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居心地いいにゃあ 猫カフェの主役は元捨て猫

2008年05月23日18時42分

 福岡初の猫カフェ「KEURIG(キューリグ)」(福岡市大名1丁目)が猫好きの話題となっている。北欧風にデザインされた店内では、じゃれついて愛敬を振りまく猫もいれば、接客そっちのけで眠る猫も。気まぐれな「スタッフ」に癒やしを求め、週末はカップルや若い女性が行列を作る。

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一緒に遊んで客も猫もご機嫌=福岡市大名1丁目の「KEURIG」

 リビングのようなじゅうたんのスペースは、猫と客の遊び場。トラ猫が客のかざした猫じゃらしを追いかけるのに必死だ。棚の上では毛足のふわふわしたラグドールが肉球をさらして眠り、テーブルの間を忙しく動き回る店員の足元を、グレーのきじ猫が悠然と散歩している。

 友人と訪れた福岡市東区の会社員、岩男里絵さん(29)は「マンションなので猫が飼えず、野良猫で我慢していた。こんなに近くで触れられてとても幸せ。時間が全然足りない」。

 時には、「猫が寝てばかり」と怒って帰る客もいる。が、「猫にとって心地よい場所が店のコンセプト」とオーナーの野村かやのさん(39)は譲らない。「人間が自分の気持ちを押しつけるのではなく、気持ちよさそうな猫を見て人間が和む場にしたい」

 実は14匹いる猫のうち、8匹が捨て猫。保健所に捕獲され殺処分される寸前の猫や、動物保護団体で保護されていた猫をもらい受けてきた。

 野村さんは、かわいがっていた野良猫がある日突然、保健所に連れていかれてしまう現状に心を痛め、一念発起して3月、開店した。

 引き取りを希望する人には、飼える環境があるかどうかなどを確認した上で譲っている。これまでに保護した21匹のうち、13匹が新しい飼い主にもらわれていった。

 「飼い猫が子どもを産んで困っている」と安易に持ち込もうとする人もいるが、断っている。「捨て猫を助長しては本末転倒。避妊や予防接種など、責任を持った飼い方を広め、人間の身勝手で命を落とす猫を一匹でも減らせれば」と野村さんはいう。

 猫カフェは最初の30分が480円で、その後10分ごとに150円。問い合わせは電話で092・985・3202へ。(仲村和代)

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