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アナウンス室 プロフィール

おおの おさむ

大野 修

プロフィール

気象予報士の試験で、地球という惑星の特性についても勉強する機会がありました。その中で『月』の存在が地球にとって、私たち人類にとっていかに大きいかが分かり「へ〜っ」と思ったものです。

「生い立ち」

月の生い立ちに関しては様々な説がありますが、有力な説は『ジャイアントインパクト説』です。約45億年前、地球がまだ誕生間もない液状に近い状態だった頃に、火星大の星が衝突しました。これが『ジャイアントインパクト』です。この衝突によって地球はドロドロの状態から引き裂かれ、分離した地球の分身が月になった、といいます。

その根拠が、米のアポロ計画で地球に持ち帰った岩石の組成が地球のものに近いこと。月からと見られる隕石の組成が地球のマントル層とほぼ一致することが挙げられています。つまり月と地球は一卵性双生児だった可能性があるというのです。

「引力」

月も質量を持つ衛星なので引力があります。この月の引力が、地球環境の創造に非常に重要な要素となっています。

まず、月の引力によって地球の地軸は23.4度に保たれています。月の引力が無ければ地球の地軸はバラバラとなり地球の環境は安定し得ません。
また、月の引力によって地球の自転速度は24時間に保たれています。月の引力が無ければ自転速度は5〜8時間となり、これも安定しないものとなります。
さらに、月の引力が無ければ潮の満ち干きが無いため海洋の変化が乏しく、海洋環境が貧しいものとなってしまうのです。

「月と人類」

人類の祖先は、進化の過程で海から陸上にやって来たと考えられています。月の影響によって地球の海が豊かになり、その結果として生物が生まれたと言えるのです。ですから、月が無ければ地球上に人類が存在しえたかどうかは疑わしいとも言えるでしょう。

国産の月周回衛星『かぐや』がハイビジョンで月の上空100kmから探検中です。『かぐや』は小さな町工場を含めた日本のモノ作りの技術によって作り上げられています。『かぐや』をきっかけに、地球環境の、そして人類発祥の立役者の表情をさらに明かして欲しいと思います。

2008.04.26 | コメント[0]トラックバック[0]

「暫定」税率延長

「値上げ、値上げ、値上げ…」

4月から電気料金や小麦・ビール・食用油・醤油・牛乳など値上げラッシュとなっています。原因は「商品市況への資金流入」「バイオ燃料生産に伴う需給逼迫」「天候不順による不作」などが挙げられます。

一世帯あたりの負担増加額は家族4人の標準的な世帯で年間約14000円近くになると指摘されています。その中に占める食費負担は40%強の約6000円になるとか。

一方で、ガソリンの税額が通常に戻ることで世帯あたり2700円弱の負担が軽減されるそうです。首相は税収不足で「国民にたいへんな負担になる」からガソリン税を2倍に戻す努力をするそうですが、道路を作りたい人たちを除いて、大幅値上げラッシュの中の値下がりを大歓迎しているのが平均的な消費者の姿でしょう。

「続く『暫定』税率…廃止される『恒久』減税」

もともと、道路特定財源として自動車関連の税率を2倍にする暫定措置が30年以上も続いたことが問題です。ガソリン税、正式には「揮発油税」の本来の税率は24.3円/リットルですが30年以上に亘り、「暫定」的に48.6円に引き上げられた経緯があります。

理由は「戦後復興を目指し、道路を緊急に整備する」ため。

ほとんど利用されない高速道路、道路とは関係の無いハコモノ、マッサージチェアからお香まで、道路特定財源が道路と無関係なものに使われてきた実態を見れば、「戦後復興」と全く関係が無い暫定措置の不自然さが際立ちます。

ちなみに自動車関係の税金は全てを合計すると消費税の総額と大差がありません。それを道路だけに使い切れないから、本来の目的と異なる「一般財源化」することが正論のように主張されています。

本来、税金は全て同じ財布であり、目的別に税を取ることが誤りですから、一般財源化は当然の議論かもしれません。しかし、10年と持たなかった恒久減税とは対照的に、合理的な理由がなく暫定税率が更に10年延長されることは納税者の許容範囲を超えています。「暫定税率維持」と「一般財源化」が同時では意味がありません。

「ガソリン税が時代遅れになる」

暫定税率を巡る混乱で政府・与党の政策対応にセンスが欠けているように思えてなりません。国民は与野党の政治的対立よりも、率直にガソリン価格が値下がりしたことを喜んでいます。物価上昇が相次ぐ中でインフレを抑制する政策として採用し、その分、支出を減らす努力が出来ないものなのでしょうか?収入が減れば何とかする、というのが一般的な庶民感覚です。

また、先月行われたN.Yの自動車ショーでは「電気自動車」の試作車の出展が相次ぎました。暫定と言いながら、また10年も高い税額を取り続ける間に、自動車に占める電気自動車の割合が急増する可能性があります。その場合、電気代に「暫定税率」を適用するのでしょうか?この点からも暫定税率にはセンスが無いように思います

さらに、道路を作り続けることが財政上不可能になる時期が遠くないことも指摘されています。道路は作ればそれで良いとういものではありません。維持する為には多くの費用が必要です。今のペースで新規に道路を作り続けると道路のメンテナンス費用だけで10年以内に今の道路予算の全額を使う可能性があります。

また、作れば作るほど予算が削減できなくなり、膨張に歯止めが効かなくなります。無理なものは無理と言うことがトップの役目です。「今までどおり」「先例が無い」などとばかり言っていては、財政的にも政策的にも先細りになると思います。

今月末に暫定税率に関する法案の再可決を目指すようですが、その行方に注目したいところです。

2008.04.19 | コメント[0]トラックバック[0]

少子化の現実

不動産業界にいる友人からは数年おきに「好景気」「不景気」の話を聞くので「コンッドラチェフの波ってこういうことを言うのかなぁ?」と二人で笑っています。ただ、今後は「少子化」が最大の課題になるとか。

その現実は、不動産業界以外にも大きな影響を及ぼすと思われます。

「マンション業界」

去年あたりからマンション分譲市場の低迷が続いています。建築確認の遅れに伴う着工戸数の減少、地価と建築コストの上昇による住宅価格の上昇、販売戸数の減少、契約率の低迷、景気の後退懸念、金融機関による融資先の選別…。色々な問題が同時に発生し、業界では「マンション不況」とも言われているそうです。

2007年のマンション販売戸数は、06年に比べて東京23区では30%減という大幅な減少でした。契約率も低下し、首都圏では好調の目安である70%を大きく割り込み、2008年1月には52%まで下落したそうです。また、郊外を中心とした売れ行きが不振の地域では、在庫処分のための値引き合戦が活発化し、不動産業者やマンション分譲業者の倒産などもみられています。

首都圏を中心とするマンション販売の低迷は、販売価格の急上昇が最大の原因だと言われています。東京23区のマンションのm2あたり販売単価は、2006年の72万円から、07年には86万円へと20%上昇したというデータがあります。個人所得が横ばいで推移する中で、2割もの価格上昇があれば需要が急速に減少するのは避けられません。

「誰が買うのか」

マンション購入の8割は一次取得層と考えられ、そのうちの6割が30〜44歳で占められています。国立社会保障・人口問題研究所が発表した世帯数の将来予測によりますと、最近のマンション需要を牽引してきた団塊ジュニア世代を含む30〜44歳の核家族世帯数は、2007年をピークにすでに減少局面に入っているそうです。

個人所得の伸びが期待でき、マンションの価格が適切な水準まで進めば、マンション販売は再び拡大に転じる可能性もあります。しかし、これまでの成功体験に基づくマンション開発・販売が、一次取得層の減少により、中期的には行き詰っていかざるを得ないことも想像に難くありません。

買い手の減少によって、マンションの販売戦略は大幅な変更を余儀なくされると見られます。それは次の数字からも明らかでしょう。

「201万、150万、119万」

これが何の数字か、お分かりになるでしょうか。答えは「2008年における35歳、25歳、15歳の人口」です。マンションの一次取得層は、今後これほどの勢いで減少するのです。ざっくり見ると、10年で50万人ずつ減るという、坂を転がり落ちるような減少です。

この少子化の急速な進行は、日本経済・日本企業に大きな影響を及ぼすであろうことは想像に難くありません。その影響は、もちろんマンション業界だけにとどまりません。今後10年以内の短いサイクルで、私たちテレビ局を含む内需企業を中心とした各企業が、急激に小さくなり続けるパイの中でしのぎを削るという厳しい戦いを余儀なくされるのです。

「少子化」が叫ばれて久しいですが、これほどのスピードだということは、なかなか報じられてきませんでした。しかし、これが「少子化の現実」。かつては「国民こそが国力」と言われた時代もありました。これから急激に進む人口の減少がそのまま国力の減退に繋がらないよう、知恵の絞りどころだと思います。

2008.04.12 | コメント[0]トラックバック[0]

後期高齢者医療制度

「『後期』ってことはもうすぐ死ぬってこと!?」
「『姥捨て山保険』とでも言えばいいでしょ!!」

そう怒っていた方の街頭インタビューがありましたが、それも頷けます。後期高齢者医療制度は2年前の小泉政権下ですんなり可決された法案でしたが、実施する段階になって問題が続出しています。

「数字合わせ」

日本の行政は数字合わせの能力は優秀なようですが、新しい制度がどのような問題をはらんでいるかあまり気にかけないようです。高齢化が進み、医療費の占める高齢者の割合が高まることは早くから指摘されていました。

そこで行政が考えた結論は75才以上の高齢者を健保と国保から独立させ、保険料を年金から「天引き」することでした。同居家族がいれば扶養家族に入っていた高齢者をそこから外して新たに保険に加入させ、保険料を年金から差し引きすれば、保険料は増え、年金は減る。

数字合わせならば立派な計算式が成り立ちます。

「無神経」

厚労省としては、年金から新規に保険料を徴収すれば、医療費の補填に当てられると考えたのでしょう。しかし、同じ厚労省の管轄下である社会保険庁で何千万件もの年金を宙に浮かせた一方で、その年金から新たに天引きしようという無神経さには言うべき言葉も見当たりません。

私にも「ねんきん特別便」が届きましたが、コールセンターからは「勤務していた企業名・年金組織の名称・住所・期間・年金番号」を書式に書いて送らなければなりませんでした。しかも、最終的な確認には半年〜1年かかるそうです。

宙に浮いた年金の回復には事細かい「申告」が必要な一方で、後期高齢者医療制度の保険料は「天引き」です。これは無神経もいいところではないでしょうか?

「親と同居しない方がいい」

後期高齢者医療制度は高齢者だけの問題ではありません。高齢者の親を扶養する人に一方的に不利益となる制度であることはあまり知られていないようです。

ほとんどのサラリーマンは健康保険料が天引きされ、チェックする機会が少ないので気がつかないかもしれません。これまでは、扶養家族となっている高齢者の治療は子の健康保険を使っていましたが、明日からは独立して個人で支払う保険制度になり、今までの保険は使えなくなります。

すると、子の側からすれば、親が年金から保険料を天引きされる一方で、保険料は控除対象にならず、今の健康保険料もほとんど安くならないマイナスだけの変更になります。老年者が健康保険から抜けた部分が子の側の保険制度の「全体として」保険料が安くなるに過ぎません。

つまり、高齢者を扶養する世帯では医療費が世帯全体で大きく引き上げられてしまうのです。

新しい制度では、親を扶養しない人は保険料が安くなり、利益になる可能性がありますが、親と同居する人にはマイナスになります。せめて、天引きされる保険料を控除対象にすれば良さそうなものですが、介護保険を含めて扶養対象の高齢者の天引きは控除対象に認められていません。取られる一方です。

これでは「親と同居しない方がいい」と国が言っているようなものです。

「制度不信」

長寿医療制度という名前にするとかいった箱の外側の話ではなく、制度の仕組みそのものを変えていかないと、国民の制度不信がますます高まってしまいます。

「年金とは話が別」と舛添厚労大臣が話していましたが、国民はそうは見ていません。年金の不信に後期高齢者医療制度の不信が加われば、厚労省を引き金に国の制度そのものへの不信が高まる恐れがあります。

「決まったものだからやる」というのではなく「変えるべきは変える」という勇気ある決断を求めたいものです。

2008.04.05 | コメント[0]トラックバック[0]