会見で謝罪する泉院長(右)=富山市役所
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富山市民病院(泉良平院長)で昨年五月、二十代の男性医師が同市内の女性患者=当時
(85)=に対し、呼吸を確保するための「気管カニューレ」を使用する際に誤って気管
を破るなどして装着したため、女性が窒息死していたことが二日、分かった。同病院から
届け出を受けた富山中央署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて慎重に捜査している。
二日の市議会厚生常任委員会(南俊正委員長)で、泉院長が明らかにした。
富山市民病院によると、女性は昨年四月、急性硬膜下血腫のため入院し、血腫の除去手
術を受けた後、集中治療室を経て一般病棟に移った。五月下旬、男性医師が気管カニュー
レを交換したが、約三十分後に心肺停止状態になっているのを女性看護師が見つけた。病
院側は心臓マッサージを施すとともに、強心剤の投与などを行ったが、女性は約二時間後
に死亡した。
病院側によると、気管カニューレは気管の奥を突き破る不完全な状態で装着され、気道
が十分確保されていなかった。さらに、男性医師は気管カニューレの交換後、正常に呼吸
しているかについて十分な確認を怠った。
男性医師は当時、医師免許取得後三年目の後期研修中で、気管カニューレの交換は先輩
医師と七回あり、単独では事故のケースが三回目だった。医師は今年三月、県外の病院に
転勤している。
病院側は、事故直後に女性の家族に謝罪、今年五月下旬に示談が成立した。泉院長は厚
生常任委員会と、その後の会見で「大変申し訳ない。今後は安全な医療に努める」と謝罪
した。
今回の医療事故は、発生から一年以上を経過しての公表となった。富山市民病院は昨年
二月に医療事故等公表基準を設けおり、患者の死亡時には半年をめどに速やかに公表する
ことになっている。同病院は、示談が成立するまで遺族の同意が得られず、公表が遅れた
としている。