時代の変化
「日本丸の舵取り」
何とも鈍いと感じることがあります。株価が下がった時の反応…。
福田総理大臣「株は博打」「上がったり下がったりする」
町村官房長官「よく分からない」
額賀財務長官「円高だからドルベースではあまり下がっていない」
北畑経産次官「株主は経営能力の無いバカ」※後日「冗談だった」と釈明
これが日本丸の舵取りをしている方々のお言葉です。誰も年金の運用で莫大な含み損が発生していることに言及しません。「臭いものには蓋」なのでしょうか。
「ダム理論」
ここ数年の『いざなぎ景気』を越える好景気で、いずれは庶民のフトコロも暖かくなる“はず”と政府・日銀が言っていました。その根拠は『ダム理論』です。企業の業績が上がれば、従業員の給料が上がり、消費意欲も上がるというものです。
でも全然フトコロは暖かくなっていません。
そもそも『ダム理論』は20〜30年前の考え方を前提としたものです。
[1]国内企業の業績が上がり続ける『右肩上がり』であること
[2]国際間の生産競争で『競争相手が上位国』であること
この2つが『ダム理論』の前提で、東京オリンピック前後から続く好景気の成功体験に裏打ちされています。
1960年代〜1980年代は、欧米が安価で高性能の日本製品を大量に輸入したために、日本の輸出企業が急成長。圧倒的な『右肩上がり』となりました。また、当時ライバル企業だった欧米企業の人件費は日本より高かったのです。『競争相手が上位国』であったことから、人件費は欧米企業の水準までは上昇させる理由付けがありました。
「前提はとっくに崩れている」
日本は少子高齢化が加速し、GDPはたったの1%成長がやっとです。また企業の業績も、世界経済の混乱で来期は減益見通しが出される可能性が高そうです。『右肩上がり』は幻想に過ぎません。また、国際間の競争相手は、いま中国やインドなど安価な人件費を武器に生産力をつけてきた新興国です。つまり『競争相手が下位国』になっているのです。
企業の経営者は停滞する国内景気を敏感に感じ取り、また人件費の安価な競争相手に対抗するために、人件費を上げることが出来ないでいます。政府・日銀は、過去の成功体験から楽観的な見通しを立てていますが、日本の経済の舵取り役がこれでは、先行きの見通しが明るいとは言えないでしょう。
『ダム理論』の前提はとっくに崩れているのですから。
「愚鈍な国民」「優秀なエリート(官僚)」
日本は明治維新以来『富国強兵』を進めるために、強力に中央集権を制度化しました。大勢の『愚鈍な国民』を一部の『優秀なエリート(官僚)』が率いる、という発想です。この制度は、明治〜昭和初期、および戦後〜昭和中期の高度経済成長には非常に機能しました。官僚の掛け声で様々な産業が隆盛を極め、経済は右肩上がりに成長しました。
しかし、時代は変わります。
1960年代、第35代アメリカ大統領JFKが「小さな政府」「市場理論」を提唱しました。民間が効率的な経営と広い情報網で力をつけ、政府や官僚の必要性が薄れただけではなく、時には民間の力を阻害する可能性が示唆されました。JFKは時代を鋭く見通していたと言ってもいいでしょう。
「天下りと莫大な退職金」「厚労省の薬害問題」「社保庁の年金問題」「旧大蔵省の過剰接待」…『優秀なエリート』が国を引っ張るという構図は、全面的に正しいのでしょうか?むしろ権限の委譲を拒み、既存の権益にしがみついているために、改革や成長が阻害されているのではないでしょうか?
「国民はもはや愚鈍ではない」
情報が一部に限られていた時代は国家や官僚が国民をリードすることが出来ました。しかし、これだけ情報伝達の技術もスピードも進化すると、国家が国民をリードするという前提が崩れています。むしろ国民の方が様々な情報に自由に接した上で、様々な評価や判断が出来るようになっています。
国民はもはや愚鈍ではないのです。
時代の変化に合わせて、組織のあり方、国のあり方も変わります。日本を亡国としないために、様々なもののあり方の変革を真剣に考える時期に来ているように感じます。
何とも鈍いと感じることがあります。株価が下がった時の反応…。
福田総理大臣「株は博打」「上がったり下がったりする」
町村官房長官「よく分からない」
額賀財務長官「円高だからドルベースではあまり下がっていない」
北畑経産次官「株主は経営能力の無いバカ」※後日「冗談だった」と釈明
これが日本丸の舵取りをしている方々のお言葉です。誰も年金の運用で莫大な含み損が発生していることに言及しません。「臭いものには蓋」なのでしょうか。
「ダム理論」
ここ数年の『いざなぎ景気』を越える好景気で、いずれは庶民のフトコロも暖かくなる“はず”と政府・日銀が言っていました。その根拠は『ダム理論』です。企業の業績が上がれば、従業員の給料が上がり、消費意欲も上がるというものです。
でも全然フトコロは暖かくなっていません。
そもそも『ダム理論』は20〜30年前の考え方を前提としたものです。
[1]国内企業の業績が上がり続ける『右肩上がり』であること
[2]国際間の生産競争で『競争相手が上位国』であること
この2つが『ダム理論』の前提で、東京オリンピック前後から続く好景気の成功体験に裏打ちされています。
1960年代〜1980年代は、欧米が安価で高性能の日本製品を大量に輸入したために、日本の輸出企業が急成長。圧倒的な『右肩上がり』となりました。また、当時ライバル企業だった欧米企業の人件費は日本より高かったのです。『競争相手が上位国』であったことから、人件費は欧米企業の水準までは上昇させる理由付けがありました。
「前提はとっくに崩れている」
日本は少子高齢化が加速し、GDPはたったの1%成長がやっとです。また企業の業績も、世界経済の混乱で来期は減益見通しが出される可能性が高そうです。『右肩上がり』は幻想に過ぎません。また、国際間の競争相手は、いま中国やインドなど安価な人件費を武器に生産力をつけてきた新興国です。つまり『競争相手が下位国』になっているのです。
企業の経営者は停滞する国内景気を敏感に感じ取り、また人件費の安価な競争相手に対抗するために、人件費を上げることが出来ないでいます。政府・日銀は、過去の成功体験から楽観的な見通しを立てていますが、日本の経済の舵取り役がこれでは、先行きの見通しが明るいとは言えないでしょう。
『ダム理論』の前提はとっくに崩れているのですから。
「愚鈍な国民」「優秀なエリート(官僚)」
日本は明治維新以来『富国強兵』を進めるために、強力に中央集権を制度化しました。大勢の『愚鈍な国民』を一部の『優秀なエリート(官僚)』が率いる、という発想です。この制度は、明治〜昭和初期、および戦後〜昭和中期の高度経済成長には非常に機能しました。官僚の掛け声で様々な産業が隆盛を極め、経済は右肩上がりに成長しました。
しかし、時代は変わります。
1960年代、第35代アメリカ大統領JFKが「小さな政府」「市場理論」を提唱しました。民間が効率的な経営と広い情報網で力をつけ、政府や官僚の必要性が薄れただけではなく、時には民間の力を阻害する可能性が示唆されました。JFKは時代を鋭く見通していたと言ってもいいでしょう。
「天下りと莫大な退職金」「厚労省の薬害問題」「社保庁の年金問題」「旧大蔵省の過剰接待」…『優秀なエリート』が国を引っ張るという構図は、全面的に正しいのでしょうか?むしろ権限の委譲を拒み、既存の権益にしがみついているために、改革や成長が阻害されているのではないでしょうか?
「国民はもはや愚鈍ではない」
情報が一部に限られていた時代は国家や官僚が国民をリードすることが出来ました。しかし、これだけ情報伝達の技術もスピードも進化すると、国家が国民をリードするという前提が崩れています。むしろ国民の方が様々な情報に自由に接した上で、様々な評価や判断が出来るようになっています。
国民はもはや愚鈍ではないのです。
時代の変化に合わせて、組織のあり方、国のあり方も変わります。日本を亡国としないために、様々なもののあり方の変革を真剣に考える時期に来ているように感じます。
2008.02.23 | | コメント[0] | トラックバック[0]
発想の転換
1月19日の日記で「東京・汐留の再開発を手がけたシンガポールのSWF(Sovereign Wealth Fund=政府系投資機関)GIC」の紹介をしましたが、このGICがまた大活躍のようです。ご指摘を頂きまして、ヤフードームを含むホークスタウンもこのGICの持ち物でした。
「2月3日 日経新聞」
『シンガポール政府投資公社(GIC)は月内にも、米モルガン・スタンレーが保有するウェスティンホテル東京(東京・目黒)を約770億円で買収する。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波で世界的に不動産取引が冷え込むなか、日本の優良不動産がなお割安とみた海外政府系ファンドの大型投資が実現する。GICは2日までにウェスティン東京の土地・建物を取得することでモルガンと基本合意。今月下旬をメドに取引を完了する計画だ。GICはホテルの営業をそのまま継続し、長期保有により価値を高める方針とみられる。サブプライム問題に端を発した世界的な金融市場の混乱で、米欧のほか日本でも大型の不動産取引がほぼストップする環境のもと、GICは異例の規模の不動産投資に踏み切る』
このGICは日本の不動産、特に商業施設については「割安」と見ているようです。たとえば、パリのシャンジェリゼ通りと比べると表参道は2割ほど安いとか。単純比較はどうかとも思いますが、日本国内のマーケットとしてではなく、グローバルマーケットとして捉えているところがユニークですね。
こうして稼いだ資金はシンガポールの国庫を豊かにしていきます。土地も小さく資源も乏しく人口も増えていないシンガポールは、1970年代から国家政策として「国内で金を稼ぐ」のではなく「海外で金を稼ぐ」という発想をしています。
「雲泥の差」
財務省の発表によりますと、日本の外貨準備高は米国債を中心に9700億ドル(約100兆円)あります。この資金について財務省は「いずれ国債の返済に充るので、損したら大変!」と考えています。急激な円高ドル安でもう随分な含み損を抱えてますけど。
一方でシンガポールは2000億が3000億になったら、その分減税できるだろうと考えています。そうすれば内需が活発になり、医療や福祉に十分なお金を回すことが出来て国民が幸せになれる。至ってシンプルな考え方です。
シンガポールの医療技術は世界トップクラスの評価を受けていますが、それは社会保障費が充実しているためです。医療技術は情熱や奇跡で担保されるのではなく、十分な資金が確保されて初めて担保されるものです。医療費削減で「たらい回し」が問題になる日本とは雲泥の差です。
国内で稼げないなら頭を使って海外で稼ごうというシンガポールの発想はごく自然なものです。そのかわりGICの職員は準国家公務員扱いで、損失を出せば責任をとって退職金がゼロになることもあります。
グリーンピアをはじめとするハコモノをじゃんじゃん建設して大赤字を垂れ流し、挙句の果てに年金の記録がどこかに行ってしまった社会保険庁のトップが、退職金を満額受け取った挙句に天下までするシステムとはこれまた雲泥の差です。
「お金に働いてもらう」
シンガポールは、あの国土、あの人口で将来を見た場合「お金に働いてもらう」以外に道はないと考えたからこそ1970年代からGICやテマセクというSWFを立ち上げました。国民生活を豊かにするためにどうすべきかを考えればごく自然な帰結といえます。
このままいったら日本はジリ貧です。人口は減る、生産拠点は海外に移転する、資源は無い…この状況は未来永劫変わりません。ここに蓋をして議論をしても何も始まらないのでしょう。これから先、いったい日本はどこからどうやって稼ぐつもりなのでしょう?「消費税増税」で国民から搾り取るつもりでしょうか?
日本もそろそろ真剣に考える時期に来ているように思います。高齢化が加速し、労働人口がどんどん減っていく国内でこれ以上税金を搾り取るという議論は、誰がどう考えてもデッドエンド(どんづまり)です。お金を国内で回すのではなく、成長著しい国や地域に投資するなどして「お金に働いてもらう」という発想の転換が欠かせません。
「道路特定財源が無くなれば財源が不足する」というような、ちっちゃい国内のみの視点で話をするのではなく、日本の置かれている状況を冷静に見た上で、これから国民をどう幸せにしていくかというグローバルな視点から、国のお金の出入りを考える時期に差しかかってきているように思います。
「2月3日 日経新聞」
『シンガポール政府投資公社(GIC)は月内にも、米モルガン・スタンレーが保有するウェスティンホテル東京(東京・目黒)を約770億円で買収する。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波で世界的に不動産取引が冷え込むなか、日本の優良不動産がなお割安とみた海外政府系ファンドの大型投資が実現する。GICは2日までにウェスティン東京の土地・建物を取得することでモルガンと基本合意。今月下旬をメドに取引を完了する計画だ。GICはホテルの営業をそのまま継続し、長期保有により価値を高める方針とみられる。サブプライム問題に端を発した世界的な金融市場の混乱で、米欧のほか日本でも大型の不動産取引がほぼストップする環境のもと、GICは異例の規模の不動産投資に踏み切る』
このGICは日本の不動産、特に商業施設については「割安」と見ているようです。たとえば、パリのシャンジェリゼ通りと比べると表参道は2割ほど安いとか。単純比較はどうかとも思いますが、日本国内のマーケットとしてではなく、グローバルマーケットとして捉えているところがユニークですね。
こうして稼いだ資金はシンガポールの国庫を豊かにしていきます。土地も小さく資源も乏しく人口も増えていないシンガポールは、1970年代から国家政策として「国内で金を稼ぐ」のではなく「海外で金を稼ぐ」という発想をしています。
「雲泥の差」
財務省の発表によりますと、日本の外貨準備高は米国債を中心に9700億ドル(約100兆円)あります。この資金について財務省は「いずれ国債の返済に充るので、損したら大変!」と考えています。急激な円高ドル安でもう随分な含み損を抱えてますけど。
一方でシンガポールは2000億が3000億になったら、その分減税できるだろうと考えています。そうすれば内需が活発になり、医療や福祉に十分なお金を回すことが出来て国民が幸せになれる。至ってシンプルな考え方です。
シンガポールの医療技術は世界トップクラスの評価を受けていますが、それは社会保障費が充実しているためです。医療技術は情熱や奇跡で担保されるのではなく、十分な資金が確保されて初めて担保されるものです。医療費削減で「たらい回し」が問題になる日本とは雲泥の差です。
国内で稼げないなら頭を使って海外で稼ごうというシンガポールの発想はごく自然なものです。そのかわりGICの職員は準国家公務員扱いで、損失を出せば責任をとって退職金がゼロになることもあります。
グリーンピアをはじめとするハコモノをじゃんじゃん建設して大赤字を垂れ流し、挙句の果てに年金の記録がどこかに行ってしまった社会保険庁のトップが、退職金を満額受け取った挙句に天下までするシステムとはこれまた雲泥の差です。
「お金に働いてもらう」
シンガポールは、あの国土、あの人口で将来を見た場合「お金に働いてもらう」以外に道はないと考えたからこそ1970年代からGICやテマセクというSWFを立ち上げました。国民生活を豊かにするためにどうすべきかを考えればごく自然な帰結といえます。
このままいったら日本はジリ貧です。人口は減る、生産拠点は海外に移転する、資源は無い…この状況は未来永劫変わりません。ここに蓋をして議論をしても何も始まらないのでしょう。これから先、いったい日本はどこからどうやって稼ぐつもりなのでしょう?「消費税増税」で国民から搾り取るつもりでしょうか?
日本もそろそろ真剣に考える時期に来ているように思います。高齢化が加速し、労働人口がどんどん減っていく国内でこれ以上税金を搾り取るという議論は、誰がどう考えてもデッドエンド(どんづまり)です。お金を国内で回すのではなく、成長著しい国や地域に投資するなどして「お金に働いてもらう」という発想の転換が欠かせません。
「道路特定財源が無くなれば財源が不足する」というような、ちっちゃい国内のみの視点で話をするのではなく、日本の置かれている状況を冷静に見た上で、これから国民をどう幸せにしていくかというグローバルな視点から、国のお金の出入りを考える時期に差しかかってきているように思います。
2008.02.16 | | コメント[0] | トラックバック[0]
世界から見た日本
年金問題やら防衛省トップの汚職やら官僚の天下り天国とか…最近のニュースを見ていると「もしかして自分の住んでいる国ってダメなの!?」と思ってしまう。でも、この日本という国、海外では結構評判が良いらしいのです。
【良い影響を与える国】(BBC)
1位 日本
カナダ
2位 EC(欧州連合)
3位 フランス
4位 英国
【最良の観光客】(エクスペディア)
1位 日本人
2位 アメリカ人
3位 スイス人
4位 スウェーデン人
5位 ドイツ人
何度かフィリピンに旅行をしたとき、同じ所に宿泊しましたが、わずか数年の間に客層ががらっと変わっていたんです。
『欧米人・日本人⇒中国人・韓国人』
景気がいい東アジア地域の勢いそのままに、レストランにしてもロビーにしてもガラッと雰囲気が変わってびっくりしました。仲良くしている現地のスタッフに聞くと「最近は中国とか韓国の人が多くて…お客さんだからあんまり言いたくは無いけど、マナーが悪い人が多くて困る」と話していました。そのスタッフに言わせると、欧米人は鷹揚な人が多く、日本人は大人しい人が多くて、スタッフの評判がいいのだとか。
これを聞いてカミさんと「へぇ〜」と思いましたが、フィリピンの一ホテルのスタッフの評判ではあるけれど、レストランでもバーでも同じ様な話を聞きました。
たしかに、宿泊中も夜中まで酔っ払って騒いでいるのは中国や韓国から来ていると思しき方々。ホテル敷地内の道ですれ違うとき、欧米人は「Haai!」「How are you?」なんて声を掛けてくるが、アチラの方々は自分たちの世界。かのホテルのスタッフも「日本人は英語が出来なくても笑ってくれたりするけど、目も合わせてくれないんだもん」と困り気味でした。
「Japan Bashing⇒Japan Passing⇒Japan Nothing」
一般庶民の評判は良いけれど、国際的に見た最近の日本は透明人間扱い。サブプライム問題で揺れるアメリカのポールソン財務長官が、昨年末ヨーロッパの次に緊急対策を話し合いに向かったのは日本…ではなく中国でした。米欧5中央銀行が緊急声明を発表し、サブプライム対策を12月17日から実施(銀行間緊急融資)すると決めて、ヨーロッパの協力を取り付け、すぐさまアジアに向かったわけですが、日本は完全無視。相談すらなかったようで…。
いまや米国債の最大の買い手は日本から中国に移りつつあり「アジア経済の中心は中国」とアメリカが見ていることが、露骨に出ています。こんな扱いを受けながら額賀財務長官はノーリアクション。だから平気で素通りもされてしまうワケで。今でも「Japan as No.1(日本が一番)」なんて思っていると世界の人から笑われます。
日本の経済が絶好調の時は「Japan Bashing(日本叩き)」でした。憎い位に日本経済が強かったということでしょう。それが、今は「Japan Passing(日本無視)」。世界の中で存在感を示せる時に示しておかないと、この先はジリ貧でしかなくなります。評判のいい観光客もいいけれど、毅然とした態度や思い切った政策を打たないと、そのうち「Japan Nothing(日本消滅)」になってしまいます。政府も日銀も景気後退を認め出したし、その一方で増税まっしぐらだし…2008年は不透明感が濃く漂う、様々な意味で変動の激しい厳しい年になると思います。
「我が家のPassing」
最近、ウチの飼い猫が、夜寝ている僕の上を歩いて通過していきます。それも何度も。たぶん床が冷たいからです。これを「Osamu Passing(修無視)」と我が家では呼んでいます。僕一人でですが。
【良い影響を与える国】(BBC)
1位 日本
カナダ
2位 EC(欧州連合)
3位 フランス
4位 英国
【最良の観光客】(エクスペディア)
1位 日本人
2位 アメリカ人
3位 スイス人
4位 スウェーデン人
5位 ドイツ人
何度かフィリピンに旅行をしたとき、同じ所に宿泊しましたが、わずか数年の間に客層ががらっと変わっていたんです。
『欧米人・日本人⇒中国人・韓国人』
景気がいい東アジア地域の勢いそのままに、レストランにしてもロビーにしてもガラッと雰囲気が変わってびっくりしました。仲良くしている現地のスタッフに聞くと「最近は中国とか韓国の人が多くて…お客さんだからあんまり言いたくは無いけど、マナーが悪い人が多くて困る」と話していました。そのスタッフに言わせると、欧米人は鷹揚な人が多く、日本人は大人しい人が多くて、スタッフの評判がいいのだとか。
これを聞いてカミさんと「へぇ〜」と思いましたが、フィリピンの一ホテルのスタッフの評判ではあるけれど、レストランでもバーでも同じ様な話を聞きました。
たしかに、宿泊中も夜中まで酔っ払って騒いでいるのは中国や韓国から来ていると思しき方々。ホテル敷地内の道ですれ違うとき、欧米人は「Haai!」「How are you?」なんて声を掛けてくるが、アチラの方々は自分たちの世界。かのホテルのスタッフも「日本人は英語が出来なくても笑ってくれたりするけど、目も合わせてくれないんだもん」と困り気味でした。
「Japan Bashing⇒Japan Passing⇒Japan Nothing」
一般庶民の評判は良いけれど、国際的に見た最近の日本は透明人間扱い。サブプライム問題で揺れるアメリカのポールソン財務長官が、昨年末ヨーロッパの次に緊急対策を話し合いに向かったのは日本…ではなく中国でした。米欧5中央銀行が緊急声明を発表し、サブプライム対策を12月17日から実施(銀行間緊急融資)すると決めて、ヨーロッパの協力を取り付け、すぐさまアジアに向かったわけですが、日本は完全無視。相談すらなかったようで…。
いまや米国債の最大の買い手は日本から中国に移りつつあり「アジア経済の中心は中国」とアメリカが見ていることが、露骨に出ています。こんな扱いを受けながら額賀財務長官はノーリアクション。だから平気で素通りもされてしまうワケで。今でも「Japan as No.1(日本が一番)」なんて思っていると世界の人から笑われます。
日本の経済が絶好調の時は「Japan Bashing(日本叩き)」でした。憎い位に日本経済が強かったということでしょう。それが、今は「Japan Passing(日本無視)」。世界の中で存在感を示せる時に示しておかないと、この先はジリ貧でしかなくなります。評判のいい観光客もいいけれど、毅然とした態度や思い切った政策を打たないと、そのうち「Japan Nothing(日本消滅)」になってしまいます。政府も日銀も景気後退を認め出したし、その一方で増税まっしぐらだし…2008年は不透明感が濃く漂う、様々な意味で変動の激しい厳しい年になると思います。
「我が家のPassing」
最近、ウチの飼い猫が、夜寝ている僕の上を歩いて通過していきます。それも何度も。たぶん床が冷たいからです。これを「Osamu Passing(修無視)」と我が家では呼んでいます。僕一人でですが。
2008.02.09 | | コメント[0] | トラックバック[0]
身を守る
年末年始は実家で酒と読書三昧。普段なかなか時間が無くて読めない本を読みました。その一冊、本棚の奥から出てきたのは大学のゼミで読んだ、藤原てい著の『流れる星は生きている』。太平洋戦争の末期、ソビエトに侵攻された満州国からの必死の脱出を描いた本です。入植者たちは、泥水を飲んだり雑草を食べたりしながら必死に日本を目指し、途中で力尽きた人も多くいました。
「日本国及ソヴイエト聯邦間中立条約」
『第一条 両締約国ハ両国間ニ平和及友好ノ関係ヲ維持シ且相互ニ他方締約国ノ領土ノ保全及不可侵ヲ尊重スベキコトヲ約ス』
当時、日本とソビエトは軍事的に中立を保つことが約束されていました。しかし、これを1945年の8月9日にソビエトが一方的に破棄。モスクワの大使館で当時の駐日大使に宣戦布告を告げます。その情報は当時の満州国首脳にも伝えられます。当時の満州国を実質的に支配していたのは日本の関東軍と高級官僚。安倍元総理の祖父にあたる岸信介も辣腕を振るっていた時期があります。
「真っ先に逃げ出した」
この一大事に関東軍と高級官僚たちがどう動いたか。まず自分たちが逃げる特別列車や飛行機を仕立てたのです。そして、あろうことか一部の民間人には「ソビエトが攻めてくるから山の方に逃げるように」と触れて回ります。自分たちが逃げる日本海側とは逆の、ソビエトが攻めてくる山側の方向を民間人に伝えたのです。
特別列車や飛行機に民間人が押し寄せるとパニックになって自分たちが逃げられないために。そしてソビエト軍の侵攻を遅らせるために、民間人を利用したとも言えるでしょう。民間人は政府の宣伝を信じて入植し、アジアの繁栄という大義名分を信じて働いてきたのです。その民間人は、極限状態の中で軍人や高級官僚の盾にされたといってもいいでしょう。
我先に逃げる軍人と官僚たち。取り残されるどころか人柱にされる民間人たち。
「身を守る」
『皆さんねぇ、国なんてものはアテにならんのですよ。自分の身は自分で守る。自分の家族は自分で守んないとダメなんですよ。国が守ってくれるなんて幻想はこの場で捨てなさい!』
大学のゼミでお世話になったべらんめぇ口調のS教授は、この本を引き合いにこんな話をしていました。国家の無策に国民は苦しめられるどころか、国民は国家に見殺しにされることもある。僕が大学3年生だった当時は、赤字国債の発行が急増し、プライマリーバランスが崩れ始めていました。S教授はこれを痛烈に批判。大規模な行政改革と小さな政府を提言した本はベストセラーになっていました。
そして十数年経った今でも、S教授が指摘した問題は棚上げになったままです。
年金問題、官僚の天下り、景気低迷、赤字国債、膨張する財政赤字…これらの問題は根本的な解決を見ないまま、日本の景気は本格的な後退期に入ると見られます。いや、もう入っているでしょう。11月にこのブログでも指摘した、物価が上がるのに景気は後退する「スタグフレーション」の恐れが現実のものとなりつつあります。
そして、物価がどれだけ上がろうと、景気がどれだけ悪くなろうと、失業率がどれだけ上がろうと、消費税は2010年代には10%台にせざるを得なくなります。そうしないと、赤字国債の償還が限界に来てデフォルトが起き、国家経済が破綻する恐れがあるからです。それを避けるためには、国家が作った赤字を国民が負担する以外に無い所まで事態は切迫しています。
国家の赤字を国民が生活を削って補填する構図は、満州国で軍人や高級官僚が逃げる時に置き去りにされた民間人と二重写しに見えます。1945年の満州国で起きたことと同じことがまた起きるとすれば…自分の身は自分で守るしかなさそうです。
※藤原ていの夫は作家の新田次郎。息子で数学者の藤原正彦は「国家の品格」の著者。
※ソビエト侵攻時の満州国内での避難については諸説ありますが、実際に避難した民間人の多くが上記のような証言をしています。
「日本国及ソヴイエト聯邦間中立条約」
『第一条 両締約国ハ両国間ニ平和及友好ノ関係ヲ維持シ且相互ニ他方締約国ノ領土ノ保全及不可侵ヲ尊重スベキコトヲ約ス』
当時、日本とソビエトは軍事的に中立を保つことが約束されていました。しかし、これを1945年の8月9日にソビエトが一方的に破棄。モスクワの大使館で当時の駐日大使に宣戦布告を告げます。その情報は当時の満州国首脳にも伝えられます。当時の満州国を実質的に支配していたのは日本の関東軍と高級官僚。安倍元総理の祖父にあたる岸信介も辣腕を振るっていた時期があります。
「真っ先に逃げ出した」
この一大事に関東軍と高級官僚たちがどう動いたか。まず自分たちが逃げる特別列車や飛行機を仕立てたのです。そして、あろうことか一部の民間人には「ソビエトが攻めてくるから山の方に逃げるように」と触れて回ります。自分たちが逃げる日本海側とは逆の、ソビエトが攻めてくる山側の方向を民間人に伝えたのです。
特別列車や飛行機に民間人が押し寄せるとパニックになって自分たちが逃げられないために。そしてソビエト軍の侵攻を遅らせるために、民間人を利用したとも言えるでしょう。民間人は政府の宣伝を信じて入植し、アジアの繁栄という大義名分を信じて働いてきたのです。その民間人は、極限状態の中で軍人や高級官僚の盾にされたといってもいいでしょう。
我先に逃げる軍人と官僚たち。取り残されるどころか人柱にされる民間人たち。
「身を守る」
『皆さんねぇ、国なんてものはアテにならんのですよ。自分の身は自分で守る。自分の家族は自分で守んないとダメなんですよ。国が守ってくれるなんて幻想はこの場で捨てなさい!』
大学のゼミでお世話になったべらんめぇ口調のS教授は、この本を引き合いにこんな話をしていました。国家の無策に国民は苦しめられるどころか、国民は国家に見殺しにされることもある。僕が大学3年生だった当時は、赤字国債の発行が急増し、プライマリーバランスが崩れ始めていました。S教授はこれを痛烈に批判。大規模な行政改革と小さな政府を提言した本はベストセラーになっていました。
そして十数年経った今でも、S教授が指摘した問題は棚上げになったままです。
年金問題、官僚の天下り、景気低迷、赤字国債、膨張する財政赤字…これらの問題は根本的な解決を見ないまま、日本の景気は本格的な後退期に入ると見られます。いや、もう入っているでしょう。11月にこのブログでも指摘した、物価が上がるのに景気は後退する「スタグフレーション」の恐れが現実のものとなりつつあります。
そして、物価がどれだけ上がろうと、景気がどれだけ悪くなろうと、失業率がどれだけ上がろうと、消費税は2010年代には10%台にせざるを得なくなります。そうしないと、赤字国債の償還が限界に来てデフォルトが起き、国家経済が破綻する恐れがあるからです。それを避けるためには、国家が作った赤字を国民が負担する以外に無い所まで事態は切迫しています。
国家の赤字を国民が生活を削って補填する構図は、満州国で軍人や高級官僚が逃げる時に置き去りにされた民間人と二重写しに見えます。1945年の満州国で起きたことと同じことがまた起きるとすれば…自分の身は自分で守るしかなさそうです。
※藤原ていの夫は作家の新田次郎。息子で数学者の藤原正彦は「国家の品格」の著者。
※ソビエト侵攻時の満州国内での避難については諸説ありますが、実際に避難した民間人の多くが上記のような証言をしています。
2008.02.02 | | コメント[0] | トラックバック[0]