●XPの販売は6月末で終了 5月も下旬となり、いよいよWindows XPの販売終了が近づいてきた。 MicrosoftはWindows XPの販売期限を6月30日と設定している。これを踏まえてWindows XPプリインストールモデルの受注を終了、または終了を告知するベンダが現れている。なお、ULCPC(Ultra Low Cost PC:超低価格PC)向けなどは一部例外があるので後述する。 すでにデルはオンラインストアでの受注を5月26日で終了しており、電話による注文受付も6月2日で終了となる。レノボも自社の直販サイト(レノボ・ショッピング・ページ)におけるWindows XPライセンスモデルの販売を6月5日をもって終了するとしている。もちろん他社も例外ではなく、6月中にWindows XPをプリインストールしたモデルはラインナップから消えることになる。 いずれにせよ、Windows XPをインストールした新しいPCを購入したいのであれば、急ぐに越したことはなさそうだ。なお、Windows XPのサポートは、メインストリームサポート期間が2009年4月14日まで、延長サポート期間は2014年4月8日まで続く。ちなみに、Windows Vistaのメインストリームサポート期間は2012年4月10日、延長サポート期間は2017年4月11日であるが、延長サポートの対象はVista BusinessとVista Enterpriseのみとなっている。つまり、Home Basic/Home Premium/UltimateよりもXPの方がサポート期間が長いのだ。 ●Vistaのダウングレード権を使う便法 6月30日以降、Windows XPのライセンスを新規に入手する方法は、Windows Vista BusinessおよびWindows Vista Ultimateに付属するダウングレード権のみとなる。多くのベンダは、このダウングレード権による利用を前提にしたメディアの提供を有償で行なうのみのようだが、デルはユーザーに代わってダウングレード権を行使するオプションも提供するようだ(ただし、DSP版は2009年1月31日まで販売される)。 このオプションを利用すると、新規購入するPC(OSにWindows Vista BusinessかUltimateを選択する必要あり)に最初からデルがWindows XP Professionalをプリインストールして出荷する。Vista BusinessあるいはUltimateをプリインストールしたPCにユーザーが自らダウングレード権を行使してWindows XPをインストールした場合、デルのテクニカルサポートを受けられるのは基本的に最初にプリインストールされたVistaのみだが、デルにダウングレード権を行使させた場合、プリインストールされたWindows XP Professionalと、メディアで添付されるWindows Vistaの両方がテクニカルサポートの対象となる。 このダウングレード権は、システムビルダの権利ではなく、Windows Vista BusinessあるいはWindows Vista Ultimateのライセンスを得たエンドユーザーの権利である。したがって、Windows Vistaが販売されている期間中、ダウングレード権がなくなることはないのではないかと思っている。 しかし、Microsoft Vietnam(ベトナム)のページによると、システムビルダが、Windows XPのリカバリメディアをWindows Vistaプリインストールシステムに添付できる期限は2009年1月31日までとされている。この期日以降は、エンドユーザーに代わってシステムビルダがダウングレード権を行使することは難しくなるかもしれない。 ●ULCPC限定でXP Homeを提供
さらに、このMicrosoft Vietnamのページには、いくつか興味深い情報が掲載されている。それは冒頭で述べたULCPCに関する例外についてのものだ。ULCPC向けのWindows XP Home Editionについてはすでに発表されていたが、このページではより詳細な情報が記載されているのだ。 まとめると、ULCPCに限定する形でライセンス期間の延長と、これまでより低価格でのライセンス提供を行なう。延長は2010年6月30日、あるいは次のバージョンのWindowsがリリースされてから1年後の、どちらか遅い方までだ。さらに“ULCPC”について、次のように定義されている。 以上のすべての条件を満たすのがMicrosoftが考えるULCPCということらしい。CPUの規定がかなり詳細かつ具体的だが、現在市販されている多くの低価格ミニノートPCを意識した内容のようだ。
先日発表された日本ヒューレット・パッカードの「HP 2133」は、ストレージの容量、メモリ搭載量(上位モデル)で、この規定で言う“ULCPC”の範疇におさまらない。それが原因なのか、HP 2133にはWindows Vistaがプリインストールされる。 それにしても思うのは、Microsoftってすごいな、ということだ。本来、商売の基本は、お客が求めるものを売ることではないかと思うのだが、Windowsに関しては売り手が売りたいものを売るのが当然のことらしい。善し悪しにかかわらず、世の中にはWindows XPを欲する人が大勢いるのに、それはもう売らないから、Windows Vistaを買えという。 もちろんMicrosoftは、Windows Vistaの方が優れているから、と言うのだろう。だが、どちらが優れているかを決めるのも、本来は買い手、あるいは市場なのではないだろうか。この原理が崩れている理由は言うまでもないことなので、やっぱりもう少しMacintoshが売れた方が世の中全体として幸せになるのではないか、と思ってしまう。 □デルのWindows XPの販売期限告知 (2008年5月29日) [Reported by 元麻布春男]
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