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少子化の現実

不動産業界にいる友人からは数年おきに「好景気」「不景気」の話を聞くので「コンッドラチェフの波ってこういうことを言うのかなぁ?」と二人で笑っています。ただ、今後は「少子化」が最大の課題になるとか。

その現実は、不動産業界以外にも大きな影響を及ぼすと思われます。

「マンション業界」

去年あたりからマンション分譲市場の低迷が続いています。建築確認の遅れに伴う着工戸数の減少、地価と建築コストの上昇による住宅価格の上昇、販売戸数の減少、契約率の低迷、景気の後退懸念、金融機関による融資先の選別…。色々な問題が同時に発生し、業界では「マンション不況」とも言われているそうです。

2007年のマンション販売戸数は、06年に比べて東京23区では30%減という大幅な減少でした。契約率も低下し、首都圏では好調の目安である70%を大きく割り込み、2008年1月には52%まで下落したそうです。また、郊外を中心とした売れ行きが不振の地域では、在庫処分のための値引き合戦が活発化し、不動産業者やマンション分譲業者の倒産などもみられています。

首都圏を中心とするマンション販売の低迷は、販売価格の急上昇が最大の原因だと言われています。東京23区のマンションのm2あたり販売単価は、2006年の72万円から、07年には86万円へと20%上昇したというデータがあります。個人所得が横ばいで推移する中で、2割もの価格上昇があれば需要が急速に減少するのは避けられません。

「誰が買うのか」

マンション購入の8割は一次取得層と考えられ、そのうちの6割が30〜44歳で占められています。国立社会保障・人口問題研究所が発表した世帯数の将来予測によりますと、最近のマンション需要を牽引してきた団塊ジュニア世代を含む30〜44歳の核家族世帯数は、2007年をピークにすでに減少局面に入っているそうです。

個人所得の伸びが期待でき、マンションの価格が適切な水準まで進めば、マンション販売は再び拡大に転じる可能性もあります。しかし、これまでの成功体験に基づくマンション開発・販売が、一次取得層の減少により、中期的には行き詰っていかざるを得ないことも想像に難くありません。

買い手の減少によって、マンションの販売戦略は大幅な変更を余儀なくされると見られます。それは次の数字からも明らかでしょう。

「201万、150万、119万」

これが何の数字か、お分かりになるでしょうか。答えは「2008年における35歳、25歳、15歳の人口」です。マンションの一次取得層は、今後これほどの勢いで減少するのです。ざっくり見ると、10年で50万人ずつ減るという、坂を転がり落ちるような減少です。

この少子化の急速な進行は、日本経済・日本企業に大きな影響を及ぼすであろうことは想像に難くありません。その影響は、もちろんマンション業界だけにとどまりません。今後10年以内の短いサイクルで、私たちテレビ局を含む内需企業を中心とした各企業が、急激に小さくなり続けるパイの中でしのぎを削るという厳しい戦いを余儀なくされるのです。

「少子化」が叫ばれて久しいですが、これほどのスピードだということは、なかなか報じられてきませんでした。しかし、これが「少子化の現実」。かつては「国民こそが国力」と言われた時代もありました。これから急激に進む人口の減少がそのまま国力の減退に繋がらないよう、知恵の絞りどころだと思います。

2008.04.12 | コメント[0]トラックバック[0]

後期高齢者医療制度

「『後期』ってことはもうすぐ死ぬってこと!?」
「『姥捨て山保険』とでも言えばいいでしょ!!」

そう怒っていた方の街頭インタビューがありましたが、それも頷けます。後期高齢者医療制度は2年前の小泉政権下ですんなり可決された法案でしたが、実施する段階になって問題が続出しています。

「数字合わせ」

日本の行政は数字合わせの能力は優秀なようですが、新しい制度がどのような問題をはらんでいるかあまり気にかけないようです。高齢化が進み、医療費の占める高齢者の割合が高まることは早くから指摘されていました。

そこで行政が考えた結論は75才以上の高齢者を健保と国保から独立させ、保険料を年金から「天引き」することでした。同居家族がいれば扶養家族に入っていた高齢者をそこから外して新たに保険に加入させ、保険料を年金から差し引きすれば、保険料は増え、年金は減る。

数字合わせならば立派な計算式が成り立ちます。

「無神経」

厚労省としては、年金から新規に保険料を徴収すれば、医療費の補填に当てられると考えたのでしょう。しかし、同じ厚労省の管轄下である社会保険庁で何千万件もの年金を宙に浮かせた一方で、その年金から新たに天引きしようという無神経さには言うべき言葉も見当たりません。

私にも「ねんきん特別便」が届きましたが、コールセンターからは「勤務していた企業名・年金組織の名称・住所・期間・年金番号」を書式に書いて送らなければなりませんでした。しかも、最終的な確認には半年〜1年かかるそうです。

宙に浮いた年金の回復には事細かい「申告」が必要な一方で、後期高齢者医療制度の保険料は「天引き」です。これは無神経もいいところではないでしょうか?

「親と同居しない方がいい」

後期高齢者医療制度は高齢者だけの問題ではありません。高齢者の親を扶養する人に一方的に不利益となる制度であることはあまり知られていないようです。

ほとんどのサラリーマンは健康保険料が天引きされ、チェックする機会が少ないので気がつかないかもしれません。これまでは、扶養家族となっている高齢者の治療は子の健康保険を使っていましたが、明日からは独立して個人で支払う保険制度になり、今までの保険は使えなくなります。

すると、子の側からすれば、親が年金から保険料を天引きされる一方で、保険料は控除対象にならず、今の健康保険料もほとんど安くならないマイナスだけの変更になります。老年者が健康保険から抜けた部分が子の側の保険制度の「全体として」保険料が安くなるに過ぎません。

つまり、高齢者を扶養する世帯では医療費が世帯全体で大きく引き上げられてしまうのです。

新しい制度では、親を扶養しない人は保険料が安くなり、利益になる可能性がありますが、親と同居する人にはマイナスになります。せめて、天引きされる保険料を控除対象にすれば良さそうなものですが、介護保険を含めて扶養対象の高齢者の天引きは控除対象に認められていません。取られる一方です。

これでは「親と同居しない方がいい」と国が言っているようなものです。

「制度不信」

長寿医療制度という名前にするとかいった箱の外側の話ではなく、制度の仕組みそのものを変えていかないと、国民の制度不信がますます高まってしまいます。

「年金とは話が別」と舛添厚労大臣が話していましたが、国民はそうは見ていません。年金の不信に後期高齢者医療制度の不信が加われば、厚労省を引き金に国の制度そのものへの不信が高まる恐れがあります。

「決まったものだからやる」というのではなく「変えるべきは変える」という勇気ある決断を求めたいものです。

2008.04.05 | コメント[0]トラックバック[0]

そこまで???

先日、酔っ払った友人(外資系金融機関勤務)が深夜に電話をかけてきまして…。少しは迷惑を考えなさいよN君(笑)。

「そこまで???」

友「お前、外資系だって大変なんだぜ。サブプラもあってさぁ」
大「大損くらって給料カットとか?」
友「N.Yの運用担当なんか50%カットだって」
大「それじゃ生活できないんじゃないの?」
友「しかもあっちの連中は貯金もしてないんだぜ。まだ給料貰えるだけマシだけどね」
大「レイオフされるよりはいいか…」
友「レイオフは一時的なもんだろ。朝来たら机が無い奴も居たらしいよ」
大「…そう言えば円高ドル安もひどいね」
友「うちのバイス(取締役)が、今年中にドル80円台もあるって言ってた」
大「1ドル80円台!?そこまで???」
友「あと2〜3回利下げしたらこうなるだろ。実効レートはもうそれを織り込み始めてるし、アメリカの製造業を立ち直らせるいい機会だしな」

「1ドル80円台」

というワケで、金融の専門家によると今年中に1ドル80円台もあり得るんだとか。ドルが安くなればアメリカの製品が海外に安く輸出できるため、アメリカ国内の製造業は元気になる。景気回復のシナリオとしては常道です。それは結構なんですが、前期の日本の輸出企業の想定レートは平均で1ドル112円。ということは、ドルベースでの売り上げが為替で30%も吹き飛ぶことに。さらに、輸出企業の損益分岐点は1ドル106円。これでは日本の景気が傾く恐れすらあります。

5月には来期の業績予想が出ますが、減益予想が目白押しになるでしょう。

そうそう!日本の外貨準備高は1兆ドル(≒100兆円)あります。米国短期債が中心なんですが、ドル一本勝負!の外貨運用です。男ですねぇ。でもですね、銀行などの資産運用のパンフレットには「資産は分散してリスクを減らしましょう!一つに集中すると思わぬリスクに遭遇します」と書いてあります。

そうなんです。書いてあるんです。初心者向けに。

「▲18.5兆円」

でも、日本の財務省はドル一本勝負できました。たしかに外交上の制約があったかもしれないし、円高阻止のためにやむを得ずやったかもしれない。それでも「そこまで???」という集中ぶりでした。日本がこれだけドル建て資産を持っていることは、世界でも有名なハナシ。

そして、額賀財務大臣の口からこんなお話が…。

「額賀福志郎財務相は27日の参院財政金融委員会で、2月末に1兆ドル(約100兆円)を超えた外貨準備高に円高・ドル安が及ぼす影響について『1ドル=100円で計算した場合、18.5兆円の評価損が出ている』と述べた。外貨準備の大半は米国債で運用されているため、円高・ドル安が進むほど円換算の資産価値は目減りする」(時事通信3/27/2008)

日本は、ドル100兆円分を平均118円前後で買っていた。もっと簡単に言うと、118円で買ったドルが、いま98円位になっているんです。債券ですから持っている状態は「評価損」、売却すれば「実現損」となります。ここまでお読みになった方はもうお分かりですね。

友「うちのバイス(取締役)が、今年中にドル80円台もあるって言ってた」

1ドル100円で▲約18.5兆円。
1ドル90円なら▲約30兆円。
1ドル80円なら▲約40兆円。

「財布の中身」

財務省の資料によると平成19年度の日本の税収は約53兆円です。この評価損がどれだけ大きいか、よくお分かり頂けると思います。一般企業ならとっくに潰れているでしょうね。担当者はレイオフではなく、朝来たら机が無いでしょう。道路特定財源で59兆円分の道路を作ると息巻くのも結構ですが、国内景気の悪化具合も見定めながら、国の財布の中身をよ〜く見詰め直して頂きたいものです。

ツケは私たち国民に回ってくるのですから。

2008.03.29 | コメント[0]トラックバック[0]

年金パズル

『ねんきん特別便』-5000万件もの宙に浮いた年金記録の推定該当者に送られる封書が、先日、僕の所にも届きました。政府・自民党が3月末までに全ての記録を突合すると豪語していたにもかかわらず、3月半ばに届いたこの封書。他人事ではない、と感じた一方で、分かりにくい仕組みに少々憤りも感じました。

「消えた記録」

僕は大学在学期間に『国民年金』に、大学卒業後に入社した企業で『共済年金』に、そしてFCTで『厚生年金』にそれぞれ加入しています。消えていたのは『共済年金』の部分。平成7年〜8年という1年ちょっとの部分でしたが、『ねんきん特別便』に記載されている記録には、すっぽりとその部分が抜け落ちていました。

「年金パズル」

『ねんきん特別便』には「記載されている記録に不備がある場合には、年金手帳など証拠となるものを用意の上、専用ダイヤルに電話するか社会保険事務所に行って記録を訂正するように」とありました。

資料には、社会保険庁が把握している年金記録が記載されているだけで、宙に浮いた可能性のあるデータは記載されていませんでした。記録をすっ飛ばしたのはこちらではなく社会保険庁のはず。これでは、社会保険庁が出題した「年金パズル」を各自で解いてみなさい!というのと変わりないような気が…。

この対応は、例えば自動車メーカーがリコールをかけるのに「あなたの車はどこかに不具合があります。自分で不具合の箇所を探した上に、その証拠を持って来なさい」と言ったり、あるいは食品メーカーが「食品に不適切なものが混入してしまいました。それを自分で探して持って来なさい」と言うのと同じなのではないでしょうか。

「ヒントを教えないようにというマニュアルがあった」「該当する年代の出来事を言わせるように指導していた」など、瑕疵のあった一般企業ならばあり得ないような対応が国会でも暴露されていましたが、今回の一件で、社会保険庁と一般感覚との意識のズレは現状では埋めようが無いように感じました。

「電話してみた」

早速『ねんきん特別便』に書かれていた専用ダイヤルに電話してみました。待つこと3分…。最初に「この電話は市内通話の料金がかかります」との自動音声による説明。記録を消された上に電話料金までかかるのか…。

年「お待たせしました。年金特別ダイヤル・担当Tが承ります」
大「『年金特別便』が送られてきたんですが」
年「加入記録に間違いや欠落はございましたか?」
大「はい。平成7年〜8年の記録が全部抜けてます」
年「では、本人確認をさせて頂きます。まず電話をかけている方のお名前と住所、生年月日と電話番号をお願いします」
大「○○、▲▲」
年「では、奥様のお名前と生年月日を」
大「は?僕の記録の確認ですよね。独身時代の記録なのに、何でカミさんの情報が必要なんですか?」
年「そう言われましても規則ですので。なりすましの防止のためです」

※ここで血圧が上がる※

大「規則規則って言いますけど、抜けた記録の部分にカミさんは関係ないでしょう!」
年「あ〜…どうしてもダメなら仕方ないです。では返信用はがきに記載されている12桁の数字を読み上げて下さい」
大「○★〒※」
年「はい、結構です。記録漏れがあったということですが、いつ・どこにお勤めだったんですか」
大「平成7年〜平成8年まで○○に勤めて○○共済に加入していました」
年「あ〜はいはい…そうですか…。では返信用の書類に当時の共済年金の年金番号と勤務地の住所などをすべて記載して送り返して下さい。こちらから確認の書類を送りますが、早くて半年位、遅いと一年位かかります」

※さらに血圧が上がる※

大「何でそんなにかかるんですか?」
年「受給者の方から優先して作業をしていますので」
大「そんなにかかるなら社会保険事務所に行きます」
年「混み合っていますので社会保険事務所には行かれない方がいいと思いますよ」
大「一年かかるかもしれないなら社会保険事務所に行った方が早いでしょう」
年「書類を送って頂いても同じ事ですから出来るだけ送って下さい」
大「…」

今回の一件で感じたこと。
[1]「3月末までに全て解決する」と言っていたのに3月も半ばになって『ねんきん特別便』が来た
[2]わずか10年程前の記録が消えていた
[3]国内最大規模の企業の『共済年金』の記録が消えていた
[4]『ねんきん特別便』は「年金パズル」に近い内容である
[5]最終確認作業までさらに1年近くかかる恐れがある

年金は老後の「安心」につながる庶民の生命線とも言えるもの。それがこれ程いい加減に扱われていたとは…。聖徳太子が「十七条憲法」で「国の本は信にあり」としていますが、「国民の信」が無くなれば「国の本」が崩れかねません。年金の基礎部分を全額税方式にするといった次の議論も大切ですが、「国民の信」を取り戻すためには、宙に浮いた5千万件を一件でも多く、速やかに突合させる地道な努力が必要だと痛切に感じました。

2008.03.22 | コメント[0]トラックバック[0]

頂いたメッセージ(11)

「前、どこかで聞いた話なんですが、桜の開花を予測するときには『600度の法則』をもとにするって本当ですか?」(KAT-TUN大好きさん)

『600度の法則』は「元日からの平均気温の積算が600度になる頃に桜が開花する」というものです。同じように「元日からの平均気温の積算が400度になるとスギ花粉が飛び始める」という『400度の法則』もあります。

気象庁では、桜の開花予想について「過去の開花日と気温のデータから予測式を作成し、これに、昨年秋からの気温経過と気温予測を当てはめて予測します」としています。その結果が『600度』に近いことが多いため、『600度の法則』と言われるようになりました。

したがって、気象庁が『600度の法則』に基づいて予測を出している訳ではなく、気象庁の出した予測が結果的に『600度』に近い数字で出てくる、という理解が正しいです。

ちょっとややこしいですが(汗)。

2008.03.20 | コメント[0]トラックバック[0]