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常用漢字:追加候補に220字 「藤」「誰」「岡」など

 漢字使用の目安となる常用漢字表(1945字)の見直しを進めている文化審議会国語分科会の漢字小委員会は12日、見直しの第1次候補素案を公表した。常用漢字表の本表に加える可能性のある候補は「藤」「岡」など220字。小委や分科会は今後も検討を続け、来年2月の文化審議会に試案を提案し、10年2月ごろの答申を目指す。

 小委が06年までの3年間の出版物864点について、漢字の使用状況などを分析し、出現頻度別に▽S(1500位まで)▽A(2500位まで)▽B(3500位まで)▽C(3501位以下)--に分類。この中から常用漢字に加える必要性が高いと判断した220字を示した。Sは「基本的に(新漢字表に)加える方向」の42字(「藤」「岡」「誰」「阪」「奈」「鹿」「熊」「韓」「脇」「鶴」など)、Aは「基本的に加えるが、不要なものは落とす」150字(「鷹」「鍵」「翔」「鍋」「梨」など)、Bは「特に必要な漢字だけを拾う」27字(「串」「媛」)などとしている(Cは「綬」1字のみ)。

 一方、既に常用漢字となっている漢字でも現状の出現頻度がBランク以下の漢字は、新たに入れる候補「A」と同じ扱いとし、外すべきかを検討する。この日の小委では、Sランクの「俺」について「公の場で使わない表現であり、あえて入れる必要はない」などの意見が出た。

 ◇「智」「柴」「之」は候補外

 220字が新候補としてリストアップされた一方で「智」「柴」「之」など一般になじみの深い漢字が「(新漢字表に)入れない可能性の高い漢字」とされた。

 常用漢字表は「固有名詞として使われることがほとんど」という漢字は対象にしていない。「智」などは、出版物での出現頻度でランク分けすると最上位のSランク(1500位まで)だが「個人の名前などとして使われる場合が専ら」として候補から外された。同様の漢字は出現頻度AやBランク(3500位まで)までに入る漢字のうち1164字で、今後小委で改めて是非を検討する。

 また審議会は、常用漢字表に新たに「別表」を設け、1字ではなく熟語として使われる頻度が高い漢字をまとめる方針。元旦の「旦」、挨拶の「挨」「拶」、椅子の「椅」など54字52語を候補とした。

 常用漢字表は、戦後導入された当用漢字表を見直し、81年に決まった。パソコンなど情報機器の発達により、社会生活で目にする漢字が増えたため、伝達を分かりやすく効率的にするため新たな基準を決めることになった。見直しが実現すれば、制定以来初めてとなる。【加藤隆寛】

毎日新聞 2008年5月12日 22時29分

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