日本戦略研究所
民主党政権の政治任用制は官僚支配打破の決定打
2003/08/28 (産経新聞朝刊)
政権奪取へ民主方針 省庁幹部、直接任命も 官僚依存から脱却を狙う
民主党は二十七日、次期衆院選後に政権を獲得した場合の組閣の基本方針を固めた。現行の十七の閣僚数は変えず、岡田克也幹事長を無任所か内閣府担当大臣で入閣させるほか、衆参の国会対策委員長を内閣府副大臣に起用、内閣として国会対策を行うことが柱。
このほか、中央省庁の局長以上の官僚全員にいったん辞任を求め、同党の政権公約に賛同する官僚のみを再任する仕組みや、金融庁長官や法制局長官、事務次官など省庁の局長以上のポストに国会議員や民間人を起用する制度の導入も検討している。
九月の合併に向けて調整を急ぐ民主、自由両党は「官僚支配の打破」を大きな政治課題に掲げており、次期衆院選の公約として「霞が関の解体」を打ち出す方針。
「官僚機構に依存してきた自民党政権」との違いを際立たせる狙いもある。
「民主党政権」では、党代表が首相になることに加え、政調会長が官房長官を兼務し、内閣官房で政策調整を担当する。また、幹事長は「無任所大臣」として入閣し、内閣府副大臣に起用する衆参国対委員長とともに閣内から国会対策を陣頭指揮する。国対委員長は国会に常駐し、閣内には衆参の国対委員長代理を官房副長官として入閣させる案もある。
また、行政機構に対する「政治主導」を確立するため、中央省庁幹部を首相や閣僚が直接任免する「政治任用制度」を導入。
該当する高級官僚が民主党の政策に賛同しない場合は、民間人や若手官僚、国会議員をこれに代えて起用することも検討している。
「民主党政権」の閣僚数は、最大十七とする内閣法二条の規定を維持する。現政権と同じ財務、外務、経済財政、安全保障(防衛)などの主要ポスト以外に、「次の内閣」(ネクスト・キャビネット)に置いている「内閣府担当大臣」や「総合雇用政策特命担当大臣」、菅直人代表が現職知事の兼務を念頭に置いている「地方分権特命担当大臣」などを新設する考えだ。閣僚の執務拠点は省庁から首相官邸に移し、必要に応じて事務次官以下の省庁幹部を官邸内の執務室に呼ぶ形式に変える。菅直人代表はこうした方針を踏まえ、次期衆院選前に「主要閣僚名簿」を固める意向だ。
2003/08/10 (産経新聞朝刊)
官僚人事には政治任用制を 民主・岡田幹事長
民主党の岡田克也幹事長は九日、佐賀市内の会合であいさつし、
「菅政権の閣僚はまず、役所の次官や局長を呼び辞表を出させる。
民主党のマニフェスト(政策綱領)に賛同するなら辞表を返すが、ノーなら新しい人を選抜する」と述べ、
同党が政権を獲得した場合、各省庁の幹部人事に政治任用制を導入、同党の政策への賛否を基準に人材を登用していく考えを明らかにした。
政治任用制は同党が先の統一地方選公約に掲げたもので、
幹部人事を各省庁内の調整に委ねず、首相や閣僚が直接任免する制度。
また、岡田氏は同市内での記者会見で、衆院選での民主、自由両党の候補者調整の結果、小選挙区で公認漏れとなった候補の扱いについて「比例単独での立候補はあり得ない。空白小選挙区で出馬する場合はなるべくサポートしたい」と述べた。