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「秋葉原事件に手口酷似」下関通り魔上告審傍聴の被害者会見

記者会見する山口・下関通り魔事件の被害者の一人、永藤登さん(13日、東京・霞が関で)=安川純撮影

 「秋葉原の事件は、下関を下敷きにしたのか」――。1999年9月、JR下関駅(山口県下関市)に男がレンタカーで突っ込み、その後刃物で構内の人を襲って5人を殺害、10人に重軽傷を負わせた通り魔事件で、殺人罪などに問われ1、2審で死刑判決を受けた元運送業上部(うわべ)康明被告(44)の上告審弁論が13日、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)で開かれた。

 弁論を傍聴した被害者や遺族は閉廷後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見。東京・秋葉原の無差別殺傷事件について、やりきれない表情で感想を話した。

 会見では、秋葉原と下関の両事件の類似性について質問が相次いだ。「下関事件被害者の会」代表世話人の永藤登さん(77)(山口県長門市油谷町)は「駅構内と歩行者天国の違いはあるが、とても似ている。私たちのような被害者がまた増えてしまった」と嘆いた。

 上部被告の車にはねられ亡くなった松尾瑞代さん(当時58歳)の夫・明久さん(67)(北九州市八幡西区木屋瀬5)は、秋葉原の事件の第一報をテレビで見て、「レンタカーや刃物を使っており、下関の事件をモデルにしていると感じた」と語った。

 下関の事件で顔などに切り傷を負い、持病の心臓病と闘いながらも、これまで公判を欠かさず傍聴してきた永藤さん。「長い間苦労したが、やっと判決の道筋が見えてきた。最高裁は私たちの望む判決を必ず言い渡してくれると信じている」と語った。松尾さんも「今でも上部被告が反省しているとは、とても思えない。何とか年内に判決を」と求めた。

◆上告審が結審

 13日の上部被告の上告審弁論で、弁護側は「妄想に支配されたための犯行で、当時は自己制御能力が喪失状態だった」と主張し、死刑判決の破棄を求めた。検察側は「実生活上の行き詰まりから自暴自棄となった末の犯行で、比類のない極めて凶悪な無差別殺傷事件」と反論し、改めて死刑を求めた。上告審はこの日結審した。

2008年6月14日  読売新聞)
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