佐世保市の小6女児同級生殺害事件から1日で4年。この間、少年事件の厳罰化が進んだが、大久保小学校で同日開かれた追悼集会の参加者からは「罰を強めれば子どもの事件はなくなるのか」「被害感情を伝える更生教育こそ必要」と、厳罰化の流れを疑問視する意見や、加害少女の更生を気遣う声が聞かれた。
少年法をめぐっては、少年院送致の対象年齢を「おおむね12歳以上」に引き下げる改正法が昨年施行。今国会では、非公開が原則の少年審判で被害者遺族の傍聴を認める改正案が成立する見通しとなっている。
追悼集会後、同小の三島智彰校長は報道陣に「『罰を厳しくすれば事件が防げる』というのはちょっと違うのではないか。事件が起きた背景をもっと明らかにすることこそ必要で、大人が反省すべき課題が多々あると思う」と語り、厳罰化よりも情報開示の必要性を訴えた。
また、被害女児の遺族は厚生労働省などに対し、加害少女の更生に当たるスタッフが遺族心情を聴き取る機会を設けるよう求めているが、実現していない。
当時の同級生の保護者は「(加害少女も)同級生だったからこそ、更生してもらわなければ子どもたちは救われない。事件では多くの子ども、大人も苦しんだ。本当に悪かったと思えるようになるには、せめて遺族の声に向き合わせ続ける仕組みが必要と思う」と語気を強めた。
追悼集会で講演した同市出身の作家毛利甚八さん(50)は「(国内では)贖罪(しよくざい)教育は5、6年前に始まったばかりで、遺族の声をどう生かすかということに、現場が習熟していない」と述べ、早急な被害者対応の体制づくりの必要性を指摘した。
この日、同小玄関脇の献花台には被害女児が好きだったヒマワリとともに「あなたの笑顔を思い出します」とのメッセージが添えられていた。
「1日の集会はずっと続けてほしい。事件を引きずるのではなく、決して忘れないために」。ある同級生の保護者はこう語って小学校を後にした。
=2008/06/02付 西日本新聞朝刊=