ここから本文です。現在の位置は トップ > 大盛り北海道 > 社会 > 記事です。

社会

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

アイヌ民族:「先住民族」国会決議案まとまる 政府、将来の補償懸念 /北海道

 ◇認定にはハードル残る

 アイヌを先住民族と認めるよう求める国会決議案が23日、超党派の道内選出国会議員らでつくる議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」でまとめられた。ただ、政府は、先住民族の認定が将来的に土地の補償要求などにつながることを懸念。自民党内には国会決議そのものに慎重論も残っており、北海道ウタリ協会(加藤忠理事長)の悲願である先住民族としての認定には、まだまだ高いハードルが残っている。【高山純二】

 07年9月に国連で採択された「先住民の権利に関する宣言」は「先住民族は、伝統的に領有、または占有かつ使用している土地や領土、資源に対する権利を有する」と明記している。このため、政府内では「宣言に規定される権利を要求されると困る」という意見が根強く、先住民族の認定は消極的だ。

 政府内の懸念について、議員の会世話人の鈴木宗男・新党大地代表は「ウタリ協会は大所高所にたって判断してくれている。政府や行政が懸念しているような話はない」と否定。代表世話人の今津寛・自民党道連会長も「加藤理事長は『土地の問題などはいっさい要望しない』と町村信孝官房長官にはっきり伝えている」と述べ、先住民族の認定と具体的な権利要求を切り離しているという考えだ。

 一方、ウタリ協会内部には漁業権や狩猟権のほか、教育や就職に対する特別な措置を主張する声も依然として残っている。加藤理事長は「(設置を求めている)有識者懇談会で討議してもらえばいい。(国会決議を)やる前から『これもだ』『あれもだ』ということにはならない」。

 国会決議に向けた動きについて加藤理事長は「言葉にならない。うれしくて言葉にならない」と涙を浮かべながら感謝の意を示した。

==============

 《アイヌ民族を先住民族とする国会決議(案)》(要旨)

 我が国が近代化する過程で、アイヌ社会や文化の破壊が進み、「同化政策」により伝統的な生活が制限、禁止された。法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実を厳粛に受け止めなければならない。

 アイヌが民族としての名誉と尊厳を回復し、その文化と誇りを次世代に継承していくことは、国際的な価値観の共有であり、我が国が21世紀の国際社会をリードしていくためにも不可欠である。

 政府は左記の施策を早急に講じるよう、決議する。

 (1)政府は、アイヌの人々を北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること。

 (2)政府は、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策を推進し、総合的な施策の確立に取り組むこと。

毎日新聞 2008年5月24日 地方版

社会 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

郷土料理百選