アナウンス室インデックス

[2007] < 2008年05月 > [2009]

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
2008年
1月 2月 3月 4月 5月 6月
7月 8月 9月 10月 11月 12月
2007年
1月 2月 3月 4月 5月 6月
7月 8月 9月 10月 11月 12月

新着日記

新着ネットラジオ

インターネットラジオ

インターネットラジオを聞くには?

iTunesダウンロード

FCT直営ウェブサイト

あなたのお店も登録しませんか「満ぷくナビ」

テレビ局の仕事をやさしく解説「ズームインFCT」

調べものなら 「ちょっと便利帳」

アナウンス室 プロフィール

おおの おさむ

大野 修

プロフィール

1  2  3  4  5  6  7  次のページ

原油高とラーメン屋

「原油の価格」

ガソリン高が止まりません。その原因はガソリンの原料となる原油高。では原油の価格はどう決まるのか?スーパーマーケットのような「ドバイ産198円」「ロシア産188円」という形ではなく、市場の動きで米ドル建てのレート提示が行われています。(一部で米ドル離れも始まっていますが)

この「市場」というのがクセモノで、現状ではアメリカのWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)という市場が原油の価格決定に一番の影響を与えています。単位はバレル。昔は原油を大きな樽(バレル)に入れていた名残ですが、その容量は約159Lで、現在も「1バレル=○ドル」というのが原油を取引する時の国際基準になっています。

しかし、WTIで実際に原油入りの樽が売買されているワケではありません。「先物」と言って、3ヵ月毎の価格を予測して「先」に売ったり買ったりする取引が行われています。この「先物」取引は、実際に原油を調達して事業をしている企業向けに、原材料費の乱高下の影響を軽減する(ヘッジ)目的で始まりましたが、現在はマネーゲームの舞台になってしまいました。

「しっぽが犬を振り回す」

とは言え、そのマネーゲームの舞台=WTIで原油先物が幾らになったかで、実際の原油の取引価格が決まる流れになってしまっています。しっぽが犬を振り回す(The tail wags the dog)ような結果になってしまっているのが実情なんですね。

WTIはただの取引所ではなく、歴史ある産油地でもあります。ただ一日のWTI原油の産出量は日産40万バレル。ちなみに世界全ての原油産出量は日産8000万バレルですから、世界規模で見ればたったの0.5%でしかありません。

それに対してWTIの一日の原油先物扱い量は、なんと3億バレルに相当します。実際に算出される原油の750倍もの量が取引されているのです。よく「中国やインドで需要が増えているために原油が値上がりしている」と言われますが、要因の一つであっても主因ではないことがここからも分かります。

実需ではなく、先物取引が原油価格を振り回しているのです。

「原油高とラーメン屋」

WTIで算出量の750倍もの原油先物が取引されている状況をラーメン屋に例えるとこんな感じでしょう。

一杯600円で一日限定40食しか売らないラーメン屋に30000人が並んでいる。そのラーメン屋の整理券に対して「オレは750円で買うぞ」「いやオレは800円で10枚買うぞ」「私は1500円で買うわよ!」「えーい、あっしは思い切って3000円だ!」なんて事をやっている。

とにかく毎日のように雑誌やテレビでこの店の紹介をしている上に、実際に食べた人間が「うーん、この世のモノとは思えない旨さだった」なんて言いふらすもんだから、誰もが食べたくて食べたくて仕方がない。

つまり、噂が噂を呼んでどんどん人が並んでいる状態。

おまけに、この店の麺は有限で在庫が尽きれば閉店になると噂されている。その上に、最近この付近に引っ越してきた中国人やインド人達にもこのラーメンは大人気で、彼らがいつも列の最前線に並んで高い値段を口走っている。

「落ち着くべきところへ…」

一説には、世界の投機資金は1京円=100兆円×100にも上るといます。「原油先物取引は儲かる」ということで、世界を回遊する投機資金が集中することで値段が釣り上がっている状況がどこまで続くかは分かりません。ここ数年で見れば、投機資金が数倍になる「美味しい」市場であることには間違いが無いからです。

原油先物取引は、行列の出来るラーメンと同じ様に「美味しい」に違いありません。でも、そのラーメンには果たして一杯3000円の価値があるのでしょうか。市場原理で、今はとんでもない値段がついているけれども、そうそう長くは続かないのではないでしょうか。

10年スパンで見れば、原油価格は落ち着くべきところに落ち着く方に向かう…そう思うのですが…。

2008.05.17 | コメント[0]トラックバック[0]

大切なこと

「バブル崩壊」

僕が大学を卒業した頃はバブル崩壊の嵐が吹き荒れていました。大学新卒の求人倍率が0.7倍と今の半分以下で、企業説明会に行ってもそれはそれは邪険な扱いを受けたりしたものです。当時多かったのが「圧迫面接」といって、やたらに難しい質問をしてみたりこちらの答えに無反応だったりする採用試験です。怖そうなオジさんたちに睨まれた僕は、逆に頭にきてハッスルしてしまい、試験を通ったこともあります。

曰く「シビアな状況に耐えられるかどうかを試したかった」とか。

その頃ニュースでは毎日「破綻」とか「再建を断念」だとかいう言葉がしょっちゅう流れてきていました。ノンポリ学生だった僕は特に行きたい業種も無く、名前のある企業を片っ端から受けていました。まぁ選り好みなぞしている状況でも無かったし、受けているうちに何かやりたいことが見つかるかもしれないという、何とも大甘な状態でした。

「勘当モノ」

で、当時の就職人気ランクで1位だった会社に入ることが出来たんですが、辞めちゃったんです。わずか一年で。「これは自分のやりたいことじゃない」とか言いながら。別に問題を起こしたわけではありません。為念。いい仲間にも巡り会えたんですが、どうしても肌に合わなかったんです。

いま考えると無謀ですね。僕が自分の親だったら勘当してますよ。大学に浪人して入って就職氷河期に入った大きな会社をさっさと辞めちゃったら、この先どうすんのお前って…。でも親は黙って認めてくれた。だから今でも親には感謝しているし、これから先も一生頭が上がらないと思います。

「派遣労働」

ある出来事を通して報道の仕事どうしても就きたかった僕は、そこに辿りつくまでは何が何でも頑張らないといけなかった。そのためには実家暮らしといえども稼ぐ必要がありました。何といっても浪人⇒大卒⇒就職⇒フリーターの身でしたから。

しかし、当時はバブル崩壊で「フリーター」を取り巻く環境もかなり厳しくなっていました。時給1500円前後の仕事を片っ端から当って見つけたのが「派遣労働」。当時グッドウィルはまだ立ち上がったばかりで、あまり目立ちませんでした。僕がお世話になったのはバックスという会社で、今も業界上位で頑張っている所です。

当時、それはそれは色んな仕事をしました。杉村太造議員よりも多かったんじゃないかな。どの世界にもその道のプロはいるんですね。色んな仕事で自分よりもかなり年下の「先輩」に教わるんですが、毎日「へぇ〜っ」という連続でした。

「チラシ配り」…駅前で足早に歩く人たちにいかに効率よく配るかが勝負。大体は朝の2時間、夕方の2時間で、一日8000円。女性は手元に、男性は胸の位置に出すのがポイントと教わりました。20歳の派遣暦4年の先輩の笑顔と手元のスピードはまさにプロ。僕の倍以上のスピードで配っていく姿は圧巻でした。

「引越し」…言わずと知れた肉体労働です。仕事量に関係なく一日1万円。エレベーターの無いマンションの4階に階段でタンスを上げたときには、死ぬかと思いました。呪いの言葉を唱えながら仕事をした覚えがあります。この仕事はジーンズが破けるのは日常茶飯事。チームの中には一人で冷蔵庫を持ち上げるベテランもいて、力の入れ具合とコツでどんなに重いものでも持ち上げられるものなのだなぁと感心した覚えがあります。

「携帯電話販売」…家電量販店での販売です。一日立ち詰めで説明から契約までをこなして固定で一日1万2000円。歩合の人で年収600万という人もいました。全ての機種の機能やサービスを把握した上で、ライバル社との差を説明しながら契約まで持ち込むには知識とトーク力が必要です。これには様々なタイプの派遣がいて、一番面白かった業種でした。

「秋葉原生活」

派遣先から気に入られれば長く続くのがハケンの世界。一番長く続いたのは秋葉原駅前の家電量販店の携帯電話販売でした。辞めた会社が通信関係だったこともあって、知識がソコソコあったのが幸いしたのでしょう。今は「アキバ」なんて言っていますが、当時の秋葉原はそれはそれはディープな雰囲気が漂っていました。

オタクの領域を超越してほとんど専門家という人もいて、毎日お店に来ては買いもしないのに自分の知識を延々とひけらかす人が多かったですね。あと駅前では包丁とか便利グッズの実演販売をやっていてこれが面白かった。昼休みはいつも見に行っていましたが、いつも黒山の人だかり。特に上手だった方は、いまテレビの通販番組でお見かけします。頑張っていたもんなぁ、出世したんだなぁと、他人事ながら嬉しいものです。

「携帯電話販売」

1994年に規制緩和で免許が幅広く認められるようになり、基本料金が大幅に値下げされて以来、高級品だった携帯電話は爆発的な普及を見せていました。当時はドコモ・ツーカー(現au)・セルラー(現au)・デジタルホン(現ソフトバンク)がしのぎを削っていましたが、ドコモが通話エリアを武器に他社を圧倒していました。

僕はドコモの担当でした。歩合ではないものの、売り場にはツーカーの担当者やデジタルホンの担当者もいるので表面上は仲良くしても、内心はライバル心がメラメラ。特に接客中で手が離せないときに、ドコモの携帯電話を見ているお客に、ツーカーの担当者が「ドコモもいいけど都心で使うならツーカーの方が安くて良いですよ!」などと言いながら引っ張っていくのを横目で見ていると、ハラワタが煮えくり返りました。もちろんその逆も何度もやりましたけど。

売り場のメンバーは実に個性豊かでした。

男性でイケメンのYさんは女性には甘く、男性には低姿勢に迫るという使い分けで、契約獲得数トップ。ソツ無くムダ無くスマートで、秋葉原だけではなく、全国各地の量販店からひっぱりだこでした。で、仲良くなって安居酒屋で飲んだ時に、とんでもない秘密を聞かされました。なんと各地の派遣先にそれぞれ彼女がいるというのです。「時々しか会えないのがいいわけですよ!派遣の特権ですかね☆」とサラッと話していましたが…。

女性で色気があったTさんは何となくワケありな雰囲気。特に男性客は、彼女の説明を聞くというよりは彼女の雰囲気に呑まれる形で契約をしていました。『ショムニ』というドラマでもお色気のある方がいたじゃないですか。あの醸し出す雰囲気は何なのか…安居酒屋で飲んだときも詳細は分かりませんでした。不思議な魅力のある方で、一説にはバツ1、一説には国際結婚をしている…様々な噂がありましたが、誰も真相は知れずじまいでした。

みんないい仲間でした。

「大切なこと」

その頃、前の会社の同期は海外企業との業務提携やら、官庁との人事交流やら、社費での海外留学やら、それはスマートな仕事をしていました。でも、僕は僕で、安居酒屋で騒ぎ、安カラオケで一緒に歌い、経歴や肩書きなど全く関係の無い者同士で裸の付き合いをしながら、多くの大切なことを学ばせてもらったと思います。

一日中立ち詰めで仕事をしながら、正社員に馬鹿にされたり、売れなくて店長に怒られたり…それでもハケンの僕らはそれなりに楽しく働いていました。垣根を作らずに人と接するということを学ばせてくれたあの仲間たちは、今もプライドを持ってハケンの仕事をしているのだろうか…今度連絡を取ってみようと思います。

2008.05.10 | コメント[0]トラックバック[0]

ジョニー・ブンコ

5月病でやる気が出ない…という社会人の方も多いのでは…。アメリカでもそんな社会人が多いそうです。そんなアメリカで今ウケているものがあるそうです。

「アメリカのビジネス漫画」

漫画文化は日本のお家芸ですが、アメリカでは『ジョニー・ブンコ』(原題: The Adventures of Johnny Bunko)というビジネス漫画が発刊されて、人気になっているそうです。著者はビジネス書の世界で有名なダニエル・ピンク。アル・ゴア元副大統領のスピーチライターをしていた御仁です。

本の内容はこんな感じ。

優秀な学生が親の親身なアドバイスを聞き入れて良い大学に進み大企業に就職したのになぜか満足できない…。
「ひょっとして僕にアドバイスをくれた皆が間違っていたのかも…」
そんな誰もが抱えるモヤモヤしたところから、ビジネスの世界の厳しさややりがいを見つけていくという、まぁどこかにあるようなお話。

「ビジネスの教訓は万国共通」

教訓1:敷かれたレールなんて存在しない
これをやっていれば安全だという発想からキャリアを選ばない。古今東西、安全で不変なキャリアは存在しません。不倒神話の銀行がどうなったかは周知の事実。自分の好きなこと、やりがいのあることを選ぼう。

教訓2:自分の得意な学科や技能を伸ばすだけをことを考える
不得意科目を補正してもあなたはせいぜいmediocre(平凡)な会社員にしかなれない。insanely great(メッチャ凄い)人間にならないと真の成功は勝ち取れない。

教訓3:自分に何が出来るかを考えない
自分の守備範囲や得意分野だけを考えて行動すると、自ずとキャリアを限定することになる。自分の才能で他人の役にどう立てるか?を考え、広い視野でモノを考えること。

教訓4:才能も大事だか執念はそれ以上に大事
世の中には才能ある人が溢れている。しかし、そこで止まっていては前へは進めない。問題はモチベーションを維持し、絶え間なく努力できるかどうか。それによって、才能の壁は乗り越えられる。

教訓5:進んで失敗する
大きな目標や野望を持ち、大きな失敗をすること。失敗しても構わない!という思い切った気持ちが無ければ、大きな仕事はできない。リスク無くしてリターン無しということ。

教訓6:後続に伝統を残す
自分にしか出来ないと技能を抱え込むのは真のエリートではない。また、自らの後続を蹴落したり邪魔をするのは、組織の停滞を招き、時には組織を退廃させる。

ビジネスで真に成功した人間は「自分のやった業績は何か意味のあることだったのだろうか?」「自分は社会に貢献しただろうか?」といった疑問を抱くもの。それをリタイヤしてから考えたのでは遅すぎる。現役のうちにそういう疑問を自問し続け、世の中に貢献することを目標とすれば悔いの無い人生を送ることが出来る。

「フラット化する世界」

トーマス・フリードマンが『The World is Flat』で示したフラット化する世界の中で、先進国といわれる国々のビジネスマンたちが新しい競争に晒されていると指摘しています。

具体的に見ると、ホワイトカラーの知識集約的な仕事がどんどんインドなどに流出してしまっている現象を挙げることが出来るでしょう。インドは数学教育の水準でアジアトップであると同時に人件費が安く、2010年代には世界のソフトウェアの生産基地になると言われています。

ホワイトカラーの仕事は、ソフトウェアに限らず規制緩和や競争激化で様々な面でフラット化が進み、変化が加速しています。これから新社会人の若者たちが、どう力強く生き抜いていくか。そのヒントの一端が『ジョニー・ブンコ』には紹介されています。

5月病になったかも…という方!お時間のある方は是非どうぞ。

2008.05.03 | コメント[0]トラックバック[0]

気象予報士の試験で、地球という惑星の特性についても勉強する機会がありました。その中で『月』の存在が地球にとって、私たち人類にとっていかに大きいかが分かり「へ〜っ」と思ったものです。

「生い立ち」

月の生い立ちに関しては様々な説がありますが、有力な説は『ジャイアントインパクト説』です。約45億年前、地球がまだ誕生間もない液状に近い状態だった頃に、火星大の星が衝突しました。これが『ジャイアントインパクト』です。この衝突によって地球はドロドロの状態から引き裂かれ、分離した地球の分身が月になった、といいます。

その根拠が、米のアポロ計画で地球に持ち帰った岩石の組成が地球のものに近いこと。月からと見られる隕石の組成が地球のマントル層とほぼ一致することが挙げられています。つまり月と地球は一卵性双生児だった可能性があるというのです。

「引力」

月も質量を持つ衛星なので引力があります。この月の引力が、地球環境の創造に非常に重要な要素となっています。

まず、月の引力によって地球の地軸は23.4度に保たれています。月の引力が無ければ地球の地軸はバラバラとなり地球の環境は安定し得ません。
また、月の引力によって地球の自転速度は24時間に保たれています。月の引力が無ければ自転速度は5〜8時間となり、これも安定しないものとなります。
さらに、月の引力が無ければ潮の満ち干きが無いため海洋の変化が乏しく、海洋環境が貧しいものとなってしまうのです。

「月と人類」

人類の祖先は、進化の過程で海から陸上にやって来たと考えられています。月の影響によって地球の海が豊かになり、その結果として生物が生まれたと言えるのです。ですから、月が無ければ地球上に人類が存在しえたかどうかは疑わしいとも言えるでしょう。

国産の月周回衛星『かぐや』がハイビジョンで月の上空100kmから探検中です。『かぐや』は小さな町工場を含めた日本のモノ作りの技術によって作り上げられています。『かぐや』をきっかけに、地球環境の、そして人類発祥の立役者の表情をさらに明かして欲しいと思います。

2008.04.26 | コメント[0]トラックバック[0]

「暫定」税率延長

「値上げ、値上げ、値上げ…」

4月から電気料金や小麦・ビール・食用油・醤油・牛乳など値上げラッシュとなっています。原因は「商品市況への資金流入」「バイオ燃料生産に伴う需給逼迫」「天候不順による不作」などが挙げられます。

一世帯あたりの負担増加額は家族4人の標準的な世帯で年間約14000円近くになると指摘されています。その中に占める食費負担は40%強の約6000円になるとか。

一方で、ガソリンの税額が通常に戻ることで世帯あたり2700円弱の負担が軽減されるそうです。首相は税収不足で「国民にたいへんな負担になる」からガソリン税を2倍に戻す努力をするそうですが、道路を作りたい人たちを除いて、大幅値上げラッシュの中の値下がりを大歓迎しているのが平均的な消費者の姿でしょう。

「続く『暫定』税率…廃止される『恒久』減税」

もともと、道路特定財源として自動車関連の税率を2倍にする暫定措置が30年以上も続いたことが問題です。ガソリン税、正式には「揮発油税」の本来の税率は24.3円/リットルですが30年以上に亘り、「暫定」的に48.6円に引き上げられた経緯があります。

理由は「戦後復興を目指し、道路を緊急に整備する」ため。

ほとんど利用されない高速道路、道路とは関係の無いハコモノ、マッサージチェアからお香まで、道路特定財源が道路と無関係なものに使われてきた実態を見れば、「戦後復興」と全く関係が無い暫定措置の不自然さが際立ちます。

ちなみに自動車関係の税金は全てを合計すると消費税の総額と大差がありません。それを道路だけに使い切れないから、本来の目的と異なる「一般財源化」することが正論のように主張されています。

本来、税金は全て同じ財布であり、目的別に税を取ることが誤りですから、一般財源化は当然の議論かもしれません。しかし、10年と持たなかった恒久減税とは対照的に、合理的な理由がなく暫定税率が更に10年延長されることは納税者の許容範囲を超えています。「暫定税率維持」と「一般財源化」が同時では意味がありません。

「ガソリン税が時代遅れになる」

暫定税率を巡る混乱で政府・与党の政策対応にセンスが欠けているように思えてなりません。国民は与野党の政治的対立よりも、率直にガソリン価格が値下がりしたことを喜んでいます。物価上昇が相次ぐ中でインフレを抑制する政策として採用し、その分、支出を減らす努力が出来ないものなのでしょうか?収入が減れば何とかする、というのが一般的な庶民感覚です。

また、先月行われたN.Yの自動車ショーでは「電気自動車」の試作車の出展が相次ぎました。暫定と言いながら、また10年も高い税額を取り続ける間に、自動車に占める電気自動車の割合が急増する可能性があります。その場合、電気代に「暫定税率」を適用するのでしょうか?この点からも暫定税率にはセンスが無いように思います

さらに、道路を作り続けることが財政上不可能になる時期が遠くないことも指摘されています。道路は作ればそれで良いとういものではありません。維持する為には多くの費用が必要です。今のペースで新規に道路を作り続けると道路のメンテナンス費用だけで10年以内に今の道路予算の全額を使う可能性があります。

また、作れば作るほど予算が削減できなくなり、膨張に歯止めが効かなくなります。無理なものは無理と言うことがトップの役目です。「今までどおり」「先例が無い」などとばかり言っていては、財政的にも政策的にも先細りになると思います。

今月末に暫定税率に関する法案の再可決を目指すようですが、その行方に注目したいところです。

2008.04.19 | コメント[0]トラックバック[0]