去年9月、佐賀市で知的障害のある安永健太さんが警察官に取り押さえられ、直後に死亡した問題です。
健太さんには2歳下の弟がいました。
兄を失った浩太さんは先週末、ライブを開いて、「障害のことをもっと理解してほしい」と呼びかけました。
佐賀市で先週末、あるライブが開かれました。
「若者たちが企画したこの音楽イベント、訴えているのは知的障害者への理解です」ライブを企画したのは障害者施設に勤務する人や学生などの若者たち。
準備するメンバーの1人に安永浩太さんがいます。
安永さんは、去年9月、知的障害があった兄の健太さんを亡くしました。
浩太さんの兄・健太さんは去年9月、自転車で帰宅中に蛇行運転していたとして、警察官5人に取り押さえられ、直後に死亡しました。
遺族は警察官を刑事告訴しましたが、検察は、「法律で許される範囲内の保護行為」だったとして取り押さえと死因の因果関係を否定し、不起訴処分としました。
警察官が大好きだったという健太さんの死。
健康そのものだった健太さんが亡くなり、「正当な保護活動だった」と説明されたことに遺族はどうしても納得できません。
佐賀県は、去年12月から知的障害者への理解を呼びかけるビデオを作り始め、先月完成しました。
佐賀県は作成したビデオをインターネットで見ることができるようにしたほか、学校や公民館などに配布しています。
佐賀県警は、健太さんを取り押さえた際、「最後まで知的障害者だと分からなかった」と言います。
なぜ警察官が自分を押さえつけようとしているのか?
その状況を理解できない知的障害者がパニックに陥るのは当然のことです。
しかし、つばを吐きかけるなど異常行動を続ける健太さんを見ても現場の警察官たちは健太さんのパニックの理由が自分たちの制圧行動そのものにあるということには、思いが至らなかったようです。
佐賀県警は、「今までも障害者理解の教育をやってきている」と話すのみ。
佐賀県が作成したビデオについても、「必要があれば使う」と、活用する姿勢はありません。
ライブの出演者はそれぞれの歌と言葉でこの問題への思いを表現していました。
最後に安永浩太さんは亡くなった兄と過ごした日々を思い出しながら、今の思いを来場者に訴えました。