■ アボリジニの交流団が白老を訪問、アイヌ民族と対話
【2008年5月21日(水)朝刊】

アポリジニとアイヌ民族が先住民をテーマに語り合ったフォーラム
 オーストラリアの先住民族・アボリジニの交流団が20日、白老町を訪れた。飴谷町長を表敬訪問した後、アイヌ民族博物館で開かれた先住民フォーラムに出席。アイヌ民族と「先住民」をテーマに語り合った。北海ウタリ協会の加藤忠理事長が「近く先住民族の認知に向け、政府に要請する」とアイヌ民族の現状を説明、アボリジニ側も理解を示した。きょう21日は舞踊公演などで交流する。

 今回来日したのは、オーストラリア・クイーンズランド州のアボリジニコミュニティーの交流団(ジェレミー・ゲイア代表)16人で、16歳から60歳。アイヌ民族博物館が平成9年にオーストラリアのノーザンテリトリー博物館に職員を派遣したのを機に交流が始まった。

 今回はアボリジニがアイヌ民族との交流を州政府に要請、実現した。同博物館などで構成する交流会実行委員会が受け入れで、アボリジニとの国内での交流は初めて。

 フォーラムには、加藤理事長や同博物館理事長でウタリ協会白老支部の野本勝信支部長、アボリジニ側は全員が出席した。

 加藤理事長は、ラッド首相のアボリジニに対する公式謝罪などオーストラリア先住民政策に感動しているとした上で「アボリジニと同じし烈な迫害を受け、私たちアイヌも同じ環境で生活してきた。人権が尊重されるよう私たちは22日にはアピール行動で政府にもの申したい」と話した。

 これに対しアボリジニは「まず、先住民族として認めることで素晴らしい国になる。アイヌと国が良い関係になってほしい」と切望、アイヌ民族の行動に理解を示した。

 アボリジニは「子供のころ、服がなく学校に行くにも大変だった」と思い出を話す人も。だが「仕事の面など、まだ生活は楽ではない。今までは隠れていたが、これからは社会に出ていく」と話し、厳しい現状からの脱却を説明した。

 最後にアボリジニはワニにまつわる歌を披露、アイヌ民族はムックリ演奏で締めた。

 白老町は全国の自治体で初めてアイヌ民族を先住民と位置づけている。昨年、国連の「先住民族の権利に関する国連宣言」を受け、ウタリ協会のアイヌ協会への改称、22日は北海道ウタリ協会が、アイヌ民族を先住民と認めるよう「国会請願アピール行進」を予定。北海道洞爺湖サミットに向けても、先住民に対する国内意識は高まっている。

 一方、アボリジニは平成5年に先住権が認められた。ラッド首相は今年2月、アボリジニに対する過去の植民地政策に対し初めて正式に謝罪した。
(半澤豊彦)

【写真=アポリジニとアイヌ民族が先住民をテーマに語り合ったフォーラム




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