中国へ自衛隊機、検討 救援物資を輸送 四川大地震2008年05月29日01時37分 日本政府は中国・四川大地震の被災者支援のため、国際緊急援助隊派遣法に基づき、自衛隊の輸送機でテントや毛布、医薬品などを運ぶ方向で検討に入った。中国側が救援物資を要請、輸送のための自衛隊派遣も受け入れる考えを伝えてきた。実現すれば、自衛隊機が中国国内に入るのは事実上初めてとなる。
町村長官は会見で、中国側から27日、北京の日本大使館に救援物資の要請があったことを明らかにした。輸送手段については、「自衛隊によるものを含めて要請があった」と述べ、政府として自衛隊派遣を検討していることを認めた。 高村外相も28日、中国側からの要請について「自衛隊の輸送機でも結構ですよということだと理解している」と記者団に語った。具体的な活動内容について、町村氏は「(中国側は)国内での輸送までは期待していないようだ。北京、あるいは成都の空港までということのようだ」と述べ、被災地乗り入れなど中国国内での人員・物資の輸送ではなく、日本から中国の空港までの輸送を想定していることを示唆した。 政府関係者によると、派遣を検討しているのは航空自衛隊小牧基地(愛知県)に配属されているC130輸送機。提供するテントや毛布の数に応じ、複数機の派遣も検討している。中国側との調整が整い次第、できるだけ早い時期に派遣する方針だ。 中国国内に自衛隊機が入るのは、首相が訪中する際などの政府専用機を除いて例がない。中国側が自衛隊受け入れを容認する背景には、地震による被害が予想以上に大きく外国に頼らざるを得ないとの事情に加え、日中関係の改善や両国間の防衛交流が最近になって活発化していることがあるとみられる。 5月7日に東京で行われた福田首相と胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との日中首脳会談でも、防衛交流の進展を確認し、中国側が海上自衛隊の艦艇の訪中を要請したほか、国連平和維持活動(PKO)や災害救援分野での協力の可能性を検討することで一致している。 国際緊急援助隊派遣法では、被災国からの要請を受け、外相と防衛相が協議して自衛隊を派遣できる。最近では06年6月に、インドネシア・ジャワ島中部で発生した地震の被災民救援のため、医療援助隊と空輸部隊の計200人超を現地に派遣している。 国際緊急援助隊派遣法に基づく自衛隊の派遣は、自衛隊法改正で07年1月に国際協力業務が自衛隊の「本来任務」に格上げされてから初めて。 四川省での大地震を受け、これまで日本政府は、テントなど5億円相当の支援のほか、国際緊急援助隊の救助チームと医療チームを現地に派遣。医療チームは現在も被災者支援にあたっている。
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