不況の実感が漂い始めた日本
政府や役人は、本当に仕事をしているのか?
政府が毎月公表している経済月例報告によれば次のような言葉で5月は表現されていた。
景気回復はこのところ足踏み状態にある。(これは4月も同じ表現)
今月になって変化した指摘は次の文面です。
4月 輸出は緩やか増加している。
住宅建設はおおむね持ち直している。
5月 輸出は伸びが鈍化している。
住宅建設はおおむね持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている。
政府自身も景気が悪くなり始めたことを認めてはいるが、実感としてはこんなものではない。昨晩、建設関係の仕事に携わっている方3人と池袋でお会いして飲んだが、かなり深刻に捉えていた。
地方の建設関係はまるで火が消えたような状態が続いていたが、それでも東京においては、マンションの建設などで活気がありました。しかし、ここに来てマンションの建設もぴたりと止まった感じがすると皆さん仰っていた。
その理由を幾つか挙げて見ます。
1、不動産が下落し始めて、銀行が金を貸さなくなった。
2、鉄骨の値段が急騰して、工事を手控えるデベロッパーが多い。
3、改正建築基準法の影響が未だに収束していない。
このようなものですが、特に2番目が深刻なのだそうです。鉄骨に関しては、トン当たり10万円以上にもなっている。これまで長く5万円台で十年以上落ち着いていたのに、ここにきて倍増してしまった。
「正直言って手抜き工事でもしなければ、採算が取れない」(業者)
しかし、シナのようにコンクリートに竹や木材を入れてごまかす訳にもいかないと苦笑していたが、かなり厳しい状況にあることは確かなようです。
輸出入関連産業は為替の動きなどにも左右されますが、現在何と言っても大きな問題は<投機>によって、材料の値段が上がっていることです。
鉄鋼材の値は中国が北京五輪のために買いあさったので、値が上がったとされて来ましたが、今回の急騰は他の資源と同様に世界的な投機によってもたらされたものと思います。
政府はさほど悪くなっているとは感じていないような表現ですが、そのような甘い認識で現状を見ていることに多くの国民は懸念を抱いているのではないか。
政府は今後の見通しとしては次のような見解を述べています。
「輸出が増加基調で推移し、景気は緩やかに回復していくと期待される。しかし、サブプライ住宅ローン問題を背景とするアメリカの景気後退懸念や株式・為替市場の変動、原油価格の動向等から、景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要がある。」
一応は心配しているようにも見えますが、こんなものではすまないでしょう。もっと危機感をにじませるものが必要ではないか。
では、具体的にどのような対策を講じようとしているのかが、さっぱり見えてこない。もう、言葉だけを並べ立てても、それを信じる国民などいない。
福田康夫は海外への援助を次々に決めているが、まるで自分の財布と勘違いしてはいないか?海外への援助も必要だろうが、今最も必要なのは、鈍化傾向というよりは急速に落下している日本経済を、今後どのように浮上させるかにある。
しかし、今の福田政権にそれを期待することなど無理な話でしょう。今為政者は一体、この国のことを本気になって考えているのか?
モノの値上がりを世界的な投機のせいにだけにしても何の解決にもならない。そんな分かりきったことを国民は今更聞きたくもない。そのような中でどのような対策を実施するかです。
又、世界中にカネをばら撒くような愚かなことは止めるべきです。日本がもうそんなに豊かな国でないことは誰でもが知っている。今のような手法を重ねる度に国民の不満が増していることに早く気がつくべきではないのか。