防衛省は5日、スーダン南部での国連平和維持活動(PKO)に司令部要員として自衛官を派遣する方針を固めた。今後政府として現地情勢を調査し、受け入れ国の同意など「PKO参加5原則」を満たしていることを確認後、派遣手続きに入る。
複数の政府関係者によると、4日の外務、防衛両省などの協議で、首都ハルツームにある国連スーダン派遣団(UNMIS)司令部への派遣を確認した。時期は7月以降になる見通しで、人数は国連側と現地司令部の受け入れ態勢を調整した上で決める。
スーダンPKOをめぐっては、外務省が陸上自衛隊の部隊派遣に積極的な一方、防衛省は現地の治安状況などから派遣そのものに慎重姿勢だった。そのため第1段階として司令部施設で各国との連絡調整にあたる自衛官を派遣し、改めて政府内で陸自部隊派遣の可否を探ることになった。
スーダンPKOには米国、英国、中国、ロシア、韓国などの要員を含む計約1万人が展開中。政府内には中国がアフリカで存在感を増しつつある中、日本も後れをとるべきではないとの意見もある。「司令部要員1〜2人で国際的に評価されるのか」(高官)と部隊派遣に前向きな意見も根強い。
高村外相は5日、国連PKO60周年記念セミナーで演説し「わが国としてどのような貢献ができるか、スーダンやアフガニスタンでの可能性を含め幅広く検討していく」と語った。一方、来日中の国連のゲエノPKO担当事務次長は同日、UNMISへの自衛官派遣について、朝日新聞記者に「正式な派遣表明はまだだが(日本政府から)打診はあった」と述べた。そのうえで「南部で橋の建設や道路舗装といったインフラ整備をしてもらいたい。アフリカ全体にも与える影響が大きい」と陸自の施設部隊派遣への期待を表明した。
スーダンでは83年にアラブ人主体の政府が全土にイスラム法を導入しようとしたことをきっかけに、キリスト教徒主体の南部との間で内戦となり05年1月の南北和平合意(CPA)まで20年以上続いた。不安定な治安情勢が続く西部ダルフール地域に対して、南部は情勢が比較的安定していると見られている。(山田明宏、南島信也)