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【社会】

築地移転 豊洲予定地の汚染 地下2メートルまで土壌交換

2008年5月20日 07時39分

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 東京都中央卸売市場築地市場(中央区)の移転を予定している江東区豊洲地区の土壌汚染対策を検討する都の専門家会議(座長・平田健正和歌山大教授)は十九日、土壌を地下二メートルまで掘削して入れ替え、それより深い部分も有害物質を環境基準以下に処理するよう求める提案をまとめた。七月までに最終提案を発表する。

 予定地は、東京ガス工場跡地。都の調査では、調査地点四千百二十二カ所中、千四百七十五所で基準を超える有害物質を検出。このうち基準の四万三千倍のベンゼンと八百六十倍のシアンが同一地点で検出された。タールを入れたドラム缶が腐食し、地下に浸透したと推測している。

 土壌中のベンゼンが基準を超えた地点は0・8%、シアンは2・2%。地下水でもベンゼンが13・6%、シアンが23・4%の地点で基準を超えた。

 会議は、土壌中の高濃度汚染は「局所的」としたが、地下水を通じて汚染が広がっている可能性を指摘。都が「基準の十倍」とした浄化目標の基準達成を目指すよう求めた。

■『市場移転ありきの結論』

 築地市場移転予定地の江東区豊洲地区の土壌汚染対策が、都の専門家会議から提案された十九日、移転反対派らが都庁内で会見し、「移転ありきの結論」と反発した。

 豊洲の汚染を追及している日本環境学会の畑明郎会長(大阪市立大大学院教授)は「土壌調査は表層でしかやっていない。地下の土壌汚染は、もっとひどいはずだ」と調査の甘さを指摘。高濃度汚染を「局所的」とする専門家会議の判断を「科学者として失格だ」と激しく批判した。

 豊洲地区は土壌汚染対策法の施行前に廃止された工場の跡地で、同法の適用除外。民主党が国会提出した同法改正案をとりまとめた川内博史衆院議員は「対策ができるといいながら、技術や金額も示さない。メンバーには食品の専門家もいない。これでは食の安全は守れない」と主張。

 共産党都議団も、専門家会議の対策案では「市場の安全を確保する保証はない」とし、移転せず現在地の築地での再整備を求めた。

(東京新聞)

 

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