「日本全国焼きそば達人 メンツをかけた戦い」
実は鉄人が使っている麺はプロ用の特製のもので、市販はされていません。そこで家庭で手に入る市販の麺を使って、プロのコシと味のしみ込みを目指すため、全国各地の焼きそばの達人4組に市販の麺でプロの味を出す調理に挑戦してもらいました。
達人たちは、麺をお湯で洗ったり、湯がいたり、中華鍋を使ったり……。しかし、いずれの達人も、麺のコシ、味のしみ込みともにうまくできませんでした。
「達人の麺」と「家庭の麺」の違い
家庭用の麺は太さが1.8ミリと細いのに対して、達人の麺はおよそ4ミリと倍の太さがあります。この太さの違いによって、達人たちは麺の中にコシを生み出していたのです。
さらに、プロの麺の水分量を特殊な方法で調べたところ、麺の外側には水分が多く、内側には少ないという水分傾斜があることがわかりました。水分が多い麺の外側は柔らかく、少ない中心はしっかりとした食感になっていることが、プロの麺にあるコシの秘密でした。家庭の麺は細いため、すぐに水分が一定になってしまい、水分傾斜によるコシを作ることができないのです。
さらに、家庭の麺にあって、達人の麺にないものが、麺にまぶされた「油」です。達人の麺と家庭の麺をソースにつけてから水で洗ってみると、達人の麺はソース色になっているのに対して、家庭の麺では油がバリアーとなってソースのしみ込みを邪魔していました。
しかし、家庭の麺は日持ちがおよそ2週間と、達人の麺の2〜3日に比べて長く、またソースがしみ込まなくても味がするように、麺の表面にからみやすい粉ソースやとろみソースをセットにしています。
そもそも、油をまぶしているのは、麺がくっつかずほぐれやすいように工夫したからです。また、麺が細いのも、家庭の弱い火力でも中まで火が通ってすぐにおいしく食べられるからです。家庭の麺がプロとは違うのは、家庭でだれでも失敗なく調理できるよう配慮したためなのです。
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