iPhone、ソフトバンクを選んだわけ2008年06月05日01時45分 ソフトバンクモバイルは4日、米アップルの携帯電話、「iPhone(アイフォーン)」を年内に発売する、と発表した。好調なソフトバンクが、欧米で大ヒットした機種を手にして、最大手のNTTドコモに挑む。日本でも、メーカー主導の携帯販売が広がるきっかけになるのか。
■契約増評価、孫氏人脈も iPhoneは、大画面にふれて操作するタッチパネル方式で、操作の快適さが人気の理由。アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」と同様の音楽・動画再生機能もある。米国での価格は、399ドルと499ドル(約4万〜5万円)。07年6月の発売から約2カ月で100万台が売れ、08年3月までに欧米などで540万台を販売した。 ソフトバンクの4日の発表は、アップルと契約を結んだことだけで、販売時期や価格、詳しい機能は明らかにしていない。米国で9日(日本時間10日)にアップルのイベントがあり、高速通信ができる第3世代(3G)機が発表され、欧米とともに、日本にも投入する段取りのようだ。 iPhoneをめぐっては、ソフトバンクとNTTドコモが、アップルと水面下で交渉。各国で最大手から発売されたため、ドコモ優位との見方もあった。通信料収入の一部をアップルに納める仕組みがあり、「ドコモが難色を示し、ソフトバンクが折り合った」との見方がある。さらに、アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)とソフトバンクの孫正義社長の個人的な交流も有利に働いた模様だ。 ソフトバンクは、夜間を除き自社間通話を無料にしたホワイトプランで顧客を広げ、昨年度の契約増加数はドコモの3倍以上の268万件。CM好感度でもトップを走る。こうした「勢い」をアップル側が評価した格好だ。 ドコモは4日、「引き続き販売に向けた可能性を検討していきたい」とコメント。ドコモからも売り出される可能性はあるが、ソフトバンクは先行の利点を生かして、契約増を狙う構えだ。 iPhoneが成功すれば、日本市場特有の携帯の売り方にも影響を与えそうだ。日本では、世界の流れとは異なり、携帯電話会社が主導して端末開発から販売まで一貫でサービスを提供してきた。iPhoneをきっかけに、メーカー主導の開発・販売が進めば、新機能やサービスの競争が広がる可能性がある。 ■日本人の心、つかめるか アップルの08年の販売目標は1千万台。世界の携帯電話市場の約1%にあたる。欧米並みにアップルのブランド力がある日本には、ヒットする素地があると期待する。 これまでのiPhoneは通信速度が遅いのが弱点だった。日本で3GのiPhoneがヒットすれば、米国市場での3G機普及を刺激し、「1千万台の達成がほぼ確実になる」(米シティグループのアナリスト、リチャード・ガードナー氏)。 ただ、ワンセグやおサイフケータイなど固有のサービスが浸透し、大画面や高画質の端末が店頭にひしめく日本では、iPhoneの競争力に不透明な部分も残る。米国では、iPhoneを買うと、自分でパソコンとつなげ電話番号をもらうといった「開通作業」が必要だ。店頭で待つ必要がないが、不慣れな利用者は敬遠しかねない。 日本ではテンキーでの入力が定着しているメール送信の使い勝手も未知数だ。価格も売れ行きのカギになる。アップルとソフトバンクがこうした課題をどう乗り越えるかに勝負がかかっている。 PR情報この記事の関連情報ビジネス
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