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笑うに笑えない

前に勤めていた会社の異業種交流会で知り合った友人同士で、気になるニュースを回し読みしています。きょうは某シンクタンクに勤める友人から「笑うに笑えない」ニュースが回ってきました。出元は1月23日付Daily Telegraph(イギリス)です。海外から日本はこう見られているんだなぁと感じます。

「Daily Telegraph -Julian Ryall in Tokyo 22/01/08」

The Nikkei closed below 13000 for the first time in two years, dragged down by credit problems linked to the subprime mortgage crisis in the US."It's largely a sense of panic in Tokyo, despite the hopes, because it has finally come home that the Bush administration is incompetent," said Kenneth Courtis, former chairman of Goldman Sachs Asia. "They have been incompetent handling Hurricane Katrina, Iraq and now they can't handle the economy."

「(22日に)アメリカのサブプライム危機に関連する信用問題に引きずられる形で、日経平均は2年ぶりに13,000円以下で取引を終了した。『東京は殆どパニックだったが、希望はあった。ようやく遂にブッシュ政権が無能だと分かったのだから』とゴールドマン・サックス・アジアの元会長、ケネス・カーティス氏。『彼らはハリケーン・カトリーナの対応でもイラクでも無能だったし、経済の舵取りも出来ないことがハッキリした』」。

The Japanese government is as paralysed, he said, but that is more a domestic political issue as Prime Minister Yasuo Fukuda is unable to get legislation past an upper house dominated by the opposition but, more important, is desperate to hang on to power ahead of the Group of Seven summit scheduled for July in northern Japan.In response to the crisis, the Bank of Japan announced that it would keep its interest rate on hold and suggested that the Japanese economy was "slowing". Later, economics ministers told a press conference that they would closely watch plunges on the stock market, but take no immediate action.

「『日本の株価の下落は日本政府の麻痺状態が原因。つまり、福田総理が野党に占領された参議院で法案を通過させられないという国内の政治問題が大きい。もっと重要なのは、福田総理が7月に日本の北部で予定されているG7サミット(洞爺湖サミット)まで、何としても権力の座に留まろうと必死になっている点だ』とカーティス氏は指摘する。この金融危機に対して、日銀は金利を据え置くと発表。でも日本経済は『(景気拡大が)鈍化中』だという。その後、経済担当相は記者会見で、『株式市場の大暴落をよく観察するが対策は一切とらない』と話した」

「笑うに笑えない」

つまり、政府も日銀も海外から見ると世界的金融危機に対し「危機感ゼロ」だということ。おまけに日銀の福井総裁は「今年の後半は消費が拡大し去年よりも景気が良くなる」と会見で話しています。サラリーマンの給料は8年連続で下落し、その一方で小刻みに実質増税されて(定率減税廃止+配偶者控除廃止+年金掛け金率上昇)、さらに消費税増税をちらつかされています。でも庶民はどんどんモノを買って景気が良くなる…ってどこの国の話でしたっけ?あぁ日本ですか。

上記のニュースに付されていた友人のコメントが秀逸でした。「たぶん福田総理はサミットの議長という歴史的名誉が欲しいんだと思う。それまではあらゆる問題を右から左に受け流して(古っ!)講じ得る全ての延命措置を施すだろう。そしてサミットが終わったら『さよなら』じゃないかな」

「日本は昔から問題を先送りするのがお家芸。太平洋戦争のときも大本営発表で散々戦果を国民に誇大報告しておいて、無条件降伏。バブル崩壊のときも銀行の損失や住専の処理を先送りしておいて、無条件降伏(血税投入)。要は『名誉は欲しいが、責任は取りたくない』って体質なんだろう」

福田総理はサミットまで日本のトップでありたい。日銀の福井総裁は残り少ない任期中に「景気後退」宣言はしなくない。だから二人揃って「日本の景気は拡大中」と言い続けているのだとすれば…笑うに笑えないですねぇ。

2008.01.23 | コメント[0]トラックバック[0]

ダボス会議

「Nosedive」

世界の株価が急落しています。まさにNosedive(鼻から落下=まっさかさま)。各国の株価は、あの世界同時多発テロ以来の下げ幅で、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)も30日の会合を待たずに緊急利下げをしないと済まされない状況に追い込まれています。場合によっては緊急の米欧協調利下げすらあり得ます。さらに事が進めば、Credit Crunch(クレジットクランチ=金融危機)に陥る恐れがあるからです。

もちろんその引き金は「サブプライム」です。このサブプライム問題は、銀行のほかに金融保証を手がけるMonoline Insurer(モノライン保険会社)にまで飛び火していて、日本の保険会社まで延焼しています。「モノライン」とは、簡単に言えば、サブプライムの元利金の支払いを元金の数%程度の保証金を貰うことで保証するもので、アメリカの大手2社のほか日本も損保ジャパンなどが関わっていました。

まさに世界的なクレジットクランチの瀬戸際まで来ている、といってもいい状況です。

「ダボス会議」

ところで、23日からダボス(スイス)で恒例の世界経済フォーラムが開かれます。この通称ダボス会議は、世界約1000社の企業の首脳陣や政治指導者(首相や大統領)・ジャーナリストなどが集まって、教育・環境・マクロ経済など様々な項目について話し合いを行います。そのダボス会議について、今週号のTIME誌(アメリカ)に次のような記述があります。

This year's meeting, which starts on Jan. 23, might be a little different. A year ago, subprime had not entered the lexicon of the nightly news, and most Americans probably thought that "credit crunch" was a breakfast cereal. We all know better now. In the wake of the report that December's U.S. unemployment rate had jumped to 5%, the highest level in two years, the Bush Administration and Congress, Republicans and Democrats, started falling over themselves trying to find a politically acceptable stimulus package. With a recession in the American economy looking to be imminent, the tireless locomotive of the global economy seems finally to have run out of puff.

「23日から開かれる今年の会議は、いつもとはちょっと違ったものになるだろう。1年前には『サブプライム』なんて言葉は夜のニュースには流れなかったし、アメリカ人の殆どは『クレジット・クランチ』というのは朝食のシリアル(コーンフレーク)だと思っていた。政府の発表によれば、12月の米国失業率は実に2年ぶりの水準である5%に跳ね上がり、ブッシュ政権と議会と共和党・民主党は、政治的に許容可能な刺激策を探し始めている。米国経済が景気後退に向かうと、グローバル経済のエンジンがガス欠になる可能性すらある」

ダボス会議に、日本からは福田総理が出席します。議題はTIME誌にあるようにサブプライム発の金融危機に絞られることは明らかです。各国共に株価急落に端を発した金融の混乱に手を焼いているのですから。そして世界的クレジットクランチを回避しようと、各国のリーダーがそれぞれ経済対策を持ち寄るでしょう。そして各国が期待しているのは…。

土地バブルの崩壊を経験し、サブプライムの影響が少ない「日本の経済対策」。これに尽きると思います。

「環境とアフリカ…」

22日の会見で、大田経済財政担当相が「企業の生産・輸出はしっかりしており、一部に弱さはあるものの景気の回復基調は続いている」と発言。「景気対策は考えていない」としました。しかし、生産・輸出のデータは12月までのもの。しかも、12月までの資本財は、輸入国の経済混乱が始まる前に先行して発注されたもので、今後は急速に落ち込むことが目に見えています。つまり、政府全体として景気の「先行き」を読み誤っている可能性があるということです。バブル崩壊・IT危機の愚の二の舞は避けて欲しいのですが…。

そしてダボス会議。福田総理は7月の洞爺湖サミットに向けて「環境とアフリカ」をテーマに講演する可能性があります。しかし、日本は輸出で食べている国=世界経済と密接な関係がある国です。平時であれば「環境とアフリカ」も大事な議題ですが、今は緊急時です。クレジットクランチ回避に向けた具体的な日本の対策は、ペルシャ湾の給油よりも大きな国際貢献との評価を受ける可能性もあると思います。

事前に外務省と環境省と話がついているのかもしれませんが、ここ数日の混乱を踏まえた福田総理の機転に期待したいところです。世界の一翼を担う一国のリーダーとして。

2008.01.22 | コメント[0]トラックバック[0]

国富

塩川正十郎(塩爺)氏が講演でこんなことを言っていました。
「改革なくして成長なし
 成長なくして国富なし
 国富なくして国民の幸せなし」
国家政策に関してこれほど明快なメッセージもないと思います。

「汚いこと」「忌むこと」

日本人はお金儲けを「汚いこと」「忌むこと」と教えられてきました。ですが、考えてみると、生活に困るほどの年金しか受け取れなかったり、不景気で給料の手取りが減ったりすることが果たして幸せといえるのでしょうか?

世界の中には、政府が率先してお金儲けをしている国もあります。シンガポールや中国・韓国のほか、中東諸国は政府系投資機関(SWF=Sovereign Wealth Fund)を作り、国富(National Wealth)を達成するという目的のもとで資産運用を行っています。

意外と知られていませんが、日本テレビ本社のある汐留地区の再開発にあたったのは、シンガポール系のGICというSWFです。バブルで傷付いた日本の不動産業者が大規模開発に尻込みしていた時期でした。その後の地価上昇でGICが得た利益は膨大な額にのぼります。そのお金は日本からシンガポールへ流れていきましたが。

最近ではサブプライムで傷ついた米系銀行にアブダビ・韓国・中国・シンガポールのSWFが資金を投入しており、国際経済の安定化にも一役買っています。そして還流した資金は益金として、最終的には国に還元される仕組みです。こういったお金の流れは外交的にも「貸し」としてその後の国際関係にも戦略的に使えるはずです。

これって「汚いこと」「忌むこと」でしょうか。

「現代は経済競争の時代」

ロシアの新しい大統領に指名されたメドベージェフ氏はロシア最大企業ガスプロムの元会長。韓国の新しい大統領イ・ミョンバク氏は36歳で韓国最大企業現代(ヒュンダイ)グループの現代建設社長になったという伝説のスーパービジネスマン。台湾の与野党逆転も、野党が主張する「経済活性化・不況打開」の政策が支持を集めたため。アメリカ大統領の予備選挙も争点は経済対策に絞られつつあり、今後は不況対策が最大の争点となることは明らかです。

いずれの国のリーダーも経済通であることが選ばれた決定打となっています。現代の国家間の競争は、軍事競争から経済競争へと変化してきており、国家には経済に明るいリーダーが求められていることが、ここからも分かろうというものです。

翻って日本のリーダーは…。

「国際競争に正面からぶつかる」

弱者救済・格差是正が叫ばれる中で、2007年夏以降に放棄された財政規律が、10年以内に弱者をいま以上に押しつぶす恐れがあります。大手企業がかつてない好況に沸く中で、ようやく経営者が給与水準の向上や雇用拡大に腰を上げ始めた所に財政不況・政策不況の波が押し寄せる。抜本的な行財政改革をしないままでバラ撒き財政をすることは、根本的な弱者救済・格差是正にはつながらないのです。

決して世界に背を向けて、内に閉じこもってはいけません。世界中で頑張っている国や人に伍して、日本も頑張るのは当然必要なことです。頑張って成功する人や組織が評価され、国民全体の生活レベルを底上げするためにも国際競争に正面からぶつかる必要があります。僕の友人を含めて、外資系金融機関など厳しい環境で鍛え抜かれた優秀な民間人が多くいます。彼らを組織化すれば、海外に伍した素晴らしいSWFがだって出来ると思います。

「民度」

また、長期的な視野に立って冷静な判断ができるレベルの民度が、私たち国民一人一人に備わっているかどうかも大きな問題です。目先の人気や面白そうというだけで政治家を選ぶというのはいかがなものでしょうか?結果的に経験不足の政治家が急増しています。経験年数で衆議院の議員経験10年未満の割合は自民党75%・民主党82%。その経験不足を官僚が支える=官僚の思うがまま、というのが現在の政治構図です。

民主主義が機能するか否かは民度にかかっているのであり、政治家だけに責任を押し付けるべき問題とも言えません。次の総選挙に向けて、私たち有権者一人一人が日本のあるべき進む方向に向けてのビジョンをきちんと描けるかが大きなカギを握っています。もう政治家と官僚に「お任せ」では済まされない状態と言えそうです。

2008.01.19 | コメント[0]トラックバック[0]

仲良しクラブ

学生時代の友人というのはいいものですね。利害関係無しに電話やメールでいつでも本音を話せます。今では外資系金融機関の管理職をしていて部下が数十人いる奴もいます。その彼が言っていたこと。
「組織で力を持つ立場になると、周りが耳障りのいいことを言う人間ばかりになりがちなんだよね。そんな時にいつも思い出すのがあの言葉」

Whenever people agree with me, I always feel I must be wrong. - Oscar Wild
(みんなが僕に賛成してくれると、僕は自分が間違っているんじゃないかと思う。 − オスカー・ワイルド)

「山一も長銀も日債銀もそう。頭取を中心に『仲良しクラブ』を作って自分たちの気に食わない人間をパージしたからああなった。結果的には裸の王様だったんだけど」

「仲良しクラブの末路」

『山一證券役員たちの背信』(新潮文庫)にもあるように、山一證券は不良債権を頭取を中心とした『仲良しクラブ』が隠し続けたのが原因で潰れたと言われています。苦言を呈する、あるいは反対意見を持つ役員は関連会社へ飛ばされるなど、徹底して排除されていました。結局は一部の人間が組織を私物化し、好き勝手にやった結果が破綻につながったわけです。

僕が就職活動をしていた求人率0.7倍という極寒の時代、真っ先に内定をくれたのが山一證券でした。当時の就職活動で知り合った友人は、山一を買収したメリルで働いたり、さらにステップアップしたりしています。彼はその山一の出身。

僕には同じ様な経歴を持つ友人が他にもいて、ヤオハン・マイカル・千代田生命…どこもかしこも同じ病に冒されていたそうです。中には上場企業なのに宗教まがいの研修を強要され、それで会社へ忠誠を尽くしているかどうかを判断していたとか。倒れる企業は、どこもトップが耳触りのいいことだけを言う『仲良しクラブ』で固められていました。合言葉は「今までどおり」「これで上手くいっていた」。挙句の果てには「消費者が間違っている」と口にした経営者もいました。

「ゲマインシャフトの限界」

産業再生機構CEOとして多くの企業再生に携わっていた冨山和彦氏は、国の支援を受けなければ立ちいかなくなった企業に共通する病巣をこう指摘しています。「日本企業で『出来る人』とは、社内調整に長けた社員のことを指す。いわゆる立ち回りの上手な人が出世する。ゲマインシャフト(自然共同体=ムラ社会)ではそれでも良いかもしれないが、競争が激化したり経営環境が厳しくなった時、社内調整に長けていても何の役にも立たない。傾く企業のトップや中枢にはそういった『出来る人』しかいなかった」この指摘は示唆に富んでいると思いますし、今でもそういったゲマインシャフト化した企業の方が日本には多いでしょう。

「新陳代謝」

一方で、半導体事業の抜本改革で業績のV字回復を果たしたソニーのCEOストリンガー氏、生産体制の根本的な見直しをした日産のCEOゴーン氏は、創業とは何の関係も無い外部の人間です。痛みを伴う改革無しに、業績の回復はあり得ない。企業にとって、しがらみに縛られ問題を先送りし続けることは衰退と同じことなのです。企業の寿命は人間と同じといわれますが、強制的にでも新陳代謝をしないと衰退するのは、多くの企業の興亡が証明しています。

この意味において、先日、松下電器が社名をPanasonicとする時の会見で「過去の栄光やノスタルジーと決別し、世界に挑戦するという第二の創業としたい」と言い切ったことは凄いと思います。世界的に知名度のあるカリスマ創業者・松下幸之助の名前を捨てるわけですから。しかし、過去の栄光をリセットして新たな挑戦をするという並々ならない心意気には見習うべきものがありますし、Panasonic社員の皆さんのモチベーションも上がると思います。

Whenever people agree with me, I always feel I must be wrong. - Oscar Wild

オスカーのこの言葉を素直に聞けるかどうか…ゲマインシャフトの日本企業にとって、これは簡単なようで意外に難しいことなのかもしれません。

※オスカー・ワイルドはヴィクトリア王朝時代に戯曲で活躍したアイルランド出身の作家。

2008.01.12 | コメント[0]トラックバック[0]

YOKOSO!JAPAN

正月埼玉の実家に帰り、都心を歩くと外国人観光客の着実な増加をしみじみ感じる。東京駅前のタクシーの順番待ちの半分以上が外国人であった。目の前の中国人とおぼしきお父さんに、ここでタバコ吸っちゃダメよと教えるとすまんすまんと片手を上げられる。こういう基本的なジェスチャーは、世界共通なんでしょうか。

「YOKOSO! JAPAN」

中国や韓国・インドなど、ここ数年急速に力をつけてきた新興国。高級車「Jaguar(ジャガー)」や「Land Rover(ランドローバー)」もインドの自動車会社タタが買収するとか。その新興国発展の原動力となっているのがミドルクラス(経済的中流層)です。昔(といっても20〜30年前)の日本もそうでした。この新興国のミドルクラスに日本は何を売っていくのか、というのは、資源が無く少子化で先細りの日本の国家的な課題なのではないかと考えています。

外需という点ですぐに浮かぶのが自動車や家電ですが、それだけではありません。日本の観光資源というのはバカにしたものではないと思うのです。特に中国や韓国のミドルクラスの観光需要について、その恩恵を最も受けるのは、隣国日本の地の利。こればかりはどこの国も真似できません。香港にディズニーランドは作れても、中国の沖合いにグアムやサイパンは持って来られませんから。

小泉元総理の肝いりで、国土交通省が音頭をとってビジット・ジャパン・キャンペーンが展開され、当時年間500万人前後だった外国人観光客を、2010年までに1,000万人/年に増やすという目標で、今もいろんなことをやっています。指定を受けたバスや電車に「YOKOSO!JAPAN」というシールが貼ってあったり、観光地にも「YOKOSO!JAPAN」という横断幕があったりします。見たことあるという方もいらっしゃるでしょう。

詳しくは国土交通省「観光白書」をご参照下さい。日本の官僚にも先を見据えてちゃんと仕事をしている人もいるんだなぁと感じます。昨年度は、日本から韓国を訪れる人よりも、韓国から日本を訪れる人の方が多くなったという統計が出ました。これは統計開始以来初めてのことで、象徴的な出来事だと思います。

「韓国からの観光客が1位」

昨年度、日本にやってきた観光客の国別のランク(年間)。やはり地理的に近いということがどれだけ強いかを示しています。

[1]韓国     212万人
[2]台湾     131万人
[3]アメリカ    82万人
[4]中国      81万人
[5]香港      35万人
[6]イギリス    22万人
[7]オーストラリア 20万人
[8]カナダ     16万人
[9]タイ       13万人   
[10]その他   121万人   

合計は733万人で、2001年の477万人比で実に1.5倍強。日本を訪れる外国人観光客はこんなに増えていたんですね。そして国別に見ると「近い」というのがいかに大切かよく分かる。国のイメージも重要ですね。アジア各国の経済成長が順調ならば、国土交通省の目標(2010年に1000万人)も十分達成できると見られます。

「目的はショッピングが1位」

観光客の訪問目的について見ると、ここ数年続いてきた円安の影響で、ショッピングが一位でした。「Akihabara(秋葉原)」は外国の方には最も有名な観光地の一つとか。

[1]ショッピング    34.8%
[2]伝統文化・施設  32.4%
[3]温泉・リラックス  32.1%
[4]自然・景勝地    28.5%
[5]日本人の生活   27.7%
[6]日本の食事     19.4%
[7]近代的な都市    16.0%
[8]日本訪問の憧れ  13.6%
[9]テーマパーク     10.3%
[10]その他        6.7%
※複数回答可

日本のお家芸ともいうべき温泉も人気。将来の成長が期待される中国人観光客について、今後予想される人民元の切り上げに伴い、ショッピング目的の中国人観光客は確実に増加すとみて間違いない。都市と地方の格差是正の方策の一つにこの観光振興が上げられているが、家電製品などはどこでも買えるし、温泉や自然は地方の専売特許。地方活性化の切り札として、外国人観光客の誘致は結構イケてるんじゃないかと。

余談ですが、1930年代、まだ日本が「ゲイシャ」「フジヤマ」だけしかないという偏見の目で外国から見られていた頃、ドイツ仕込みの写真家・名取洋之助(ウルシュタイン社)がヨーロッパの雑誌に日本を紹介する特集を組んだときの中心が温泉旅館の風景だったんですね。女将が出迎え、部屋と大浴場に風呂があり、朝夕の食事が付く…欧米のスタイルでは考えられない姿がそこにありました。しかし、それがヨーロッパでは「これがニッポンか!」と大評判になったんだそうです。ですから、比較文化論的に見て温泉っていうのは日本固有の誇るべき文化だと言えるわけです。

「訪問地域は関東が1位」

でもやっぱり訪問地域は関東が一位。アキバが景勝地か伝統文化かどうかは別として、空港の便のよさや買い物の便利さは群を抜いています。付随して地域的な特徴があるかどうかが訪問地域のランキングに影響しているようです。

[1]関東
[2]関西
[3]中部
[4]九州
[5]北海道
[6]中国
[7]東北
[8]北陸
[9]沖縄
[10]四国

沖縄はアジアのビーチリゾートが手近にあるためかやや苦戦。その他の地域は関東と同じ様な理由でランクが決まっているようです。7位にランクされている東北の中で、福島がどう存在感を示していくのか。そこが問題です。

「福島を一大観光地域に」

既に中国は「世界の生産地」ではなく「世界の消費地」であると世界経済が認めています。あのユニクロも人件費や材料費の高騰で、中国での生産比率を大幅に落とす方針です。それだけ中国や韓国をはじめとする東アジア各国の経済成長には目覚しいものがあります。そして豊かになった庶民の求めるものの一つが海外旅行だということは、昔の日本を見てもお分かりの通り。GDPが2ケタの成長を続ける国がすぐ隣にあるというのは天恵以外の何物でもありません。お金は天下の回りもの。満足して落としていって頂けるのならこんなに有難い話はないと思います。

ここいらで福島も「観光立県」という狭い世界ではなく、周辺の県や地域を巻き込んで、一大観光地域として大々的に花火を上げるのも手だと思います。2008年北京五輪・2010年上海万博とイベント目白押しで、東アジアの皆さんはますます海外旅行に開眼されるはずです。東京に頼らない地方活性化の起爆剤として、福島は外国人観光客の誘致に予算も人員も倍以上にして、もっともっと取り組んでもいいのでは、と思うきょうこの頃です。

2008.01.05 | コメント[0]トラックバック[0]