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最終更新:2008年5月23日(金) 20時7分

クラスター爆弾、今も暗い影落とす

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 クラスター爆弾の問題、40年前のベトナム戦争当時にまかれた爆弾で、今なお、苦しみ続けている国があります。

 砲弾を抱えた子どもたち。ラオス北東部、ベトナムとの国境近くに位置するこの地域には40年前のベトナム戦争のつめ跡が今も生々しく残されています。

Q、これどうしたの?
 「畑で拾った」(子供)

 中でも住民に最も深刻な被害を与えているのが、クラスター爆弾です。アメリカ軍は戦時中、北ベトナム軍の補給路ともなっていたラオス領内に、クラスター爆弾を使ってじゅうたん爆撃を重ねました。

 空中で開いて中から何百発もの小さな爆弾が飛び散るクラスター爆弾。しかし、そのうち1割から2割は爆発せず、不発弾となって戦争が終わった後も長く人々の生活を脅かし続けています。

 見つかったクラスターの子爆弾は野球のボールより一回り小さいくらい、土に混ざって、うっかりすると見落としてしまうような色をしています。

 爆発しないまま地中に残された子爆弾の数は、ラオス国内だけで推定3000万発以上。ラオス政府は日本のNPOなどの協力を得て、不発弾の処理作業を行っていますが、広い範囲に飛び散った爆弾を1つ1つ探し当てて処理するには膨大な時間と人手がかかります。

 14年にわたって不発弾処理が続けられているシェンクワン県ですが、これまでに処理を終えた土地は全体のわずか0.15%にすぎません。

 「何百年とかかる状況になると思います。限りないという感じです」(不発弾処理を支援するNPO「JMAS」シェンクワン事務所 中條宏代表)

 処理現場の近くに住むワンさんは先月、自宅の前で排水溝を掘っていたところ、クラスターの子爆弾が爆発しました。

 「クワで溝を掘っていました。周りには子供がいました」(ワンさん)

 爆弾の破片はワンさんや近くにいた子どもたちに突き刺さり、6歳の息子は目の前で命を落としました。以来、ワンさんはショックでほとんど口をきくことができません。

 ラオス政府は市民にクラスター爆弾の特徴や危険性などを教え、被害を食いとめようとしていますが、不発弾による死傷者は今も年間100人前後に及んでいます。

 「クラスター爆弾は終戦後も被害者が出続けています。市民を苦しめる。なくなってほしい」(不発弾処理機関「UXOLAO」 ピンマボン所長)

 未だ深刻な貧困から抜け出せないラオス。成長の機会をうかがうこの小さな国に、地中に潜む無数の爆弾が今も暗い影を落としています。(23日18:09)



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