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枚方・京都連続刺傷、石津容疑者を埼玉で逮捕

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大阪へ移送のためJR東京駅に着いた石津容疑者(30日午前9時31分)

 ◆逃走17日目

 大阪府枚方市と京都市で少年2人と女性が相次ぎ刃物で刺された事件で、大阪府警が殺人未遂などの疑いで指名手配していた枚方市村野南町、無職石津淳容疑者(40)が30日未明、埼玉県上尾市内で見つかり、県警が同容疑などで逮捕した。逃走から17日目。同日午後、身柄を府警に移送した。

 発表によると、石津容疑者は30日午前1時ごろ、上尾市内の荒川河川敷で自転車に乗っているところをパトカーで巡回中の警察官に発見され、自転車を捨てて逃げたが、取り押さえられた。所持金は数百円で、自転車の前かごに包丁2本を袋に入れて所持していた。

 石津容疑者は14日午後8時30分ごろ、枚方市の府営住宅で、自室階下に住む無職少年と友人の高校生(いずれも15歳)の頭や背中などを包丁で切りつけ、重傷を負わせた疑い。調べに対し、容疑を認め、「包丁の1本は大阪の事件で使った」と供述しているという。

 21日朝にも、京都市南区で自転車のパート女性(45)が襲われ、約12万円入りのかばんが奪われる事件が発生。現場に石津容疑者の運転免許証が入ったリュックサックが落ちており、京都府警も強盗殺人未遂容疑で逮捕状を取っていた。

 両事件では凶器が発見されず、両府警は石津容疑者が刃物を持ったまま逃走しているとみて警戒。27日に東京都新宿区内に潜伏していたことが確認され、大阪府警が都内に捜査員約30人を派遣していた。

            ◇

 ◆「よかった」被害者ら安堵

 大阪と京都で3人に大けがを負わせて逃走していた石津淳容疑者(40)が30日、最初の事件から17日目に、自宅のある大阪府枚方市から約400キロ離れた埼玉で逮捕された。持っていたのは包丁2本とわずか数百円。〈第3の犯行〉の可能性もあっただけに、二つの事件現場近くの住民や、捜査関係者らは胸をなで下ろした。

 ■川辺の逮捕劇

 人通りの絶えた荒川河川敷のサイクリングコースで、たった1人、赤い自転車をこぐ男に、パトカーで巡回していた埼玉県警自動車警ら隊員が気づいた。

 野球帽を目深にかぶり、半袖Tシャツにグレーのズボン、肩にはえんじ色のリュックサック。「止まって」。男は制止に応じず自転車を放り出して逃げたが、川沿いの土手で隊員に取り押さえられた。抵抗する様子はなく、名を聞かれて「石津です……」と力無く答えた。

 京都で女性を刺した現場と似た、川沿いのサイクリングロード。両府警幹部らは「新たな事件を起こそうとしていたのか」と表情をこわばらせた。

 ■なぜ上尾?

 石津容疑者は捜査員に付き添われ、午前7時45分ごろ、同県警上尾署を出発。東京駅で新幹線を乗り継ぐ合間に報道陣が「東京へどうやって来たのか」「なぜ上尾に」と質問を浴びせたが、無表情のまま。午後1時過ぎ、「ひかり367号」で新大阪駅に到着、大阪府警の車で枚方署に向かった。

 捜査関係者によると、石津容疑者は広島県生まれ。枚方の事件現場となった府営住宅には3年ほど前に母親と2人で転居してきた。

 住民らによると定職に就いている様子がなく、近くの女性は「あいさつをしても目を合わせようとしなかった」と話す。深夜に外出し早朝に帰宅するなど不審な行動も目立ち、騒音を巡り、住民とトラブルになることもあったという。

 枚方の事件で頭や顔、手の指などに重傷を負った少年(15)は、再び石津容疑者が現れるのを恐れて近くの祖母宅で生活しており、「放っておいたら、何をするかわからなかったので、捕まって良かった。刑務所から二度と出てきてほしくない。許せない気持ちは変わらない」と話した。

 ■公開捜査徹底

 3月23日、殺人容疑で指名手配されていた無職男が茨城県土浦市のJR荒川沖駅で、8人を殺傷する事件があり、大阪、京都両府警は石津容疑者の〈第3の犯行〉を警戒して徹底した公開捜査を行った。

 両府警は大量の捜査員を投入。さらに、大阪府警は、指名手配した石津容疑者が写った防犯カメラの画像を公開したほか、大阪や潜伏先の東京などで顔写真の入った2万枚のビラを配布。京都府警も専用のフリーダイヤルを開設し、情報提供を呼びかけた。

2008年5月30日  読売新聞)

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