満床を理由に救急搬送の受け入れを断った医療機関の半数は、実際には空きベッドがあるのに、医師や看護師などの不足が原因で受け入れできない状況にあることが、厚生労働省のサンプル調査で分かった。「常に満床」と答えた医療機関は1割強しかなく、医師不足が救急医療体制の維持を難しくしている実態が浮かんだ。
サンプル調査は先月30日に実施。救急搬送に関する総務省消防庁の調査で昨年度、搬送先を探す際に4回以上の照会が必要だったケースの割合が、全国平均の3.9%を上回った東京都や大阪府など10都府県で53病院を抽出し、「満床」と搬送拒否した理由の内訳を聞いた(複数回答)。
その結果、「病院全体が常に満床」は4カ所、「救急病棟のみ常に満床」は3カ所で、常時救急用のベッドに空きがないのは全体の13%にとどまった。
一方、51%に当たる27カ所は「空きベッドはあるが、人手や医療器材が不十分」と回答。「搬送を断るために『満床』と言った」病院も3カ所あった。
厚労省は毎年、入院の必要な重症患者を受け入れる2次救急病院の当直医師数を調査している。今年度からは医師の勤務状況や臨床検査技師の有無など新たな調査項目を追加、救急医療における人材確保策の検討材料にする。【夫彰子】
毎日新聞 2008年6月10日 22時27分