イスラエルとパレスチナの和平交渉が再開されている裏で、イスラエルは今もパレスチナとの間に壁の建設を続けています。この壁に囲まれてしまったパレスチナ人の家を取材しました。
イスラエルの入植地が間近に見えるパレスチナ自治区・ベツレヘム。この街で、ある家を訪ねました。イスラエルが建設を続けている分離壁の間近にパレスチナ人の住宅があります。この住宅、完全にイスラエルによる壁に囲まれてしまっています。
「私たちの苦しみを考えてみてください。仕事、生活、そして景色まで奪われてしまった。想像してみてください。私たちの気持ち、特に子供たちのトラウマを」(壁に囲まれた家の主婦)
窓のすぐ側に高い壁。光は遮断、家族は苦しみつづけているのです。この分離壁はテロを防止するとの名目ですが、ヨルダン川西岸に点在するイスラエルの入植地を守るように作られていて、西岸地区に大きく入り込んでいます。将来の国境線の固定化につながるともみられているのです。
「イスラエルの壁が入植地を守って作られた現状では、ヨルダン川西岸の多くの土地がイスラエル領になってしまうかもしれない」(パレスチナ自治政府の担当者)
「怒りを感じます。でも私は一市民にすぎません。誰が聞いてくれるというの?」(壁に囲まれた家の主婦)
和平交渉再開以降も壁の建設をやめようとしないイスラエル。入植地の建設も続いており、パレスチナでは「和平」の言葉があまりに虚しく響いています。(03日06:16)