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発想の転換

1月19日の日記で「東京・汐留の再開発を手がけたシンガポールのSWF(Sovereign Wealth Fund=政府系投資機関)GIC」の紹介をしましたが、このGICがまた大活躍のようです。ご指摘を頂きまして、ヤフードームを含むホークスタウンもこのGICの持ち物でした。

「2月3日 日経新聞」

『シンガポール政府投資公社(GIC)は月内にも、米モルガン・スタンレーが保有するウェスティンホテル東京(東京・目黒)を約770億円で買収する。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波で世界的に不動産取引が冷え込むなか、日本の優良不動産がなお割安とみた海外政府系ファンドの大型投資が実現する。GICは2日までにウェスティン東京の土地・建物を取得することでモルガンと基本合意。今月下旬をメドに取引を完了する計画だ。GICはホテルの営業をそのまま継続し、長期保有により価値を高める方針とみられる。サブプライム問題に端を発した世界的な金融市場の混乱で、米欧のほか日本でも大型の不動産取引がほぼストップする環境のもと、GICは異例の規模の不動産投資に踏み切る』

このGICは日本の不動産、特に商業施設については「割安」と見ているようです。たとえば、パリのシャンジェリゼ通りと比べると表参道は2割ほど安いとか。単純比較はどうかとも思いますが、日本国内のマーケットとしてではなく、グローバルマーケットとして捉えているところがユニークですね。

こうして稼いだ資金はシンガポールの国庫を豊かにしていきます。土地も小さく資源も乏しく人口も増えていないシンガポールは、1970年代から国家政策として「国内で金を稼ぐ」のではなく「海外で金を稼ぐ」という発想をしています。

「雲泥の差」

財務省の発表によりますと、日本の外貨準備高は米国債を中心に9700億ドル(約100兆円)あります。この資金について財務省は「いずれ国債の返済に充るので、損したら大変!」と考えています。急激な円高ドル安でもう随分な含み損を抱えてますけど。

一方でシンガポールは2000億が3000億になったら、その分減税できるだろうと考えています。そうすれば内需が活発になり、医療や福祉に十分なお金を回すことが出来て国民が幸せになれる。至ってシンプルな考え方です。

シンガポールの医療技術は世界トップクラスの評価を受けていますが、それは社会保障費が充実しているためです。医療技術は情熱や奇跡で担保されるのではなく、十分な資金が確保されて初めて担保されるものです。医療費削減で「たらい回し」が問題になる日本とは雲泥の差です。

国内で稼げないなら頭を使って海外で稼ごうというシンガポールの発想はごく自然なものです。そのかわりGICの職員は準国家公務員扱いで、損失を出せば責任をとって退職金がゼロになることもあります。

グリーンピアをはじめとするハコモノをじゃんじゃん建設して大赤字を垂れ流し、挙句の果てに年金の記録がどこかに行ってしまった社会保険庁のトップが、退職金を満額受け取った挙句に天下までするシステムとはこれまた雲泥の差です。

「お金に働いてもらう」

シンガポールは、あの国土、あの人口で将来を見た場合「お金に働いてもらう」以外に道はないと考えたからこそ1970年代からGICやテマセクというSWFを立ち上げました。国民生活を豊かにするためにどうすべきかを考えればごく自然な帰結といえます。

このままいったら日本はジリ貧です。人口は減る、生産拠点は海外に移転する、資源は無い…この状況は未来永劫変わりません。ここに蓋をして議論をしても何も始まらないのでしょう。これから先、いったい日本はどこからどうやって稼ぐつもりなのでしょう?「消費税増税」で国民から搾り取るつもりでしょうか?

日本もそろそろ真剣に考える時期に来ているように思います。高齢化が加速し、労働人口がどんどん減っていく国内でこれ以上税金を搾り取るという議論は、誰がどう考えてもデッドエンド(どんづまり)です。お金を国内で回すのではなく、成長著しい国や地域に投資するなどして「お金に働いてもらう」という発想の転換が欠かせません。

「道路特定財源が無くなれば財源が不足する」というような、ちっちゃい国内のみの視点で話をするのではなく、日本の置かれている状況を冷静に見た上で、これから国民をどう幸せにしていくかというグローバルな視点から、国のお金の出入りを考える時期に差しかかってきているように思います。

2008.02.16 | コメント[0]トラックバック[0]

世界から見た日本

年金問題やら防衛省トップの汚職やら官僚の天下り天国とか…最近のニュースを見ていると「もしかして自分の住んでいる国ってダメなの!?」と思ってしまう。でも、この日本という国、海外では結構評判が良いらしいのです。

【良い影響を与える国】(BBC)
1位 日本
   カナダ
2位 EC(欧州連合)
3位 フランス
4位 英国

【最良の観光客】(エクスペディア)
1位 日本人
2位 アメリカ人
3位 スイス人
4位 スウェーデン人
5位 ドイツ人

何度かフィリピンに旅行をしたとき、同じ所に宿泊しましたが、わずか数年の間に客層ががらっと変わっていたんです。

『欧米人・日本人⇒中国人・韓国人』

景気がいい東アジア地域の勢いそのままに、レストランにしてもロビーにしてもガラッと雰囲気が変わってびっくりしました。仲良くしている現地のスタッフに聞くと「最近は中国とか韓国の人が多くて…お客さんだからあんまり言いたくは無いけど、マナーが悪い人が多くて困る」と話していました。そのスタッフに言わせると、欧米人は鷹揚な人が多く、日本人は大人しい人が多くて、スタッフの評判がいいのだとか。

これを聞いてカミさんと「へぇ〜」と思いましたが、フィリピンの一ホテルのスタッフの評判ではあるけれど、レストランでもバーでも同じ様な話を聞きました。

たしかに、宿泊中も夜中まで酔っ払って騒いでいるのは中国や韓国から来ていると思しき方々。ホテル敷地内の道ですれ違うとき、欧米人は「Haai!」「How are you?」なんて声を掛けてくるが、アチラの方々は自分たちの世界。かのホテルのスタッフも「日本人は英語が出来なくても笑ってくれたりするけど、目も合わせてくれないんだもん」と困り気味でした。

「Japan Bashing⇒Japan Passing⇒Japan Nothing」

一般庶民の評判は良いけれど、国際的に見た最近の日本は透明人間扱い。サブプライム問題で揺れるアメリカのポールソン財務長官が、昨年末ヨーロッパの次に緊急対策を話し合いに向かったのは日本…ではなく中国でした。米欧5中央銀行が緊急声明を発表し、サブプライム対策を12月17日から実施(銀行間緊急融資)すると決めて、ヨーロッパの協力を取り付け、すぐさまアジアに向かったわけですが、日本は完全無視。相談すらなかったようで…。

いまや米国債の最大の買い手は日本から中国に移りつつあり「アジア経済の中心は中国」とアメリカが見ていることが、露骨に出ています。こんな扱いを受けながら額賀財務長官はノーリアクション。だから平気で素通りもされてしまうワケで。今でも「Japan as No.1(日本が一番)」なんて思っていると世界の人から笑われます。

日本の経済が絶好調の時は「Japan Bashing(日本叩き)」でした。憎い位に日本経済が強かったということでしょう。それが、今は「Japan Passing(日本無視)」。世界の中で存在感を示せる時に示しておかないと、この先はジリ貧でしかなくなります。評判のいい観光客もいいけれど、毅然とした態度や思い切った政策を打たないと、そのうち「Japan Nothing(日本消滅)」になってしまいます。政府も日銀も景気後退を認め出したし、その一方で増税まっしぐらだし…2008年は不透明感が濃く漂う、様々な意味で変動の激しい厳しい年になると思います。

「我が家のPassing」

最近、ウチの飼い猫が、夜寝ている僕の上を歩いて通過していきます。それも何度も。たぶん床が冷たいからです。これを「Osamu Passing(修無視)」と我が家では呼んでいます。僕一人でですが。

2008.02.09 | コメント[0]トラックバック[0]

身を守る

年末年始は実家で酒と読書三昧。普段なかなか時間が無くて読めない本を読みました。その一冊、本棚の奥から出てきたのは大学のゼミで読んだ、藤原てい著の『流れる星は生きている』。太平洋戦争の末期、ソビエトに侵攻された満州国からの必死の脱出を描いた本です。入植者たちは、泥水を飲んだり雑草を食べたりしながら必死に日本を目指し、途中で力尽きた人も多くいました。

「日本国及ソヴイエト聯邦間中立条約」

『第一条 両締約国ハ両国間ニ平和及友好ノ関係ヲ維持シ且相互ニ他方締約国ノ領土ノ保全及不可侵ヲ尊重スベキコトヲ約ス』

当時、日本とソビエトは軍事的に中立を保つことが約束されていました。しかし、これを1945年の8月9日にソビエトが一方的に破棄。モスクワの大使館で当時の駐日大使に宣戦布告を告げます。その情報は当時の満州国首脳にも伝えられます。当時の満州国を実質的に支配していたのは日本の関東軍と高級官僚。安倍元総理の祖父にあたる岸信介も辣腕を振るっていた時期があります。

「真っ先に逃げ出した」

この一大事に関東軍と高級官僚たちがどう動いたか。まず自分たちが逃げる特別列車や飛行機を仕立てたのです。そして、あろうことか一部の民間人には「ソビエトが攻めてくるから山の方に逃げるように」と触れて回ります。自分たちが逃げる日本海側とは逆の、ソビエトが攻めてくる山側の方向を民間人に伝えたのです。

特別列車や飛行機に民間人が押し寄せるとパニックになって自分たちが逃げられないために。そしてソビエト軍の侵攻を遅らせるために、民間人を利用したとも言えるでしょう。民間人は政府の宣伝を信じて入植し、アジアの繁栄という大義名分を信じて働いてきたのです。その民間人は、極限状態の中で軍人や高級官僚の盾にされたといってもいいでしょう。

我先に逃げる軍人と官僚たち。取り残されるどころか人柱にされる民間人たち。

「身を守る」

『皆さんねぇ、国なんてものはアテにならんのですよ。自分の身は自分で守る。自分の家族は自分で守んないとダメなんですよ。国が守ってくれるなんて幻想はこの場で捨てなさい!』

大学のゼミでお世話になったべらんめぇ口調のS教授は、この本を引き合いにこんな話をしていました。国家の無策に国民は苦しめられるどころか、国民は国家に見殺しにされることもある。僕が大学3年生だった当時は、赤字国債の発行が急増し、プライマリーバランスが崩れ始めていました。S教授はこれを痛烈に批判。大規模な行政改革と小さな政府を提言した本はベストセラーになっていました。

そして十数年経った今でも、S教授が指摘した問題は棚上げになったままです。

年金問題、官僚の天下り、景気低迷、赤字国債、膨張する財政赤字…これらの問題は根本的な解決を見ないまま、日本の景気は本格的な後退期に入ると見られます。いや、もう入っているでしょう。11月にこのブログでも指摘した、物価が上がるのに景気は後退する「スタグフレーション」の恐れが現実のものとなりつつあります。

そして、物価がどれだけ上がろうと、景気がどれだけ悪くなろうと、失業率がどれだけ上がろうと、消費税は2010年代には10%台にせざるを得なくなります。そうしないと、赤字国債の償還が限界に来てデフォルトが起き、国家経済が破綻する恐れがあるからです。それを避けるためには、国家が作った赤字を国民が負担する以外に無い所まで事態は切迫しています。

国家の赤字を国民が生活を削って補填する構図は、満州国で軍人や高級官僚が逃げる時に置き去りにされた民間人と二重写しに見えます。1945年の満州国で起きたことと同じことがまた起きるとすれば…自分の身は自分で守るしかなさそうです。


※藤原ていの夫は作家の新田次郎。息子で数学者の藤原正彦は「国家の品格」の著者。
※ソビエト侵攻時の満州国内での避難については諸説ありますが、実際に避難した民間人の多くが上記のような証言をしています。

2008.02.02 | コメント[0]トラックバック[0]

進化するウィルス

「種の保存」

DNAを持つ生命体は常に種の保存を目的とした進化(変化)を続けます。ほ乳類だろうとウィルスだろうとそれは同じこと。人間にとって有害なウィルスだとしても、ウイルス本人(という言い方が正しいかどうかは別として)にとっては「そんなの関係ねぇ〜」。種の保存が第一なのです。

それはインフルエンザウィルスも同じ。今日付のFinancial Times(イギリス)に結構ビックリな記事が出ています。

「Financial Times-UK 29/01/08」

European public health specialists on Monday identified significant resistance to the drug Tamiflu, casting a shadow over the efficacy of the world’s most widely purchased influenza antiviral medicine.The European Centres for Disease Control said that while Tamiflu could still provide benefits, 13 per cent of samples of the H1N1 seasonal flu virus affecting Europe tested last November and December ? most in Norway ? contained a mutation associated with high levels of resistance.

「ヨーロッパの公衆衛生専門家は月曜日(28日)タミフルへの著しい耐性を発見。世界で最も広範に購入されている、抗インフルエンザウィルス薬タミフルの効き目に影を落とすものだ。欧州疾病管理予防センターは『タミフルはまだ役に立つだろうが、昨年11月と12月に(主にノルウェーで)検査された、ヨーロッパに影響を与えているH1N1型季節インフルエンザ・ウィルスのサンプルの13%は、高レベルの耐性に関係する変異を起こしていた』と述べた」

つまり、インフルエンザの特効薬とされてきた「タミフル」が効かない、進化した「高耐性インフルエンザウィルス」が出現した可能性があるというのです。その割合はすでに13%に達している…かなりのスピードです。

「パンデミック(爆発的流行)」

The news is a blow to Roche, the Swiss pharmaceutical group that markets Tamiflu, and has turned the drug into a blockbuster largely on the back of stockpiling by governments as they prepare for a pandemic.It also highlights the danger of pandemic planners focusing too heavily on medical preparations, and the need for other broader measures designed to identify, limit and curb the spread of infection.

「このニュースは、タミフルの製造元で、パンデミック対策を進める中で各国政府が備蓄を進めているのを背景に、この薬をブロックバスター(特効薬)としてきたスイスの製薬グループ・ロシュにとっては打撃である。また、パンデミック対策側が余りにも特定の医薬品の備蓄に集中し過ぎている危険性、そして感染の特定や制限、拡大阻止を目指す他のより広範な対策の必要性を強調している」

Separately, the European medicines agency has stressed the importance of pandemic planners stocking different antiviral drugs, balancing Tamiflu with Relenza, an alternative medicine less widely tested but which has so far not demonstrated resistance.Roche has sold 220m treatments of Tamiflu in recent years for pandemic flu stockpiles to 85 countries.

「これとは別に、ヨーロッパ医薬品庁は、パンデミック対策でタミフルと、タミフルほど広く使われてはいないが、これまでのところウィルスの抵抗性が認められていない代替薬品『リレンザ』のバランスをとり、異なる種類の抗ウィルス薬を備蓄することの重要性を強調した。85ヵ国がパンデミック対策の備蓄を続ける中、ロシュはこの数年間で2億2000万処方分のタミフルを販売した」

日本は世界一のタミフル処方国です。2001年以降日本では2450万人が処方を受けたという統計もあります。厚生労働省の指揮で各医療機関にはタミフルの備蓄が積み上がっていますが、それをあざ笑うかのようにウィルスが進化しているようです。ヨーロッパ医薬品庁はもう一つの抗インフルエンザ薬であるリレンザも備蓄するよう警告しています。

パンデミックの発生する前に、正しい情報の共有と各国の連携した対策が求められそうです。

2008.01.29 | コメント[0]トラックバック[0]

アメリカって奴ぁ

最初に言っておきますが、僕にはアメリカに友人がいますし、アメリカが嫌いではありません。また、アメリカを馬鹿にする気もありません。ただ、アメリカって奴ぁ面白い国だと思うわけなんです。国民性っていうか、考え方がジャンボリー(大雑把)な所とか。あの前向きさと能天気さにかなう国はなかなかないと思うのです。

その一番の特徴は、買い物に表れているような気がします。

「クレジットカード」

現金要らずで買い物が出来るクレジットカードの発祥はアメリカです。1950年にニューヨークで世界最初の汎用クレジットカード「Diners Club Card(ダイナース)」が産声をあげます。ただ、利用はニューヨーク周辺に限られて利用者はそれほど増えませんでした。

1958年には、全米最大の銀行であるBank of Americaがこの新しい市場に参入します。第二のクレジットカード「Bank Americard(バンクアメリカード)」はアメリカ西海岸・カリフォルニアで誕生。Bank of Americaの巨大な資金力・営業力を背景に成長を続け、1976年に「VISA」と名称を変えて現在に至ります。

一方1966年には、クレジットカード空白地帯だったアメリカ東海岸の銀行17行が全米カード・システムのインターバンク・カード協会(ICA)を設立。「VISA」が浸透していなかったアメリカ東部で会員を増やし、1979年に「Master」と名称を変えて現在に至ります。

現在、世界のクレジットカードの決済システムの9割はこの「VISA」「Master」に集約されています。このアメリカの2社がそのまま世界の2強と言うわけです。日本で発行されるクレジットカードも殆どが「VISA」か「Master」で決済するようになっていますね。

アメリカの消費者の消費意欲を図るモノサシの一つが、このクレジットカードの利用動向です。ここからも、アメリカでは買い物を現金ではなくカードでするということがいかに常識化されているかが分かりますね。現金主義の人が多い日本とは感覚が違うようです。

「アメリカ人の消費欲」

世界の一大消費地はもちろんアメリカです。車・家電・食材…アメリカ人の消費欲が世界経済の原動力といっても過言ではありません。アメリカは輸入額が輸出額を上回る貿易赤字国です。これは歴史的に西側同盟国から大量の輸入を受け入れて民需の経済成長を助ける一方で、軍需を含む防衛力を提供したり米国債を引き受けてもらうことなどで、差し引きで+(プラス)にする「戦略的」貿易赤字でした。

と言うわけで、アメリカは西側の商品を国内で大量消費することが戦略として必要だったわけです。日本もその恩恵を思いっきり受けてきました。トヨタやホンダ、ソニーや松下改めPanasonicなどは、北米(アメリカ)事業が業績を大きく左右するほどの重要性を持っています。いくら欧州や新興国(中国・インドなど)が伸びても補いきれないのが実情なんですね。

ところで、「もったいない」に相当する言葉は英語にはありません。ここからも「使っては捨て」「使っては捨て」という大量消費が歴史的文化として一般化していることがうかがえます。その後押しをしているのが現金感覚が無いクレジットカード。アメリカでのクレジットカードによる借金は一世帯当たり平均9000ドル(約100万円)で、金利だけで年間1300ドル(約15万円)支払っているという統計があります。

とにかく欲しいものはすぐ手に入れる。これがアメリカ人の消費欲です。

そのアメリカが、サブプライムローンに端を発した金融不安・信用収縮・景気後退で、その消費欲にブレーキを掛けざるを得ない状況に陥っています。アメリカでは何が無くともクリスマスには買い物をする習慣があります。しかし、そのクリスマス商戦もバーゲン品を除けば不発で、消費に陰りが出てきている厳しい状況です。消費大好きのアメリカ人には試練でしょう。

余談ですが、ジェームス・スカーロック監督のドキュメンタリー映画『Maxed Out(マックス・アウト)』は、クレジットカード漬けになっているアメリカ人の借金の実態と金融業界の真の姿に迫った作品です。『Maxed Out』とは限度額いっぱいまで使う人たち、という意味。この作品の中で、ハーバード法律大学院のウォーレン教授は「カード会社の理想のお客は、借金が雪だるま式に増えて経済的な困難に直面している人たちだ」と警鐘を鳴らしています。消費天国アメリカの影の一面と言えそうです。

「テレビショッピング」

先日、衛星放送で見たアメリカのコントは秀逸でした。アメリカではテレビショッピングが盛んで、僕がカミさんとアメリカに旅行に行った時にも「この掃除機を買うと…なぁ〜んともう一台プレゼントしちゃうぜぇ〜い!」というジャンボリーな通販番組をやっていました。だったら最初から半額で売れっちゅうの!

閑話休題…そのコントはこんな感じでした。

BobとKateの夫婦がTVを見ていると…。※B:Bob K:Kate T:TV
T『皆さ〜ん、買わなくてもいい物まで買っていませんか?』
K「そうなのよ。要らない物までつい買っちゃうのよね〜」
T『そ〜んなあなたにこちら!買わなくていい物を買わないレッスンプログラム!』
B「わぉ!こいつはいいな」
T『毎月送られてくる買わなくていい物を買わないレッスンを一年続けるだけで…あ〜ら不思議!買わなくていい物を買わない様になれるんです!意志の弱いあなたにオススメです!』
K「あらぁ、これって私にピッタリ」
B「ハニーは意志が弱いからなぁ」
K「何言ってるのよ。あなたも車を買い換えたばかりじゃないの」
B「そうだな。ハッハッハ〜!」
T『さぁ、あなたもきょうから買わなくていい物を買わないレッスンを始めて、買わなくていい物を買わない生活を始めましょう!もちろん分割払いでもO.Kです!お問い合わせはこちら!』

ご賢察の通り「買わなくていい物を買わないレッスン」こそが買わなくていい物なワケで…。まぁ、アメリカの皆さんも自分たちがいかに浪費好きか自覚しているということがせめてもの救いでしょうか。ともあれ、こういった方々の旺盛な消費によって日本企業の業績が支えられ、日本が豊かになったのもこれまた事実です。

だからこのコントを、私たちはただ笑っていられないんですね。彼らの消費欲がいつ回復してくるか。世界の景気回復、日本の景気回復はここにかかっていることもこれまた事実。ただ、今回の傷付きぶりを見る限り、消費意欲の回復には年単位の相当な時間が必要なように感じます。

2008.01.26 | コメント[0]トラックバック[0]