「平沼新党」勝負のとき:平沼赳夫<対談>関岡英之(3)
2008年6月9日(月)18:15←前のページ 1 | 2 | 3 | 4 | 5 次のページ→
外資に頼るか、日本の潜在力を引き出すか
平沼 私は台湾から戻ってきたばかりですが、いま、中国大陸から台湾海峡を睨み、1338基の中距離ミサイルが並んでいます。ここ二10年来、中国は軍事費を十数%から20%ずつ伸ばしてきました。毎年、ミサイルが250基ずつ増やせるのです。発射台の角度を変えれば日本全土が射程に入るわけで、それには広島型原爆の30倍の威力の核弾頭が搭載可能。もはや、東シナ海は事実上、中国のものになっている。
そして、東シナ海のガス田開発に関しても、中国は沖縄まで触手を伸ばしてきています。日本のシーレーンが危険にさらされているんです。じつはミサイルを一発も発射しなくても、シーレーンを封鎖するだけで日本の原油輸入は途絶してしまうので、中国の恫喝に従わざるをえなくなる。このような脅威が強まるなか、移民庁をつくって中国人をどんどん入れるなんてトロイの木馬を引き入れるようなものです。
関岡 おっしゃるとおりで、中国にとっては移民の送出も重要な国家戦略の一環です。中国人は「和平演変」といいますが、思想や経済などの非軍事的手段も対外戦略として駆使しています。私は、移民、つまりヒトの流入もさることながら、カネの流入、つまり経済侵略も警戒すべきだと考えます。中国は世界一を誇る外貨準備の積極運用を図るため、中国投資有限責任公司という会社を立ち上げましたね。
平沼 中国のソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)、いわゆる政府系ファンドです。
関岡 そうです。2月13日、その経営者が早速来日し、渡辺喜美金融担当大臣が会見に応じました。そこで渡辺大臣は、「大歓迎だ、拒否する理由はない」と言い切った。しかし、じつはこの政府系ファンドは国際石油開発帝石ホールディングスの株を大量に取得する意向、とイギリスの『タイムズ』が報道しているんですよ。
平沼 国際石油開発はイランのアザデガン油田の権益をもっています。これは私が経済産業大臣のとき、イランを訪問して信頼関係を築き上げ、優先権を獲得した世界最大級の油田。一方、帝国石油は東シナ海のガス田の権益をもっている会社ですから、民間企業といってもわが国のエネルギー安全保障上、死活的に重要な事実上の国策会社です。渡辺さんはそれをわかったうえでいっているのか。
ロシアのソブリン・ウェルス・ファンドも日本製鋼を買収したいという意向を示していますね。日本製鋼は原子力発電所の核燃料容器の製造技術をもっていますが、「6000億円なら安い買い物だから買おう」といってきている。こういうことは市場原理では防げないわけで、戦略産業の外資規制は絶対に強化すべきです。
関岡 株式だけでなく、不動産も危ない。作家で外務省元主任分析官の佐藤優さんは、ロシアが北海道の企業や不動産を買収しようとしているのをもっと警戒すべきだと指摘されています。私は以前からチャイナタウン建設計画について警鐘を鳴らしています。構造改革の結果、“シャッター通り”になってしまった商店街を、チャイナマネーを誘致して丸ごと中華街に改造しようという計画が、仙台や福岡など地方の中核都市で進められている。これでは中国からの入植者の受け皿が、全国各地に増殖してしまいます。
平沼 対馬でも韓国資本が土地をどんどん買い占めている、韓国人がどんどん入って来ている、とメールで知らせてくれた人がいます。平気で土地を売る日本人もいるわけですが、多くの心ある日本人は、このままでは対馬を韓国に乗っ取られてしまう、と危機感を抱いている。
関岡 移民などのヒトの移動、ソブリン・ウェルス・ファンドや不動産ファンドなどカネの移動、そして毒入りギョーザに象徴される食品食材などモノの移動といった「グローバリゼーション」なるものを、たんに経済の見地からだけでなく、国家安全保障戦略という観点から洗い直す必要があると思います。結局は、国家の自立の問題ではないでしょうか。
いま日本にはフリーターが200万人、ニートが60万人、専業主婦が1600万人います。それなのにどうしてすぐ「移民を入れるしかない」という発想になるのか。何かといえばすぐ外国に頼る。それもつい最近まで「アメリカ、アメリカ」といっていたのに、いつのまにか相手が中国に入れ替わっている。「アメリカが落ち目なら中国」とばかり、大国になびこうとします。少子高齢化はたしかに難題ですが、外資や移民に頼るのか、それとも日本人が本来もっている潜在力を引き出すことに知恵を絞るのか、それが今後、国論を二分する対抗軸になってくる気がします。
平沼 潜在力という点では高齢者パワーも忘れてもらっては困ります。古希というのは「古来希」という意味ですが、いまでは70歳以上の人々でも、まだまだ働ける、働きたいという方がたくさんいる。すでに70歳は古希ではなく、「近来常」なんですよ。少子高齢化のマイナス面ばかりがいわれるけれど、年を取って、知識もあって、経験を積んでいる元気な人たちの力をまだ、日本は活用できるはずです。
平沼 私は台湾から戻ってきたばかりですが、いま、中国大陸から台湾海峡を睨み、1338基の中距離ミサイルが並んでいます。ここ二10年来、中国は軍事費を十数%から20%ずつ伸ばしてきました。毎年、ミサイルが250基ずつ増やせるのです。発射台の角度を変えれば日本全土が射程に入るわけで、それには広島型原爆の30倍の威力の核弾頭が搭載可能。もはや、東シナ海は事実上、中国のものになっている。
そして、東シナ海のガス田開発に関しても、中国は沖縄まで触手を伸ばしてきています。日本のシーレーンが危険にさらされているんです。じつはミサイルを一発も発射しなくても、シーレーンを封鎖するだけで日本の原油輸入は途絶してしまうので、中国の恫喝に従わざるをえなくなる。このような脅威が強まるなか、移民庁をつくって中国人をどんどん入れるなんてトロイの木馬を引き入れるようなものです。
関岡 おっしゃるとおりで、中国にとっては移民の送出も重要な国家戦略の一環です。中国人は「和平演変」といいますが、思想や経済などの非軍事的手段も対外戦略として駆使しています。私は、移民、つまりヒトの流入もさることながら、カネの流入、つまり経済侵略も警戒すべきだと考えます。中国は世界一を誇る外貨準備の積極運用を図るため、中国投資有限責任公司という会社を立ち上げましたね。
平沼 中国のソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)、いわゆる政府系ファンドです。
関岡 そうです。2月13日、その経営者が早速来日し、渡辺喜美金融担当大臣が会見に応じました。そこで渡辺大臣は、「大歓迎だ、拒否する理由はない」と言い切った。しかし、じつはこの政府系ファンドは国際石油開発帝石ホールディングスの株を大量に取得する意向、とイギリスの『タイムズ』が報道しているんですよ。
平沼 国際石油開発はイランのアザデガン油田の権益をもっています。これは私が経済産業大臣のとき、イランを訪問して信頼関係を築き上げ、優先権を獲得した世界最大級の油田。一方、帝国石油は東シナ海のガス田の権益をもっている会社ですから、民間企業といってもわが国のエネルギー安全保障上、死活的に重要な事実上の国策会社です。渡辺さんはそれをわかったうえでいっているのか。
ロシアのソブリン・ウェルス・ファンドも日本製鋼を買収したいという意向を示していますね。日本製鋼は原子力発電所の核燃料容器の製造技術をもっていますが、「6000億円なら安い買い物だから買おう」といってきている。こういうことは市場原理では防げないわけで、戦略産業の外資規制は絶対に強化すべきです。
関岡 株式だけでなく、不動産も危ない。作家で外務省元主任分析官の佐藤優さんは、ロシアが北海道の企業や不動産を買収しようとしているのをもっと警戒すべきだと指摘されています。私は以前からチャイナタウン建設計画について警鐘を鳴らしています。構造改革の結果、“シャッター通り”になってしまった商店街を、チャイナマネーを誘致して丸ごと中華街に改造しようという計画が、仙台や福岡など地方の中核都市で進められている。これでは中国からの入植者の受け皿が、全国各地に増殖してしまいます。
平沼 対馬でも韓国資本が土地をどんどん買い占めている、韓国人がどんどん入って来ている、とメールで知らせてくれた人がいます。平気で土地を売る日本人もいるわけですが、多くの心ある日本人は、このままでは対馬を韓国に乗っ取られてしまう、と危機感を抱いている。
関岡 移民などのヒトの移動、ソブリン・ウェルス・ファンドや不動産ファンドなどカネの移動、そして毒入りギョーザに象徴される食品食材などモノの移動といった「グローバリゼーション」なるものを、たんに経済の見地からだけでなく、国家安全保障戦略という観点から洗い直す必要があると思います。結局は、国家の自立の問題ではないでしょうか。
いま日本にはフリーターが200万人、ニートが60万人、専業主婦が1600万人います。それなのにどうしてすぐ「移民を入れるしかない」という発想になるのか。何かといえばすぐ外国に頼る。それもつい最近まで「アメリカ、アメリカ」といっていたのに、いつのまにか相手が中国に入れ替わっている。「アメリカが落ち目なら中国」とばかり、大国になびこうとします。少子高齢化はたしかに難題ですが、外資や移民に頼るのか、それとも日本人が本来もっている潜在力を引き出すことに知恵を絞るのか、それが今後、国論を二分する対抗軸になってくる気がします。
平沼 潜在力という点では高齢者パワーも忘れてもらっては困ります。古希というのは「古来希」という意味ですが、いまでは70歳以上の人々でも、まだまだ働ける、働きたいという方がたくさんいる。すでに70歳は古希ではなく、「近来常」なんですよ。少子高齢化のマイナス面ばかりがいわれるけれど、年を取って、知識もあって、経験を積んでいる元気な人たちの力をまだ、日本は活用できるはずです。
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