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有害サイト:規制、業界努力に期待 パソコンメーカー、「制限ソフト」搭載義務

 自民党と民主党がインターネットの有害情報から18歳未満の子供を守るため、今国会に提出する共同法案は2日、何が有害情報に当たるかを判断する民間の第三者機関に政府が関与しないことで与野党が合意した。背景には、ネット業界が「国による実質的な情報統制は、表現の自由との兼ね合いから問題だ」と強く反対し、自主的に第三者機関の設立に動くなど、自浄努力の姿勢を示したことがある。自民党は当初、第三者機関を「国が指定する」など、規制強化の姿勢を示したが、民主党や業界の説得に応じる格好となった。

 同法案でパソコンメーカーはフィルタリング(閲覧制限)ソフトの搭載、サーバー管理者は有害情報に子供が安易に接しないよう管理する努力などが新たに義務付けられる。

 自民党は当初、「青少年特別委員会」(委員長・高市早苗前少子化担当相)が出会い系サイトなど有害情報の管理や規制を強化する法案を検討。年齢ごとにフィルタリングの対象を定めるほか、有害情報の認定は国が行うとしたが、党内で反発が強く、「第三者機関の設置」で落ち着いた。しかし、自民党は「国が指定した民間の第三者機関が認定を行うべきだ」と主張。「民間の自主的な努力に任せるべきだ」とする民主党と対立した。

 第三者機関への「国の関与」については、ヤフー、マイクロソフト、楽天などネット関連5社が4月23日、「自民党青少年特別委の法案では事態が改善する見込みがなく、表現の自由など憲法上の問題をはらむほか、ネット文化・産業の衰退を招来する」と、いち早く反対を表明した。

 5社は(1)情報の価値判断は個人によって多様。業界は自主的に有害と判断する基準を作り、根絶に取り組んできた(2)規制強化は海外からの有害情報にほとんど効果がない--などと指摘。ネット関連業界は「先手必勝」とばかりに、4月8日に携帯電話のサイトが健全かどうかを認定する第三者機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」を設立。同25日には携帯電話やパソコン向けの第三者機関「インターネット・コンテンツ審査監視機構」が設立を表明。業界代表や有識者が判断基準を作り、9月をめどに健全なサイトの認定を始める予定だ。【川口雅浩】

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 ◇有害サイト規制法案骨子

・保護者が反対した場合を除き、携帯電話会社に18歳未満の子供へのフィルタリングサービス提供を義務付ける

・パソコンメーカーにフィルタリングソフトの搭載を義務付ける

・サーバー管理者に子供が有害情報に触れないようにする努力を義務付ける

・保護者に子供がネットを適正利用できるよう教育する努力を促す

・有害サイト対策をめぐる関係閣僚会議を設置

毎日新聞 2008年6月3日 東京朝刊

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