5月26日。長崎地方裁判所で長崎市の伊藤一長(いとう いっちょう)前市長が射殺された事件の判決が行なわれました。
松尾嘉倫裁判長はまず、「暴力によって民主主義を根幹から揺るがす、到底許しがたい犯行」と判決理由を読み上げ、実行犯の城尾哲弥被告に死刑を言い渡しました。 事件を簡単に見ていきましょう。2007年4月の段階で、長崎市長を3期12年勤めていた伊藤さんは、現職として市長選挙に臨んでいました。しかし、彼の選挙戦は、途中で打ち切られました。長崎駅前に構えた選挙事務所近くの路上で、暴力団に属していた城尾被告によって射殺されてしまったからです。 選挙期間中に候補者を射殺すると言う事件は、地元長崎を超えて、全国的に強い衝撃を与えました。 事件がゴールデンタイムに起き、伊藤さんが仰向けになって倒れている姿などが、次々に全国のお茶の間に報じられたこともあり、テレビで見ていた私も、強いインパクトを受けたものでした。 こうした城尾被告のあまりにも大胆な犯行の手口を、長崎地方検察庁は、3月20日の公判の時点で、「まさに選挙テロと言うべき凶悪重大事件」と断罪しています。 5月26日の松尾裁判長の判決は、地検側に軍配を上げたものとなりましたが、この中で、「伊藤さんが命を奪われる理由は何もない」と述べられたことが、強く印象に残りました。本当にその通りです。 本来、民主的に行われるべき選挙の途中で、候補者を射殺すると言うこと自体、民主主義を最も強い形で否定する行動である。私はそう考えています。 今回、長崎地検は、全国に向けて良識ある判断を示されたと思います。長崎地検の皆さんが、同じ長崎市民として、暴力の停止を求める市民感情に思いを寄せ、それを代弁されたことを、私は高く評価したいと思います。
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