再送:大和ハウス工業系の不動産投信が新規上場を中止、市況悪化で需要低く

2008年 06月 10日 19:17 JST
 
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 [東京 10日 ロイター] 大和ハウス工業(1925.T: 株価, ニュース, レポート)は10日、東京証券取引所に予定していた不動産投資信託(J─REIT)「大和ハウスリート投資法人」の上場を中止すると発表した。投資家からの需要が低かったことが要因。サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発した信用収縮が長期化し「今年に入ってから特に不動産やマンション・デベロッパーなどへのおカネの流れが悪くなった」(大手銀行系証券)環境を裏付けている。

 大和ハウス工業は、同社の100%子会社が資産運用を行う「大和ハウスリート投資法人」の投資証券を、6月19日に東証に新規上場(IPO)する予定だった。同投資法人は一般募集とオーバーアロットメントをあわせて12万7000口、600億円程度を調達し、運用対象となる物件を親会社の大和ハウス工業などから購入する計画だった。しかし投資家の需要が低く、IPOを断念することを決めた。

 主幹事は野村証券、日興シティグループ証券、モルガン・スタンレー証券。大和ハウス工業以外にも、サブプライム問題が発生してから、エイブル(8872.Q: 株価, ニュース, レポート)や米AIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)系の不動産投信が日本での上場を断念した経緯がある。

 大和ハウス工業のIR担当者によると、IPOの中止により同社は、同投資法人へ売却を予定していた不動産の運用方針や、5月13日に開示した2009年3月期連結決算見通しへの影響について精査・検討中しており、分かり次第開示する。市況が改善したら再びIPOに踏み切るかについては「今のところ未定」(IR担当者)。投資家の需要が不十分だったのは、不動産投信の中身が悪かったせいかマーケットのせいか、分析する必要もあるとの認識を示している。

(ロイターニュース 江本 恵美記者)

*IR担当者のコメントなどを入れ、再構成しました。

 

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