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東京・秋葉原通り魔:加藤容疑者、9日前に「解雇」通告 「不要」扱い怒り?

 東京・秋葉原で8日、7人が殺害された事件で、派遣社員の加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が警視庁万世橋署捜査本部の調べに対し、「これまでの人生が嫌になった」と供述していることが分かった。事件の9日前、職場の現場責任者から、解雇の見通しを通告されていたことも判明。捜査本部は、職場への不満や不安が無差別殺人へと駆り立てるきっかけとなったとみてさらに動機を追及している。

 加藤容疑者は東京都の人材派遣会社に登録し、関東自動車工業東富士工場(静岡県裾野市)に派遣されていた。工場の関係者によると、責任者が先月30日、派遣社員十数人を集めて「派遣社員の中には解雇される人も出る」と説明。加藤容疑者は責任者に「急に言われても何と言っていいか分からない」と返答に困った様子だった。同僚にこの後「青森に帰って仕事でもみつけようかな」と皮肉っぽく漏らしたという。

 ただ、今月3日に一転して雇用継続が伝えられ、加藤容疑者は翌4日「辞めなくてもよくなった」とこの同僚に打ち明けたが、「良かったじゃないか」という同僚の言葉には無反応だったという。同僚は「どうして喜ばないのか不思議だった」と振り返る。

 翌5日午前6時15分ごろ、加藤容疑者は工場更衣室で「つなぎ(作業着)がないぞ」と突然大声を出し、壁を殴るなどして暴れた。この1時間半前に携帯電話サイトの掲示板に「おれが必要なんじゃなくて、とりあえずクビ延期」と不満をぶつけていた。6日には福井市でダガーナイフなどナイフ6本を購入した。

 工場側の説明では、派遣社員を今月末で減らす計画があったが、加藤容疑者は対象ではなく、そう伝えられていた。また、作業服は更衣室付近にあった。しかし、加藤容疑者は現場責任者との面談の前の先月22日にも、職場の暑さに「ふざけるな」と大声を上げていたという。雇用継続を伝えられても、加藤容疑者の職場や仕事へのいら立ちは解消されなかった可能性が高く、捜査本部で詳しい経緯を調べている。【川上晃弘、浜中慎哉、山田毅】

毎日新聞 2008年6月11日 東京朝刊

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