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再開半年、打開できず 普天間協議で官邸批判も '08/5/11

 政府が昨年十一月、難航する米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を「官邸主導」で解決しようと十カ月ぶりに再開させた県側との協議会が、半年を経ても足踏み状態を続けている。代替施設として名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部にV字形滑走路を建設する政府案に対し、県側が沖合への移動を求めているからだ。

 地元の軟化を狙って矢継ぎ早に打ち出した北部振興策の凍結解除など「太陽政策」も空振りの格好。米政府は沖合移動をかたくなに拒否し、政府内では官邸サイドの見通しの甘さに批判が出始めている。

 「私が官房長官でいる限り、米軍再編に不熱心ということはない」。町村信孝官房長官は九日、官邸を訪れたネグロポンテ米国務副長官に、移設協議の停滞を釈明した。

 防衛省は安倍内閣当時、北部振興策の予算執行や米軍再編交付金を凍結する「アメとムチ」で県側に妥協を迫った。しかし町村氏や二橋正弘官房副長官は、防衛省任せでは解決は困難と判断。譲歩を促すため、今年になって凍結を解除した。

 政府関係者は、七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)でブッシュ米大統領が来日する際の大筋決着を「最短シナリオ」として描いていたという。しかし協議会は四回の会合を重ねても打開の糸口を見いだせず、官邸筋は「もう打つ手はない」とお手上げ状態。シーファー駐日米大使が町村氏に「沖合移動はパンドラの箱を開けるようなもの。米軍が不満を言いだす」と伝え、安易に妥協しないようくぎを刺す場面もあった。

 防衛省幹部の一人は「沖縄に予算措置はしたが、何も進まない。町村氏も解決の難しさにようやく気付いたのではないか」と冷ややかに話している。




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