原油高とラーメン屋
「原油の価格」
ガソリン高が止まりません。その原因はガソリンの原料となる原油高。では原油の価格はどう決まるのか?スーパーマーケットのような「ドバイ産198円」「ロシア産188円」という形ではなく、市場の動きで米ドル建てのレート提示が行われています。(一部で米ドル離れも始まっていますが)
この「市場」というのがクセモノで、現状ではアメリカのWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)という市場が原油の価格決定に一番の影響を与えています。単位はバレル。昔は原油を大きな樽(バレル)に入れていた名残ですが、その容量は約159Lで、現在も「1バレル=○ドル」というのが原油を取引する時の国際基準になっています。
しかし、WTIで実際に原油入りの樽が売買されているワケではありません。「先物」と言って、3ヵ月毎の価格を予測して「先」に売ったり買ったりする取引が行われています。この「先物」取引は、実際に原油を調達して事業をしている企業向けに、原材料費の乱高下の影響を軽減する(ヘッジ)目的で始まりましたが、現在はマネーゲームの舞台になってしまいました。
「しっぽが犬を振り回す」
とは言え、そのマネーゲームの舞台=WTIで原油先物が幾らになったかで、実際の原油の取引価格が決まる流れになってしまっています。しっぽが犬を振り回す(The tail wags the dog)ような結果になってしまっているのが実情なんですね。
WTIはただの取引所ではなく、歴史ある産油地でもあります。ただ一日のWTI原油の産出量は日産40万バレル。ちなみに世界全ての原油産出量は日産8000万バレルですから、世界規模で見ればたったの0.5%でしかありません。
それに対してWTIの一日の原油先物扱い量は、なんと3億バレルに相当します。実際に算出される原油の750倍もの量が取引されているのです。よく「中国やインドで需要が増えているために原油が値上がりしている」と言われますが、要因の一つであっても主因ではないことがここからも分かります。
実需ではなく、先物取引が原油価格を振り回しているのです。
「原油高とラーメン屋」
WTIで算出量の750倍もの原油先物が取引されている状況をラーメン屋に例えるとこんな感じでしょう。
一杯600円で一日限定40食しか売らないラーメン屋に30000人が並んでいる。そのラーメン屋の整理券に対して「オレは750円で買うぞ」「いやオレは800円で10枚買うぞ」「私は1500円で買うわよ!」「えーい、あっしは思い切って3000円だ!」なんて事をやっている。
とにかく毎日のように雑誌やテレビでこの店の紹介をしている上に、実際に食べた人間が「うーん、この世のモノとは思えない旨さだった」なんて言いふらすもんだから、誰もが食べたくて食べたくて仕方がない。
つまり、噂が噂を呼んでどんどん人が並んでいる状態。
おまけに、この店の麺は有限で在庫が尽きれば閉店になると噂されている。その上に、最近この付近に引っ越してきた中国人やインド人達にもこのラーメンは大人気で、彼らがいつも列の最前線に並んで高い値段を口走っている。
「落ち着くべきところへ…」
一説には、世界の投機資金は1京円=100兆円×100にも上るといます。「原油先物取引は儲かる」ということで、世界を回遊する投機資金が集中することで値段が釣り上がっている状況がどこまで続くかは分かりません。ここ数年で見れば、投機資金が数倍になる「美味しい」市場であることには間違いが無いからです。
原油先物取引は、行列の出来るラーメンと同じ様に「美味しい」に違いありません。でも、そのラーメンには果たして一杯3000円の価値があるのでしょうか。市場原理で、今はとんでもない値段がついているけれども、そうそう長くは続かないのではないでしょうか。
10年スパンで見れば、原油価格は落ち着くべきところに落ち着く方に向かう…そう思うのですが…。
ガソリン高が止まりません。その原因はガソリンの原料となる原油高。では原油の価格はどう決まるのか?スーパーマーケットのような「ドバイ産198円」「ロシア産188円」という形ではなく、市場の動きで米ドル建てのレート提示が行われています。(一部で米ドル離れも始まっていますが)
この「市場」というのがクセモノで、現状ではアメリカのWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)という市場が原油の価格決定に一番の影響を与えています。単位はバレル。昔は原油を大きな樽(バレル)に入れていた名残ですが、その容量は約159Lで、現在も「1バレル=○ドル」というのが原油を取引する時の国際基準になっています。
しかし、WTIで実際に原油入りの樽が売買されているワケではありません。「先物」と言って、3ヵ月毎の価格を予測して「先」に売ったり買ったりする取引が行われています。この「先物」取引は、実際に原油を調達して事業をしている企業向けに、原材料費の乱高下の影響を軽減する(ヘッジ)目的で始まりましたが、現在はマネーゲームの舞台になってしまいました。
「しっぽが犬を振り回す」
とは言え、そのマネーゲームの舞台=WTIで原油先物が幾らになったかで、実際の原油の取引価格が決まる流れになってしまっています。しっぽが犬を振り回す(The tail wags the dog)ような結果になってしまっているのが実情なんですね。
WTIはただの取引所ではなく、歴史ある産油地でもあります。ただ一日のWTI原油の産出量は日産40万バレル。ちなみに世界全ての原油産出量は日産8000万バレルですから、世界規模で見ればたったの0.5%でしかありません。
それに対してWTIの一日の原油先物扱い量は、なんと3億バレルに相当します。実際に算出される原油の750倍もの量が取引されているのです。よく「中国やインドで需要が増えているために原油が値上がりしている」と言われますが、要因の一つであっても主因ではないことがここからも分かります。
実需ではなく、先物取引が原油価格を振り回しているのです。
「原油高とラーメン屋」
WTIで算出量の750倍もの原油先物が取引されている状況をラーメン屋に例えるとこんな感じでしょう。
一杯600円で一日限定40食しか売らないラーメン屋に30000人が並んでいる。そのラーメン屋の整理券に対して「オレは750円で買うぞ」「いやオレは800円で10枚買うぞ」「私は1500円で買うわよ!」「えーい、あっしは思い切って3000円だ!」なんて事をやっている。
とにかく毎日のように雑誌やテレビでこの店の紹介をしている上に、実際に食べた人間が「うーん、この世のモノとは思えない旨さだった」なんて言いふらすもんだから、誰もが食べたくて食べたくて仕方がない。
つまり、噂が噂を呼んでどんどん人が並んでいる状態。
おまけに、この店の麺は有限で在庫が尽きれば閉店になると噂されている。その上に、最近この付近に引っ越してきた中国人やインド人達にもこのラーメンは大人気で、彼らがいつも列の最前線に並んで高い値段を口走っている。
「落ち着くべきところへ…」
一説には、世界の投機資金は1京円=100兆円×100にも上るといます。「原油先物取引は儲かる」ということで、世界を回遊する投機資金が集中することで値段が釣り上がっている状況がどこまで続くかは分かりません。ここ数年で見れば、投機資金が数倍になる「美味しい」市場であることには間違いが無いからです。
原油先物取引は、行列の出来るラーメンと同じ様に「美味しい」に違いありません。でも、そのラーメンには果たして一杯3000円の価値があるのでしょうか。市場原理で、今はとんでもない値段がついているけれども、そうそう長くは続かないのではないでしょうか。
10年スパンで見れば、原油価格は落ち着くべきところに落ち着く方に向かう…そう思うのですが…。
2008.05.17 | | コメント[0] | トラックバック[0]