東京・秋葉原で8日、7人が殺害された事件で、派遣社員の加藤智大容疑者(25)=静岡県裾野市富沢=が事件直前、現場近くでトラックを止め、歩行者天国が始まるまで待機していたことが分かった。調べに「正午から歩行者天国になり人通りが増えることは知っていた」と供述している。警視庁万世橋署捜査本部は無差別殺人を実行するために時間調整をしたとみて裏付けを進める。
調べでは、加藤容疑者は8日午前5時21分、携帯電話の掲示板に「秋葉原で人を殺します」と書き込んだ後、午前8時ごろに、JR沼津駅前のレンタカー会社営業所でトラックを借り、東京に向かった。午前11時45分には「秋葉原ついた」と書いており、正午前には秋葉原に到着していたとみられるが、現場となった中央通りでは歩行者天国はまだ始まっていなかった。
加藤容疑者は、現場から北に約100メートル離れた中央通りにトラックを駐車し、大型量販店でトイレを借りるなどして時間をつぶしていたとみられる。午後0時10分には「時間です」の書き込みがあり、午後0時半ごろ、赤信号を無視して交差点に突っ込んだ。
加藤容疑者は調べに「何度も訪れたことのある秋葉原で事件を起こそうと思った」などと供述。当初から計画的に歩行者天国を狙ったとみて調べている。
一方、加藤容疑者は通行人を襲った際、ダガーナイフ(刃渡り約13センチ)や投てき用ペティナイフなど計3本の凶器を所持しており、ペティナイフは靴下の中に隠し持っていたとみられ、現場でさや付きで発見されている。上着の内ポケットには折り畳み式の小型ナイフを入れていた。
また事件前、携帯電話のアドレス帳やメールの送受信記録などデータを消去していたことについて、加藤容疑者は「周囲に迷惑をかけたくなかった」と理由を説明している。友人や知人が警察から事情を聴くのを防ごうとしたとみられる。【川上晃弘、佐々木洋、町田徳丈】
毎日新聞 2008年6月11日 11時20分(最終更新 6月11日 12時02分)
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