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禁煙・分煙じわり/喫煙率全国1位・北海道
朝日新聞2003年11月26日(水)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?kiji=5949

禁煙・分煙じわり

パチンコ店、客増加

飲食店「空気おいしい」


  男女ともに喫煙率全国1位をひた走る北海道で、分煙化の動きが進んできた。5月に健康増進法が施行され、交通施設や飲食店など多くの人が利用する施設の管理者に、他人にたばこの煙を吸わせないようにする「受動喫煙の防止措置」を講ずる努力義務が課せられたからだ。喫煙者の周りの人の健康をも損ないかねないたばこの煙。非喫煙者の間からは、包括的な対策を求める声も上がっている。
■ 空港やJR


天井までガラス張りの喫煙室内。ガス状成分は天井の排気設備により屋外へと流れ出る=新千歳空港で


  新千歳空港では今月から、ターミナルビル内に天井まで囲ったガラス張りの喫煙室が立ち始めた。厚労省の分煙効果判定基準を上回る秒速30〜40センチの風が出入り口から室内に向かって流れ、煙は外に流れ出ない。月末までに15カ所に立つ。

  以前の喫煙所は天井までの囲いがなく、ビルを管理運営する北海道空港へ「煙害」の苦情が寄せられていた。このため、同社は約3億5千万円かけて完全分煙化に着手。ビル内の喫煙スペースを23カ所から15カ所に集約、面積も54%減らした。

  JR北海道の駅舎は一部無人駅などを除き、分煙施設がある札幌駅と函館駅以外は禁煙だ。1日約16万人が利用する札幌駅には3月、東西コンコースに1カ所ずつ喫煙所ができた。集煙装置が置かれ、隔壁内側の壁も煙を吸い込む仕組みだ。

  煙のイメージが強い遊技施設でも分煙が始まった。札幌市中央区のパチンコ店「パーラー太陽4丁目店」は9月から3階から地下1階のフロアのうち地下1階を禁煙にした。心配した客の苦情もなく、喫煙者は気兼ねなく紫煙をくゆらせ台に向かえるようだ。客数もじわりと増えているという。
■ HPで紹介

  道地域保健課は昨年12月、分煙対策の一環として「空気もおいしいお店推進事業」を始めた。

  道立保健所、函館・旭川両市の保健所管内の飲食店営業許可店のうち、禁煙・分煙店を「空気もおいしいお店」に登録。ステッカーを交付し、道のホームページで紹介している。登録店は法施行前の4月まで39店だけだったが、1年で142店(25日現在)まで急増した。

  上川支庁美瑛町では、ペンションを中心に最多の18店が登録。9割が道外出身者の経営という。夫と愛知県から移り住み、98年から一緒にペンションを営む下平公枝さん(65)は「美瑛のきれいな空気が好きで来たオーナーが多いからでは」と推測する。

  全道的にみれば登録店はまだまだ少ないが、道地域保健課は「禁煙・分煙で客離れを心配する店もある。すべての店で可能ではなく、目標値はたてづらいが、PRに努めたい」と語る。

■ 道が調査へ

  道が00年度、道内の保健所や保健センター、市町村庁舎計390カ所を調べたところ、分煙機器を置いていたのは3分の1の124カ所だけだった。道庁・各支庁での全面分煙は8月に始まったばかり。道は今後、同様の受動喫煙防止対策状況を調査する予定だ。

  「喫煙王国」北海道で、分煙を推進するにはどうすればよいか。「北海道分煙社会をめざす会」の清水央雄代表は「公共の場での禁煙を進め、どこでも自由に吸えるという雰囲気をなくさなくてはならない。包括的にいろんな対策を取るべきだ」と指摘する。

健康増進法 施行から1年

喫煙率 男女とも全国1位

男性   54%で4年連続に

女性   27%は最低の3倍


  北海道は全国屈指の「喫煙王国」だ。成年男女を対象にしたJTの「全国たばこ喫煙者率調査」の03年調査結果によると、全国9ブロック別に見た喫煙率は、道内の男性が54・8%で4年連続、女性は27・5%で31年連続1位となった。

  男性の喫煙率は全国最低の北陸・甲信越(44・9%)と比較してもあまり差はないが、女性は他ブロックと比べ、群を抜いて高い。全国最低の10%の北陸・甲信越、東海の3倍近くある。

  たばこによる生活習慣病などを減らそうと、道は01年3月に「北海道健康づくり基本指針」を策定した。その中で、たばこやアルコールなど生活習慣7項目で10年度までの目標を設定。たばこ関係では、分煙対策推進など四つの目標を掲げ、喫煙率の全国平均以下達成なども盛り込んだ。
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