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―出版社と著作者の信頼関係が大事で、モラルの問題でもありますが、出版社の基本姿勢を聞かせて下さい。 |
- 山
- 「出版社が著作権者の権利を守るのは、当然のことです。そしてお互いの信頼関係が一番大事なことでしょう。作家、画家、カメラマンなどの著作者は、出版者の編集者と共同作業で作品をつくりますが、これはお互いに信頼関係がなければ成立しません。
作品については、社会に与える影響や、意義づけなどの必要で、共同作業は人間としての喜びを共有することでもあります。出版社と著作者は、作品を作るのは営利ですが、それだけではなく、お互いの役割を果たして社会的な意識を高めます」
―小学館の社内では、著作権についてどのような対応をしているのですか。 |
- 山
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「小学館では著作権者の権利を守るために、編集総務というセクションを設けて慎重に取り組んでいます。我社には雑誌が70数種類あり、単行本も数多く出ておりますので、社内セミナーを開いたり、著作権を侵害しないように、各編集部からくる相談にものっています。デスクや副編集長,編集長などが具体的な問題を持ち込んできます。1日に多い時で10数件、少なくても数件の相談があります。
著作権、商標権、知的財産権は侵害していはいけない権利ですから、社内の各編集部へ徹底して注意しています。
社内セミナーを開き、イラストや写真の利用は慎重に、といったアドバイスもしています。例えばある写真があり、この絵をそっくり模写して誌面の背景などに使用することは、著作権の違反ですから書き直しをさせています」
―ところで教材出版社などで著作権侵害が問題になっていますが、同じ出版社としてこの現実をどう思われますか。また2次使用、3次使用についてはどうお考えですか。 |
- 山
- 「出版社は書籍を発行するに当たっては、作家や画家等の著作権者と、著作物について出版契約を結んで発行部数や作品の使用状況等を正確に著作権者に伝え、契約を守っています。ですから、教材会社がこれまでに作家の作品を使用しながら、著作料を払ってこなかったのは、とんでもない話です。この背景には、教材出版の業界に権利意識が薄いという現実があります。対価を支払わないと利用できないと考えるべきで、教材会社の姿勢は論外でしょう。
書籍に掲載された作品を、書籍以外の文庫、CD、ネット利用することなど2次使用については著者と話し合いをすることになっていて、大抵は出版社側が優先権を持っています。
例えば、小学館から本を出版しても文庫にするなら『新潮』、CDなら『岩波』という著者もいますので、その時は話し合いをさせてほしいと要望しています」
- 山
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「もちろんあります。教育関係の出版物に、小学館の百科事典の内容を利用させて欲しいという要望もあります。例えば学校の授業で利用するときなどは、出典を明記するという条件で許可をだすこともあります。
点字の本や、図書館におき音声録音を利用したいという要望などは、ハンディを持った社会的弱者への対応で、営利目的ではありませんから許可します。
しかし教材会社が出版物に利用したり、塾で利用するのは営利目的ですから、著作権料が発生するのは当然です」
―ところで、インターネットの世界は問題が多いですね。 |
- 山
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「ホームページなどは無法化しているのが現実ですね。集英社のある雑誌に出ていた女優の写真を、"生写真"としてヤフーのオークションに出たことがありました。これは警視庁に訴えられて、犯人が逮捕されました。このように、他人の財産を複製して儲けようなどということが、この社会でまかり通るわけはありませんよ」
- 山
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「引用に関しては、主と従のセオリーがあります。判例を見てみると、著者が主張したいという主があり、そのために従として利用させていただく、というのが引用です。文字どおり、引き出して用いるものです。
条件として、勝手に内容を変えないこと、カギかっこや段落としにする、という基本を社内で教育しています。そして出典の明示も条件です。引用に関しては、6原則を定めて徹底しています。それ以外は転載や盗用ということになります。主体が出ているかどうかで、出ているのが論評で、出ていなければ盗用です」
このように小学館等の大手出版社は、著作権者の権利を守るために最大の努力をしている。教材会社とは、同じ出版社のレベルで語ることはできない。
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