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統合明暗、阪急は増収増益 阪神は減収減益

2008年05月14日

 阪急、阪神両百貨店を傘下に置くエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング(大阪市)は13日、昨年10月の統合後初となる08年3月期連結決算を発表した。グループ別で阪急は増収増益、阪神は統合後の6カ月間で減収減益と明暗がくっきり。阪急は消費の低迷で各百貨店が苦戦する中、勢いを見せた格好だが、半年たった「統合効果」は、まだはっきりとは見えてこない。(和気真也)

写真阪急百貨店うめだ本店の建て替え完了後のイメージ=H2Oリテイリング提供

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 H2O全体の売上高は4716億円で前期比19.1%増、営業利益は171億円で同15.9%増えた。そのうち阪急の売上高は4105億円(同3.7%増)で、営業利益は155億円(同5%増)だった。だが阪神は下期、売上高が前年同期比2.7%減、営業利益は同15.3%減。通期の売上高も前期比1.1%減った。

 阪急で百貨店売り上げの6割を占める「うめだ本店」の売上高は前期比1.5%増。同じキタで大丸梅田店が08年2月期の売り上げを前期比2.5%減らし、ミナミの高島屋大阪店も同2.1%減としたのとは対照的だ。

 「婦人服を中心に、衣料品が売れない」と百貨店業界はどこも苦しんだ。阪急も上期は前年実績を割っていた。逆転できたのは年度終盤の2月に開いた「メンズ館」効果だ。紳士向けを集めた専門フロアで、初めて挑戦した。

 開業2カ月の売上高は前年同期の約2倍の48億円となった。関西だけでなく中部や中四国からの集客にも成功し、他の売り場の活性化にもつながった。紳士服が抜けた本店の売り場で婦人服を強化し、その売り上げ増にも結びついた。阪急百貨店の2、3月の売上高は前年同月比7〜8%伸びた。

 一方で阪神は業界と足並みをそろえて苦戦。12カ月中、前年実績を上回ったのは4カ月のみだった。

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 道を挟んで立ち、梅田の1番、2番店として長年ライバルだった阪急と阪神の統合。「同じ店づくりになってはいけない」と自戒するH2Oの椙岡(すぎ・おか)俊一会長が掲げた統合後の百貨店の姿は「補完と競争」だった。

 ファッション性の高い衣料に定評のある阪急と、庶民的な服と食品で支持を集める阪神。阪急の建て替え完了後の両百貨店の売り場面積は計15万平方メートル。その規模と、特徴を出しあった店づくりで、「梅田のニーズをすべてカバーする」(阪急百貨店の新田信昭社長)戦略だ。

 だが、客の目線では統合前と変わらないし、決算諸表からも変化はうかがえない。

 人材交流を進め、4月から経理と人事のシステムを統合してきた。10月には両百貨店は合併する。H2Oの若林純社長は「効果を一緒に出そうということで、合併は当然の帰結」と言うが、在阪百貨店幹部の間では「両百貨店の商品戦略などの色を出しやすくなる」「阪神はますます独自色を出しにくくなる」と見方は半々だ。

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 H2Oリテイリングは13日、建て替え中の阪急百貨店うめだ本店を12年春に開業すると発表した。これまでは11年度下半期と公表していたが、ややずれ込むことになる。11年春のジェイアール大阪三越伊勢丹出店や、同時期に増床を終える予定の大丸梅田店に比べると、大きく後れをとる格好だ。

 本店は阪急阪神ホールディングスが所有する。開業時期が遅れる理由について若林社長は「工事の技術的問題が理由だ」と述べた。第2期工事の着工予定が、今年度下期から来年秋に延期になり、「11年秋の開業は無理」と判断したという。

 阪急百貨店の新田社長は「早いに越したことはないが、相手の出方も見える」と、やや遅れたオープンのメリットも強調した。

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