CO2)排出量の低い車に対して、自動車登録税を安くする政策を実施し、一定の成果をあげている。CO2の排出量に応じて10〜40%の税率をもうけており、人々は車を買う際、どの車が排出量が低いか関心を持つようになった。
 税制施行後、ハイブリットカーやディーゼル車を選ぶようになっており、明らかな変化が現れている。自動車会社にとっては、バイオ燃料などを使う新型車の開発促進にもつながり、自動車産業全体の意識改革も期待できる」
 −−一方で、福田ビジョンでは、2020年までの中期目標については具体的な数値目標が設定されなかったが
 「興味深いのは、日本は過去20年、温室効果ガスの排出がほどんど増えていないのに、経済成長を続けているという点だ。温室効果ガスが増えなくても、経済は成長するということを自ら証明している。この点は重要だ。
 発展途上国などが、新たな地球温暖化対策をどこまで受け入れるか不透明なため、競争力がそがれる恐れがあるという懸念は承知している。しかし、気候変動政策はただ乗りは許されない。経済力のある先進国が他の国々をひっぱっていくために、責任を持って、地球温暖化対策に取り組まなくてはならない。
 福田首相には、中期目標についてもさらなる決意を見せてほしいというわれわれのメッセージを伝えたいと思う」
 −−先日、日本で行った講演では隣国・ロシアの存在について多くの時間を費やしていた。EUにとってロシアとはどんな存在なのか
 「ロシアとEUはいうなれば、戦略的パートナーということだ。フィンランドはロシアと長い間、互恵的友好関係を築き上げてきた経験がある。EUはロシアと定期会合を持っており、この会合はロシアとの重要な交渉の場となっている。われわれはロシアとの自由貿易を促進するためにも、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟を支持している」
 −−日本はエネルギーの対露依存度を高めていこうとしている。ロシアは信頼しうるエネルギー供給国なのか
 「フィンランドはロシアから35年間、天然ガスを輸入しているが、これまで両国の間に大きなトラブルはない。天然ガスは、わが国では全エネルギー消費量の10%を占めている。ロシアはエネルギー供給の面で、信頼しうる国だ。ロシアは資金を必要としており、われわれはエネルギーが必要だ」
 −−フィンランドはしばらく、北大西洋条約機構(NATO)軍への加盟はしないという方針をとってきた。ウクライナやグルジアの加盟問題をめぐっては、ロシアとEUの間で大きな摩擦が起きている。フィンランドは今後、NATOに加盟する可能性はあるのか
 「(軍事同盟をめぐっては)すべての国々が、自己の判断に基づき決定する権利があるはずだ。フィンランドはNATO非加盟ですが、1994年に平和のためのパートナーシップ協定を締結しており、危機管理上の実務的な協力体制を構築している。もちろん、加盟については選択肢を有しており、正式加盟のドアを閉めたりするようなことはしていない。
 現在、フィンランドでは国民の25%がNATOに加盟すべきだとの意見をもっている。加盟すべきか否かはこれまでも、国民的議論になってきた。今のところ、加盟に向けて具体的な取り組みはしていないが、NATOとは特に危機管理面で良好な関係を発展させていきたいと考えている。コソボやアフガニスタンでの平和支援活動にも関与していくつもりだ。フィンランドはNATOには加盟していないが、良い関係にあるということだ」

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最終更新:6月22日13時47分

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