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二審も元教諭に有罪判決 板橋高校卒業式「妨害」事件

2008年05月29日15時15分

 04年3月に行われた都立板橋高校の卒業式で、君が代斉唱時に着席するよう保護者らに呼びかけ、式を妨害したとして威力業務妨害罪に問われた同校元教諭・藤田勝久被告(67)の控訴審で、東京高裁(須田賢裁判長)は29日、元教諭の控訴を棄却する判決を言い渡した。

 須田裁判長は、藤田元教諭が校長らの制止を無視して呼びかけ、式の開始を2分遅らせたことが威力業務妨害に当たると認め、罰金20万円(求刑懲役8カ月)を命じた一審・東京地裁判決を支持した。

 控訴審で弁護側は、最高裁が「何が威力に当たるかは、客観的判断に判断すべきことで、被害者等の意思によって決まるものではない」とした判例を踏まえ、「保護者への呼びかけは『威力』とは言えず、結果から見ても刑事罰を科すべき行為とは言えない」として、改めて無罪を主張していた。

 一審判決は、藤田元教諭の「呼びかけ」で、「校長らが職責上放置できず、制止するなどの対応を迫られた」として「威力」にあたると判断。その上で「式典会場を喧噪状態に陥れ、卒業式を現実に妨害した」と認め、「一定の意見の表明が言論の自由として保障されるとしても、社会的に許されない異常事態で程度は軽くない」と批判した。

 一方で、「卒業式の妨害が直接の動機ではない」「式の遅れも問題視するほどではない」として、罰金刑にとどまると判断していた。

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