調査捕鯨の鯨肉を持ち出し?乗組員らをNGOが告発へ2008年05月15日03時03分 日本が南極海で行っている調査捕鯨で捕られた鯨肉の一部を乗組員が大量に持ち出している疑いがあることが明らかになった。環境NGO「グリーンピース(GP)・ジャパン」が、乗組員の自宅に発送された段ボール箱に鯨肉が入っていたことが確認できたとして、15日、乗組員らを業務上横領の疑いで東京地検に告発する。 GPによると、4月に東京湾に帰港した調査母船・日新丸(8044トン)から発送された宅配便を伝票などから追跡したところ、調査捕鯨を担っている共同船舶(本社・東京)の社員12人が計47の疑わしい箱を送っていたという。 このうち1箱からは、ベーコンの原料になるウネスという部位23.5キロ(10万〜30万円相当)が確認されたという。全箱に同様に鯨肉が入っていれば計1トン余に上る。GPは、鯨肉が鯨肉店や飲食店に不正に横流しされている可能性があるとみている。 調査捕鯨は、水産庁の許可のもとで財団法人日本鯨類研究所(鯨研)が共同船舶から船や乗組員を借りて実施している。捕った鯨は日新丸で調査・解体した後、食用部分は「副産物」として市場に放出される。収益は次回の調査費用にあてられる。 一方、05〜06年の南極海での調査捕鯨に携わった50代の元乗組員が朝日新聞の取材に応じ、持ち出しの実態を証言した。解体作業などにかかわる乗組員の多くが、ウネスなどの高級な部位を持ち出して船内で塩漬けにしていたという。肉は段ボール箱に詰め、帰国後に自宅などに発送。1人で200〜300キロ送った人もいたという。 鯨研は、捕鯨船団の全乗組員約250人に下船の際、赤身とウネスを土産として1人数キロずつ無料で配ることは認めている。ただ、1人で20キロもらい、家族で食べたと話す元乗組員もいる。 調査団長の石川創・鯨研調査部次長は「大量の鯨肉を無断で持ち出しているとすれば問題だが、考えられない。土産は商業捕鯨時代からの慣例で、船上で食料にするのと同じ扱い。問題はないはずだ」と説明する。 水産庁遠洋課の高屋繁樹課長補佐は「大量に持ち帰ったとすれば商売と疑われても仕方がない。土産も無料でということはあり得ない」と話している。 PR情報この記事の関連情報社会
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