B型・C型肝炎患者に対するインターフェロン治療費の一部助成が今年4月1日から始まったが、4月末までの1カ月間に申請した患者は26人にとどまっていることが県の調べで分かった。県は「予想よりやや少なかった」として病院でパンフレットを配布するなど周知徹底を図る方針。ただ、助成を受けても治療にはなお高額の負担が必要で、受診をためらう患者も多いとみられ、制度自体の問題点を指摘する声も上がっている。
県保健予防課によると、助成はインターフェロン製剤による治療を受けるB型・C型肝炎患者が対象。世帯の所得に応じて毎月1万〜5万円を自己負担すれば、残りの治療費は公費から支払われる。
県内ではC型肝炎だけで推計約6500人の患者がいるが、同製剤はすべての患者に有効な手段ではないことなどから、県は今年度、厚生労働省の試算に基づき約1150人の受診を見込んでいる。出足が鈍かったことについて同課は、助成を受けられるのが生涯に1回、期間が1年間と限定されるため、患者が慎重になったとみている。
しかし、患者からは「そもそも自己負担が高すぎる。これまで利用してきた高額医療費の払い戻しを受けると規定の自己負担額よりも負担は軽い。助成制度自体が無意味だ」など批判が出ている。
また、汚染された血液製剤でC型肝炎に感染したとみられる富士見村の主婦(59)は「約20年前から多額の治療費を捻出(ねんしゅつ)してきた。1年間の助成だけで補償が済んだとみなされるのか」と憤る。この主婦はカルテなど投与を証明する資料が残っておらず、薬害C型肝炎の感染被害者救済法の救済対象者から漏れているが、県内でも多くの患者が同じような状況に置かれている。
一方、助成対象になっているインターフェロン治療について効果に疑問の声もある。前橋市の病院に務める医師は、B型肝炎には「核酸アナログ」という別の治療薬を使う方法が最近の主流といい、「助成制度開始で受診者数は増えたが、恩恵を受けられる患者は限られる。今後の状況によっては制度の見直しも必要ではないか」と指摘している。【鈴木敦子】
5月10日朝刊
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