女子陸上長距離界のホープで、北京オリンピック代表入りが期待されていた絹川愛選手(18)が、今月下旬に行われる北京オリンピック代表選考会を兼ねた日本選手権への出場を断念した。絹川選手は、日本では症例のない「未知のウイルス」に感染し、左ひざに激痛が走るなどの症状が出ていた。合宿を行った中国・雲南省昆明で感染した疑いが指摘されている。 絹川選手は去年4月、初挑戦した1万メートルでジュニア日本新記録を樹立。その後、出場した世界陸上大阪大会では14位と、女子長距離界のホープとして北京行きを期待されていた。しかし、関係者によると、去年末、左右の大腿(だいたい)骨の一部を疲労骨折し、さらに今年2月には、左ひざにも激痛が走るようになったという。症状が和らぐことはなく、東京都内の病院で検査を受けた結果、「未知のウイルス」に感染していたことが明らかになった。
絹川選手は去年3月、昆明での合宿に参加した。昆明は女子マラソン・土佐礼子選手や野口みずき選手ら日本の陸上選手の多くが訪れる有数のトレーニング地だが、主治医は、日本国内での症例がなく、絹川選手がその後、ほかの国に行っていないことから、昆明での感染を指摘している。
因果関係は不明だが、去年3月に昆明で合宿を行った野口選手は湿疹(しっしん)が出て体調を崩した。また、女子マラソン・高橋尚子選手も昆明での合宿で下痢になり、数日間寝込んだ経験がある。
絹川選手は今後、北京後を見据えて治療を続けることになる。