【ソウル堀山明子】韓国の米国産牛肉輸入問題は21日、輸入制限を実質的に復活する形で決着した。青瓦台(大統領官邸)は「これで国民の不安は解消された」(報道官)と強調するが、輸入反対派の市民団体は抗議行動を続ける構えで、韓国内の混乱が沈静化に向かうかどうかは不透明だ。
柳明桓(ユミョンファン)外交通商相は追加交渉妥結について「100点満点で90点。(輸入制限に)期限がない」と外交成果を強調した。今回の合意は、米韓の輸出入業者が30カ月未満の牛肉だけを扱うよう自主規制し、米韓政府がこれを管理する特殊な体制だが、「韓国消費者の信頼が改善されるまで」として期限は明記されなかった。
李明博(イミョンバク)大統領は19日の謝罪会見で、「30カ月以上の牛肉は、決して食卓に上らないようにする」と国民に約束しており、期限付きの措置にならないよう、こだわったとみられる。
聯合ニュースによると、李大統領はワシントンで13~19日に行われた追加交渉中、「いかなる場合にも30カ月以上は輸入しないように」と繰り返し指示したという。
ただ、4月合意で規制撤廃した内臓部分は修正されず、評価は分かれる。輸入反対集会を主催してきた国民対策会議は妥結について「混乱の核心である骨や内臓など危険部位の輸入問題は改善されなかった」と批判し、今週の官報告示の撤回に向けた運動を強める方針を明らかにした。
ソウル市庁前広場で20日夜から48時間連続で行われていた米国産牛肉の輸入反対集会は21日夜、前日の約3000人を大きく上回る約1万人(いずれも警察発表)が参加。集会の規模は全国で約16万人が参加した10日をピークに減少傾向にあったが、再び増加に転じた。
毎日新聞 2008年6月22日 東京朝刊