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軍政、国民監視を強化 ミャンマー治安当局者明かす

2008年05月19日03時19分

 【ミャワディ(ミャンマー東部)=山本大輔】ミャンマー(ビルマ)軍事政権の治安担当者が17日、タイ国境の町で朝日新聞の取材に応じた。軍政がサイクロン被災者の不満爆発を警戒して国民監視を強める一方、新憲法案を問う国民投票で反対票を投じた有権者への取り締まりに乗り出したことを明らかにした。

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寄付受付所では、タイや地元住民から贈られた洋服やサンダルなどの援助物資が山積みになっていた=ミャンマー東部ミャワディ、山本写す

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ミャンマー国境地図

 治安担当者の男性(45)はヤンゴンの東約300キロの国境の町ミャワディで取材に応じた。軍政批判をする民主化活動家や外国メディアの監視をしている。サイクロン後にヤンゴンで開かれた被災地周辺の警備態勢を話し合う会議に参加したという。

 軍政は南部の最大被災地エヤワディ管区に多くの検問所を設けて外部と完全に遮断。住民すら通過が難しい厳戒態勢について、男性は「被災地の状況が漏れたら軍政の印象が悪くなる。反政府勢力が被災者をあおって暴動が起きると厄介だ」と説明した。

 被災者への援助物資は軍政が設けた避難所でしか配布しない。「国民の警戒心をあおる」として、物資の受け渡しは兵士や警官ではなく、閣僚か軍政が動員した民間人が行う。被災者の不満の爆発を抑えることに注意を払っているという。「昨年9月のデモ以来、強硬手段は国民に見える所ではしないという方針になった」

 新憲法への「反対者狩り」も始まったという。軍政は10日の国民投票時に「反対票を投じても罰せられない」としていたが、投票時に登録させた名前と住所をたどり、逮捕しているという。

 締め付けは軍政関係者にも及ぶ。国営放送で15日に出された援助物資の横流し禁止令に違反したとして軍政傘下の団体職員が逮捕された。「執行部と家族以外は軍政側の人間であっても監視対象。その不満を、我々はより弱い立場の国民にぶつけている」

 ミャワディは、川を挟んで対岸のタイ側が民主化活動家の拠点とあって、昨年9月のデモ以降、軍政が警備を強化。私服の治安当局者がタイ側でも目を光らせる。

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