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野球:これでプロ? 雨天試合で観客無視の怠慢プレー

ボールも見ずに空振りを繰り返す選手たち。6-1のリードで迎えた起亜の4回裏の攻撃で、イ・ジェジュ(上)とキム・ウォンソプが、雨のためノーゲームとなるのを恐れ、試合を速く進めるために気の抜けたスイングを繰り返している。

 果たしてこれをプロスポーツと呼べるのだろうか。

 全国的に雨模様となり、起亜とハンファの試合だけが行われた4日の光州球場。球場を訪れたファンとテレビの前の視聴者たちは、とてもプロのものとは思えない試合内容に、ただただ苦笑するほかなかった。

 試合の前半、起亜がハンファ先発のチョン・ミンチョルをとらえて一挙6点を挙げ、試合の流れをほぼ決定付けた。すると3回、試合前から厚い雲で覆われていた上空から雷を伴った強い雨が降り始めた。今にも雨天のためノーゲームが宣告されそうになった瞬間、両チームの新たな戦いが始まった。試合の流れをなんとかして遅らせようとするハンファと、一刻も早く終わらせようとする起亜の激しい攻防だ。

 このおかしな戦いの火ぶたは、ハンファによって切って落とされた。ハンファの選手たちは守備を終えてダグアウトに戻るときだけでなく、打席に入る際にも何かと時間を浪費した。ワケもなく何度もスイングしてみたり、ゆっくりとストレッチングまでしたりしてバッターボックスに入るのだ。スタンドからはおのずとブーイングが巻き起こった。

 さらに守備では考えられないプレーが続出した。左翼のイ・ヨンウが十分捕球できる飛球を後逸し、投手のマ・ジョンギルは投ゴロをわざとトンネルする始末。だれが見ても明らかに意図的と分かる失策だった。おまけに李鍾範(イ・ジョンボム)の盗塁には目もくれず、ハンファのバッテリーには阻止しようとする気が全く見られない。

 こうしたハンファの戦略にまんまと乗ってしまう起亜も起亜だ。ハンファの2番手としてマウンドに上ったマ・ジョンギルの投球に「恐れ入りました」と言わんばかりの気のない空振りを断行。これに応戦したのだ。3回裏にはチャ・イルモクが四球で出塁したものの、残りの3人は意図的な空振りであえなく三振に倒れた。

 4回裏の攻撃も同様だった。1死一、三塁のチャンスで、起亜のイ・ジェジュとキム・ウォンソプはバッターボックスの一番遠い所に立ち、球も見ないで空振りを始めたのだ。マウンドのマ・ジョンギルにもストライクを投げるつもりはさらさらない。こうした両チームの「醜態」は、ノーゲームを宣言する基準となる5回を終え、「当然」見られなくなった。

 1982年に派手な発足を遂げたプロ野球のキャッチフレーズは「子どもたちに夢と希望を」だった。しかし、この日の両チームの利己的な行動で、子どもたちの心は少なからず傷ついた。これが、大雨の中、傘を差してプレーを見守ってくれたファンに対する礼儀なのか。

 観客動員数500万人突破の夢に沸いている今年の韓国プロ野球。せっかく到来しているプロ野球ブームに水を差した選手たちの道徳観が問われてしかるべきだろう。

光州=チョ・ヒョンサム記者

スポーツ朝鮮/朝鮮日報日本語版
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