“しぼう”です…
我が家には世界で一番可愛いネコがいる。
名前は『モモ』。福島だから『モモ』である。
おそらく【ミスユニバースネコ】が開催される折には
間違いなく日本代表⇒アジア代表⇒世界一の階段を上がると思う。
さしずめ、受賞会見の一問一答はこんな感じだろうか。
Q、趣味は?
「ゴミ箱あさりです」
Q、特技は?
「昼寝です」
Q、好きなものは?
「ベニマルの『味わいカツオ(鰹節)お徳用タイプ』です」
と、まぁ記者会見はサマにならないかもしれないが、
細身の容姿としなやかな身のこなしはどのネコにも負けない。
携帯電話の待ちうけ画面も、デジカメの画像も『モモ』だらけ。
そう、僕は親バカなのだ。
もともと魚は好きで、スーパーでお寿司を買ってきた時などは
「ほ〜ら、海老さんだよ〜」「マグロさん大好きだもんね〜」
と、夜中に赤ちゃん言葉を交えながら話しかけることがあった。
カミさんがいない時のこの光景はなかなかシュールなものがある。
最近ではプリンや生クリームが好物であることが分かり、
おやつの時にはおすそわけをするようにしていた。
夏ばてしないようにと、美味しいネコ缶も買ってあげていた。
それなのに…。
僕は大学2年のときに愛犬を癌で亡くしている。
最後は腹水がたまってしまい、
張ったお腹を重そうに抱えてよろよろ歩く姿が今でも目に浮かぶ。
もっと早く気付いてあげていればよかったと後悔したが、
病気に気付いてから半年あまりで僕の元から去ってしまった。
つい先日、ふと『モモ』の歩く姿を見ると…。
何となく下腹部が垂れ下がっているように見えるではないか!
呼び寄せて触ってみると、
そこはプヨプヨしていて水がたまっているようにも感じられる。
まさか…。
嫌な予感が頭をよぎった。
これまで病気らしい病気をしたことが無いとはいっても、
『モモ』は人間の年でいえばもう60代だそうだ。
年齢からして、どんな病気になってもおかしくは無いが、
「痛い」「苦しい」と喋れないペットの病気は
飼い主が見つける責任があると、愛犬を失った時に痛感した。
インターネットで「ネコのお腹の張り」を調べると、
【子宮内膜症】【内臓の悪性腫瘍】【皮膚の悪性腫瘍】
と僕の心配を増幅させるような説明が次々と出てくる。
大丈夫だろうか…。
翌日、僕はよく眠れなかった状態のまま身支度を整えると、
車で15分ほどの所にある行きつけの獣医さんのもとに急いだ。
あいにく朝から待合室はいっぱいで少し待つようだ。
『モモ』は狭いカゴの中で心細そうに鳴いている。
30分ほども待っただろうか。ようやく順番が来た。
「はいどうぞ。『モモ』ちゃん久しぶりですね。どうしましたか?」
その獣医さんは、若いがとてもしっかりしていて、
どんな質問にもとても丁寧に答えてくれる信頼できる先生だ。
「ちょっとお腹が張っているものですから…」
「どれどれ…あ〜、ちょっと目立ちますね。ちょっと触りますね」
「前に飼っていた犬が癌で亡くなった時に、腹水がたまったもので」
「たしかに健康的な張り方ではないですね。もうお年ですからね…」
先生は慎重に触診をしながら僕に問診してきた。
「最近、食欲はありましたか?」
「はい。硬いフードの他に缶詰やらお刺身のおすそ分けやら…、
それから最近はプリンとか、ケーキのクリームも大好きで…」
「動きが鈍くなったり、寝てばかりということは?」
「…元々昼寝が好きで、色んな所にねぐらを作っていますけど…」
触診を終えて、先生は少し考え込んでから口を開いた。
「先生どうですか?」
「“しぼう”ですね…」
「はっ!?」
「おそらく“しぼう”です」
僕の涙腺は一気に緩んだ。
「“しぼう”って、あの…原因は…」
「最近になって魚類とか乳製品とかを与えたためだと思います」
そうだったのか…。魚類と乳製品が腹水の原因だったのか…。
でも好きなものを一緒に食べたあの日の思い出は絶対忘れない。
僕の膝の上でクリームを舐める『モモ』の姿は忘れないから!
僕は『モモ』の思い出とともに生きる決意を固めた。
あ、あ、年甲斐も無く涙が…大泣き3秒前・2秒前・1秒前…。
が、そんな僕にお構いなく、先生は話を続けた。
「ネコちゃんはですね、肉類の脂は消化するんですけど、
魚類の脂は消化するのが苦手で、お腹周りにたまるんですよ。
乳製品の消化も魚類と同じで苦手なんですよね。
だから、消化し切れなかった“脂肪”がここにたまった訳です。
ネコちゃんも人間と同じ様に下腹部に出てしまうんですよ」
“死亡”≠“しぼう”=“脂肪”
悲しみから一転、慌てて勘違いしていた自分が恥ずかしくなった。
とはいえ、その日以来、『モモ』の主食はダイエット食が中心で、
大好きだった魚やクリーム類のおすそ分けは無くなってしまった。
相変わらず昼寝が大好きで、
決まった時間に決まった所で呑気に昼寝を楽しんでいる。
おそらく、今回の騒動も僕の心配も分かっていないだろう。
ま、その呑気な姿が一番可愛かったりするのだが…。
甘やかせ過ぎはよくないと思った、つい先日の出来事である。
名前は『モモ』。福島だから『モモ』である。
おそらく【ミスユニバースネコ】が開催される折には
間違いなく日本代表⇒アジア代表⇒世界一の階段を上がると思う。
さしずめ、受賞会見の一問一答はこんな感じだろうか。
Q、趣味は?
「ゴミ箱あさりです」
Q、特技は?
「昼寝です」
Q、好きなものは?
「ベニマルの『味わいカツオ(鰹節)お徳用タイプ』です」
と、まぁ記者会見はサマにならないかもしれないが、
細身の容姿としなやかな身のこなしはどのネコにも負けない。
携帯電話の待ちうけ画面も、デジカメの画像も『モモ』だらけ。
そう、僕は親バカなのだ。
もともと魚は好きで、スーパーでお寿司を買ってきた時などは
「ほ〜ら、海老さんだよ〜」「マグロさん大好きだもんね〜」
と、夜中に赤ちゃん言葉を交えながら話しかけることがあった。
カミさんがいない時のこの光景はなかなかシュールなものがある。
最近ではプリンや生クリームが好物であることが分かり、
おやつの時にはおすそわけをするようにしていた。
夏ばてしないようにと、美味しいネコ缶も買ってあげていた。
それなのに…。
僕は大学2年のときに愛犬を癌で亡くしている。
最後は腹水がたまってしまい、
張ったお腹を重そうに抱えてよろよろ歩く姿が今でも目に浮かぶ。
もっと早く気付いてあげていればよかったと後悔したが、
病気に気付いてから半年あまりで僕の元から去ってしまった。
つい先日、ふと『モモ』の歩く姿を見ると…。
何となく下腹部が垂れ下がっているように見えるではないか!
呼び寄せて触ってみると、
そこはプヨプヨしていて水がたまっているようにも感じられる。
まさか…。
嫌な予感が頭をよぎった。
これまで病気らしい病気をしたことが無いとはいっても、
『モモ』は人間の年でいえばもう60代だそうだ。
年齢からして、どんな病気になってもおかしくは無いが、
「痛い」「苦しい」と喋れないペットの病気は
飼い主が見つける責任があると、愛犬を失った時に痛感した。
インターネットで「ネコのお腹の張り」を調べると、
【子宮内膜症】【内臓の悪性腫瘍】【皮膚の悪性腫瘍】
と僕の心配を増幅させるような説明が次々と出てくる。
大丈夫だろうか…。
翌日、僕はよく眠れなかった状態のまま身支度を整えると、
車で15分ほどの所にある行きつけの獣医さんのもとに急いだ。
あいにく朝から待合室はいっぱいで少し待つようだ。
『モモ』は狭いカゴの中で心細そうに鳴いている。
30分ほども待っただろうか。ようやく順番が来た。
「はいどうぞ。『モモ』ちゃん久しぶりですね。どうしましたか?」
その獣医さんは、若いがとてもしっかりしていて、
どんな質問にもとても丁寧に答えてくれる信頼できる先生だ。
「ちょっとお腹が張っているものですから…」
「どれどれ…あ〜、ちょっと目立ちますね。ちょっと触りますね」
「前に飼っていた犬が癌で亡くなった時に、腹水がたまったもので」
「たしかに健康的な張り方ではないですね。もうお年ですからね…」
先生は慎重に触診をしながら僕に問診してきた。
「最近、食欲はありましたか?」
「はい。硬いフードの他に缶詰やらお刺身のおすそ分けやら…、
それから最近はプリンとか、ケーキのクリームも大好きで…」
「動きが鈍くなったり、寝てばかりということは?」
「…元々昼寝が好きで、色んな所にねぐらを作っていますけど…」
触診を終えて、先生は少し考え込んでから口を開いた。
「先生どうですか?」
「“しぼう”ですね…」
「はっ!?」
「おそらく“しぼう”です」
僕の涙腺は一気に緩んだ。
「“しぼう”って、あの…原因は…」
「最近になって魚類とか乳製品とかを与えたためだと思います」
そうだったのか…。魚類と乳製品が腹水の原因だったのか…。
でも好きなものを一緒に食べたあの日の思い出は絶対忘れない。
僕の膝の上でクリームを舐める『モモ』の姿は忘れないから!
僕は『モモ』の思い出とともに生きる決意を固めた。
あ、あ、年甲斐も無く涙が…大泣き3秒前・2秒前・1秒前…。
が、そんな僕にお構いなく、先生は話を続けた。
「ネコちゃんはですね、肉類の脂は消化するんですけど、
魚類の脂は消化するのが苦手で、お腹周りにたまるんですよ。
乳製品の消化も魚類と同じで苦手なんですよね。
だから、消化し切れなかった“脂肪”がここにたまった訳です。
ネコちゃんも人間と同じ様に下腹部に出てしまうんですよ」
“死亡”≠“しぼう”=“脂肪”
悲しみから一転、慌てて勘違いしていた自分が恥ずかしくなった。
とはいえ、その日以来、『モモ』の主食はダイエット食が中心で、
大好きだった魚やクリーム類のおすそ分けは無くなってしまった。
相変わらず昼寝が大好きで、
決まった時間に決まった所で呑気に昼寝を楽しんでいる。
おそらく、今回の騒動も僕の心配も分かっていないだろう。
ま、その呑気な姿が一番可愛かったりするのだが…。
甘やかせ過ぎはよくないと思った、つい先日の出来事である。
2005.06.29 | | コメント[0] | トラックバック[0]