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ラノ漫―ライトノベルのマンガを本気で作る編集者の雑記― このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-06-07

[]雷句誠氏の告発問題に関する雑感(1)


今日の一枚

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食器棚からコンニチワ。


今回の雷句誠氏の一件については納得できる点と首肯しかねる点があります。


まず最初に絶対に容認できない点から。氏のblogで実名付きで人間性や仕事の姿勢を非難された編集さんたちについてですが、サンデーの連載作家からさっそく以下のような反論が出ております。


橋口たかしブログ橋口たかし 緊急 臨時ブログ

私の担当編集者である「冠茂」ですが、全く関わりのない彼がなぜ誹謗中傷されているのか、全く訳がわかりません。(中略)こんな漫画バカな編集者はなかなかいません。我が強いので官僚的な人間たちの中に敵を作りやすい側面は否めませんが、面白い話を作るためだったら寝る間も惜しんで倒れそうになりながらも、決して妥協をしない、そんなバカ野郎です。

喧嘩はしょっちゅうで、殴り合いになりそうなこともシバシバありましたが、それは本気で面白い作品を作ろうとしたうえでの儀式みたいなものですし、それについて来れないくらいだったら漫画家なんか目指すな!!

・・・といいたいです。


冠茂氏については私は直接の面識はありませんが、某社の編集さんと飲んだ時に伝え聞いた話では


話とネタを考えることについては紛れもなく天才で、自分が生涯知り合った中でもっとも優秀な編集者と断言できる。ただ、同時に人を見下すことにかけても天才的だったなぁそういえば。


といった感じの人物であるらしいです。舌鋒が鋭すぎて誤解されるタイプの人なのではないかと思われます。ともあれ、橋口氏がおっしゃるとおり直接面識もなければ今回の提訴について何の関係もない編集者を実名で中傷したのは、勇み足であると言わざるをえません


また、他の編集者についても


橋口たかしブログ橋口たかし 緊急 臨時ブログ

次に、編集者 高島雅氏と飯塚洋介氏に関してもそうですが、私が知っている彼らは、物凄く漫画に対して真摯な姿勢を持つ編集者です。高島氏は、いつもニコニコしてて仏みたないな人ですし、漫画製作に対する理論も素晴らしいものを持っています。飯塚氏とは、漫画談義で、涙を流しながら熱く語ったことがあります。そのくらい、漫画に対して真面目な人間たちです。その彼らを貶めるような雷句氏の行動がどうしても解せません。

考えてもみてください。来る編集者来る編集者、ガン飛ばしにきますか普通?転校生が転校先で、なめられるものかと虚勢をはって、「俺は本当は怖いんだぜ」などとクラスの連中に対して威嚇という子供じみた行為を雑誌社で働いてるイイ大人たちがしますか普通?常識的に考えてみてください。小学館小学校じゃあないんですよ。街中でたまたまチンピラと目が合って「なにガンとばしてんだよ」といきなり言い掛かりをつけられたのは、ある意味編集者側でしょう。小学館漫画賞を取り、アニメ化までした作家は、編集者にとっては、逆に威厳を振りかざしかねない怖い存在なんですよ。


という擁護意見が出ております。雷句氏は彼の歴代担当編集について「なぜ、替わる担当替わる担当、喧嘩を売ってくる必要があるのだ?」と陳述書に書いていますが、橋口氏の擁護を見る限りにおいては、編集側の直截的な意見を「喧嘩を売っている」と曲解しているようにしか見えません。


これは想像ですが、歴代の担当編集者たちは前任者から「雷句先生は気難しくて押しが強い人だから、彼の意見に押し切られないよう気丈に接するように」といった説明を受けていたのではないでしょうか。また、今回の陳述書の文面を見る限り、気の弱い編集ではとても制御ができそうにないことから、しっかりと意見を言えるタイプの人間が優先して担当に回されていた可能性も考えられます。そういった措置が裏目に出て「生意気だ」と見られてしまったのかもしれません。


雷句氏は陳述書の冒頭で、今回の提訴の動機を「あまりにも編集者出版社と言う物が漫画家を馬鹿にし始めた」と述べていますが、陳述書を読むと「そういうあなたも編集者を馬鹿にしているのではないですか」という思いがぬぐえなくなるというのが正直なところです。


なんだか雷句氏の方ばかりを批判してしまいましたが、原稿を紛失してしまったのはもちろん編集者の側が全面的に悪いですし、その後の対応もけして良いとは言えません。それに、出版社編集者が現在さまざまな問題を抱えているのも事実です。かなりの長文になってしまうので、この辺の問題については明日にでもエントリを分けて言及してみたいと思います。


※追記

UPした後で気付きましたが、橋口氏本人が立ち上げたblogであるという確証がとれてない段階で引用してしまったのは軽率ですね。釣られている可能性がありますので、その時はごめんなさいです。


マンガ編集者狂笑録 (水声文庫)

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