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社説

少年審判傍聴 更生を妨げない運用を(6月2日)

 原則非公開となっている少年審判への被害者や遺族の傍聴を認める制度ができることになった。

 与党と民主党が審議中の少年法改正案を共同修正し、衆院法務委員会で可決した。今国会で成立する見通しだ。

 戦後、加害少年の立ち直りを理念とした少年法は比較的うまく機能してきた。少年の殺人(未遂含む)事件のピークは昭和三十年代後半で、近年はその六分の一に満たない。

 近年、被害者の権利の尊重が叫ばれ、二〇〇〇年の少年法改正で被害者が審判廷で意見を述べて退廷する制度が設けられた。今度は傍聴制度が実現する。

 少年の健全育成と、被害者の知る権利。修正案で、家庭裁判所が傍聴を許可する基準として「少年の健全な育成を妨げるおそれがない」場合と明示したのは、その両立を図るためだろう。

 運用にあたっては裁判所が、加害少年と被害者・遺族の心理状態などを見極めて判断してほしい。

 法案には、「少年が萎縮(いしゅく)してしまい、心を開いて語ることを妨げる」と日弁連が反対してきた。

 これをふまえて、修正案は小学生にあたる十二歳未満を対象から外した。十二歳以上十四歳未満には「格段の配慮」をすることにした。刑法で十四歳未満は刑罰に処せられない。裁判所は十四歳未満の事件の傍聴には慎重を期してほしい。

 また改正案では、家裁が傍聴の可否を判断する前に加害少年の弁護士の意見を聞くことを義務づけた。弁護士がいない場合は裁判所が選任する点を含めて評価したい。

 被害者陳述制度で、少年を前にして意見を述べるケースは、年間約九十件。この中には、少年に土下座を求めたり、「死ね」と言ったりして、加害少年も被害者も後に心に傷として残る事例があったという。

 こうしたことが、傍聴制度によって増えては困る。

 審判は、逮捕から一カ月半程度で、まだ関係者の気持ちの整理がついていない時期に開かれる。

 傍聴の許可基準の「少年の健全な育成を妨げる」とはどんな場合か。具体的な要件を、少年司法の現場の声を聞いて詰めてほしい。

 事件の背景や少年の性格を探り、弁護士や家族にも会って、裁判官に判断材料を提供するのは家裁の調査官の役割だ。現場で少年事件を扱っている調査官は全国で六百五十人。重大事件の被害者やその家族に丁寧に対応するには時間がかかる。

 体制を充実させるべきだ。

 この法案は審議入り後、わずか一週間余りで採決された。参院ではさらに論議を尽くしてほしい。

 
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